祝電は来賓挨拶と同じこと
祝電は来賓挨拶と同じこと
このエッセイ集の中で、阿刀田高さんが結婚披露宴での「祝電」について、「その通り」、「座布団一枚!」と言いたくなるような指摘をしています。引用も交えて要約します。
「祝電の披露というのが、私にはよくわからない。
いいですか。祝電というものは、きれいな封筒に入っているけれど、料金にして五百円足らず、電話一本かければこと足りる、簡単な儀礼である。発信人が秘書にでも一言告げておけば、それですむものだ。」
(註 文庫本として出版されたのが、1984年ですから、当時の物価です。)
続いて、参列者なら、時間も手間も掛かりお金も掛かるたら大変だという指摘があり、会場で祝電がどのように扱われるのかに移ります。
「電報はせっかく文字で書いてあるのだから、後で新郎新婦に手渡しておけば、それで発信人の祝意は充分に伝達されるのではあるまいか。
それをわざわざ読み上げるのは”参列者たちよ、よく聞けよ”という意志がある証拠であり、これは参列者をずいぶん馬鹿にしていることにならないだろうか。」
この中で、阿刀田氏は二つの事実を比較して、祝電の読み上げに異議を唱えています。一つは、祝電を打つ際の手間と料金です。これを「コスト」と呼んでおきましょう。もう一つは、祝電が、並の参列者以上の扱いを受けていることです。祝電が披露宴、その他の会の中で、どのような役割を果すのかです。これを「役回り」と呼びましょう。
これと、私の違和感がつながります。旧統一教会と政治家との関わりで、私が抱いている違和感の一つが、「祝電」の扱いだからです。「軽い」関わりとしての報道のように見えるのですが、皆さんはどうお感じになっているでしょうか。
「軽い」のは、「コスト」面からのみ見てしまった結果生じる偏見ではないでしょうか。私は「役回り」の方が重要だと思います。阿刀田氏がいみじくも指摘しているように「”参列者たちよ、よく聞けよ”という」メッセージ付きで披露されるのですから。それは、主だった「来賓」としての扱いであり、電文を読むのは、挨拶をして貰うのと同じ意味、いやときにはそれ以上の意味があるのです。
つまり、「祝電」とは、安上がりで「秘書がやった」で済まされることではなく、「来賓として出席し挨拶をした」ことと同列に扱われるべきだ、というのが本稿の主張です。阿刀田氏のお考えも伺いたいものですね。
炎暑とともに豪雨も各地を襲っています。台風も上陸するという予報です。コロナについてもまだ油断はできません。皆様、くれぐれも御自愛下さい。
それでは今日が、皆さんにとって素晴らしい一日でありますよう。
[2022/8/14 イライザ]
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