アキバ・ウィークリー ――週一のFax報告から始めました――
アキバ・ウィークリー
――週一のFax報告から始めました――
国会議員時代、毎週、国会報告「アキバ・ウィークリー」をFaxで皆さんに送っていました。
これは、その第1号から第50号までをまとめた冊子の表紙です。色はもちろん、赤と青。
国会が、憲法の規定する「国権の最高機関」としての役割を果すためには、有権者の皆さんと議員との日常的なやり取りが必須です。最初の内は、季刊の国会報告誌「アキバ・ガゼット」で報告していたのですが、それでは時々刻々変わる政治を伝えられません。そこで週刊にして、しかも送る方法も、電話でメッセージを聞いて頂くのと同時に、登録して下さった方々にはFaxでハードコピーを送りました。
その後、「ダイヤルQ2」なども使い、技術的な面についても知って頂きたいのですが、今回はその内容です。1992年8月17日に収録した第32号です。タイトルは「民主主義における多数派と少数派」です。
読みにくいと思いますので、テキスト部分を以下、掲載します。
皆さん今日は。衆議院議員の秋葉忠利です。『アキバ・ウィークリー』第32号をお届けします。9月の4週号です。
「反対するのは悪いことだ」という奇妙奇天烈な価値判断が、社会党の中で市民権を得つつあります。最近の典型的な例は、私も属している「ニューウェーブの会」の有志が田辺委員長に提出した意見書の中にあります。
PKO国会で社会党が採用した牛歩戦術、並びに議員の辞職願提出をいとも簡単に誤りだと一蹴しています。そして今後の国会対策の中ではこうした戦術が取られてはならないと宣言しています。その理由として、この意見書を提出した18人の議員は、牛歩には7割の人が反対、辞職には8割の人が反対したことを挙げています。
社会党のやることには反対、という反対意見を尊重して、社会党自体が反対することを止めてしまうというのはかなり歪んだ構造なのですが、それはともかく、一般論として牛歩も辞職願提出も好き好んで実行する人はいないはずです。私たちも好き好んで牛歩を行い、辞職願を提出したのではありません。それは皆さんにもお分り頂けると思います。
となると、何故このような、いわば最後の手段に訴えざるを得なかったのかを考えなくてはなりません。PKO法案がどのような内容で、PKO国会がどのように運営されどのように審議されたのか、またマスコミがどのような報道をして市民がどう反応してきたのかを振り返らなくてはなりません。
この『アキバ・ウィークリー』では、何度もPKO法案そのものの問題点や審議の仕方について、国会内の動きを報告して来ましたし、問題提起も行って来ました。PKO法案そのものが憲法違反であること、国連の方針ともギャップのあること等、法案自体に問題がありました。さらに国の一大重要方針を大転換しようとするこの法案の審議の仕方にも大きな問題がありました。
自公民三党の取った国会運営の方法は、民主主義の原則に反し、国会の存在そのものの否定につながるものでした。マスコミの報道にも大きな問題がありました。それでも牛歩や辞職願はいけないのでしょうか。
アメリカの第16代大統領アブラハム・リンカーンがこの点について明快な答を与えています。1861年3月4日、リンカーンが第一回目の大統領就任演説で述べた言葉です。
リンカーンは、もし多数派が単に多数であるという力だけに頼って、憲法が明白に規定している少数派の権利を奪うようなことがあれば、それは道義的な立場から革命を起すに足る理由になるかも知れない。もしこの権利が基本的なものであれば、確かに革命を起すに足る十分な理由になる、と言っています。
ワイマール憲法の下、多数派の意見で少数派の権利、いや全ての人の権利が奪われヒットラーの時代になりました。そして憲法9条が基本的であることに異論はないはずです。革命はともかく牛歩くらいしなかったら、墓石の下のリンカーンは激怒したのではないでしょうか。
これで『アキバ・ウィークリー』第32号を終ります。次号は9月25日にお届けします。皆さんの御意見や反論を是非お寄せ下さい。電話は、広島082-240-〇〇〇〇、東京03-3508-××××です。
それでは今週が皆さんにとって素晴らしい一週間でありますよう。
30年前の日本の状況と今の状況を比較しても、あまり変り映えがしないような気もしますが、今読んでも結構良いことを言っていますよね。(自画自賛が許されるのも選挙が迫っているからです。)
[2022/6/4 イライザ]
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