『核兵器は使えなくなった』 アウトライン
『核兵器は使えなくなった』
アウトライン
2月24日のロシアによるウクライナ侵略以降、そしてプーチン大統領による複数回にわたる核使用威嚇のたびに考えてきたのは、「核を使わせない」という説得を行う上で、どのような方法が効果的なのかということです。
それは、被爆体験・被爆の実相を理解して貰うことだと考えているのですが、それに現在使える技術と想像力を加味すると、決定的な結論につながることに気付きました。
それを一冊の本にまとめたいのですが、以下、そのアウトラインです。三つの、「結論」を柱としています。
(〇) 核保有国の首脳には最低限の「常識」が通じるとの仮定で議論する。(自国や自分の滅亡を予見した際に世界を道連れにする党の可能性は別建ての議論が必要)
(A) 結論: 核兵器は使えない兵器になった。
(系) 核兵器の廃絶は実現する。
① それは、万一、核兵器が使われるとなると、世界中の億単位の人々がリアル・タイムで、広島・長崎での被爆の実相以上の「生き地獄」を高画質の画面で長時間見続けることになるからだ。
② 「リアル・タイム」が可能になったのは、ドローン、インターネット、スマホの普及、SNS利用者の爆発的増加等が原因である。
③ その結果として、「ただちに核兵器を廃絶せよ」という声が世界的な圧力になり、核保有国の首脳はそれに従わざるを得なくなる。
④ そのシナリオが蓋然性を持つのは、広島・長崎後、1952年までの7年間、被爆の実相が当時のGHQによる検閲制度である「プレス・コード」により完全に隠蔽されていた事実があるからだ。
⑤ ウクライナでの市民に対する残虐行為が、これほどの勢いで世界的に指弾されている事実を、1945年当時の広島と長崎に重ねて考えてみよう。
⑥広島・長崎における「生き地獄」の画像や体験談は、今でも多くの人々にショックを与えている。1945年当時に、もっと生々しい形でそれが伝わっていたとしたら、それは世界を震撼させ、核兵器を廃止すべきだという世論が圧倒的力を持つようになっていたはずだ。
この結論に関して、「プレス・コード」は、原爆の科学的情報を広めないことが目的だったと言われていますが、生々しい「生き地獄」が引き起こす劇的な衝撃と、その結果としての原爆投下の否定や投下者への糾弾を避けるためという、別次元の大目的があったと考えるべきではないのかという問題提起もしたいと思います。
(B) 結論: 核抑止論への説得力ある反駁になる。
⑦ これまでの核兵器に反対する論考は、核兵器を使用した首脳が自国民、そして世界の世論からどう見られるのかという視点に欠けていた。
⑧ リアル・タイムでの実況という、技術進歩を合わせて考えることで、核兵器の使用は首脳個人にとって、後世からの評価も含めて、避けるべきこととしての優先順位が、極めて高くなる。
(C) 結論: 上記の説得ができれば、プーチン大統領は核兵器の使用を諦める。(これは、Change.orgの署名運動の中でも何度も触れています。そちらも御覧下さい。下線をクリックすると、サイトに飛びます。)
皆様の御意見も伺えれば幸いです。
炎暑とともに豪雨も各地を襲っています。皆様、くれぐれも御自愛下さい。
それでは今日が、皆さんにとって素晴らしい一日でありますよう。
[2022/7/14 イライザ]
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