8月6日に総理 (市長) がなすべきだったこと
8月6日に総理 (市長) がなすべきだったこと
被爆77周年の今日、亡くなられた被爆者の皆さんに心から哀悼の誠を捧げます。そして核なき世界を実現するために、全力を尽くすことを改めて誓います。
広島市が、今日の記念式典に他国の大使は招待しているにもかかわらず、ロシア大使を招待しなかったことをニュースで知って驚いています。広島市が独自にこのような判断を下すとは考えられませんので、外務省またはもっと上の指示だと思われます。
ウクライナ情勢が緊迫度を増す中、平和的解決に至る可能性を摘んでしまったことが誠に残念です。
岸田総理 (あるいは広島市長なのですが、以下、「市長」とは言及しません。「市長」を補って読んで下さい。) がなすべきだったことは簡単です。
核保有国の駐日大使を招待して、総理自ら資料館を案内し、被爆者の被爆証言をともに聞く機会を作るべきだったのです。もちろん、ロシア大使もその中の一人として招待すべきだったのです。
さらに、被爆証言の後、核保有国の大使たちに、「これを見て、貴国が核兵器を他国に先んじて使うべきだと、貴国の大統領 (あるいは首相) に進言しますか?」と問い掛けるのです。それに対して、「もちろんそうする」と言える大使はいないでしょう。そこで、「では、核の先制不使用に賛成して貰えますよね」と畳み込むのです。
「もちろんそうする」と答える大使はいないかもしれません。「本国に伝える」くらいが関の山かもしれません。しかし、それでもこのようなイニシャティブは重要です。
仮にプーチン大統領が、振り挙げた拳をどこかで下したいと考えているとすれば、この機会に乗じて「ヒロシマの悲劇を目の前にして、核による解決を避けることにした」と言っても、面子を失うことにはならないでしょう。それがヒロシマの力です。
あるいは、アメリカがロシアに対して、「今の状況で核は使うべきではないことを広島で学んだ。核の先制不使用を約束するからロシアも同調して欲しい」と提案することも可能です。これもヒロシマの力があってこそ意味のある提案です。
こんなシナリオ通りには行かないかもしれません。しかし、最低限、日本や広島市の誠意は伝わりますし、それがどのような連鎖で次の平和的解決への努力につながるかは分りません。
事は、核戦争の回避ですし、人類滅亡から人類を守ることです。どんな可能性でも試してみるくらいの決意が必要なことは、言われなくても分って欲しいのですが――。
炎暑とともに豪雨も各地を襲っています。皆様、くれぐれも御自愛下さい。
それでは今日が、皆さんにとって素晴らしい一日でありますよう。
[2022/8/6 イライザ]
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