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2022年5月 3日 (火)

WFRの対談記事・その3 ――核兵器禁止条約の目標は生存である――

WFRの対談記事・その3

――核兵器禁止条約の目標は生存である――

 

昨日に続いて、The World Financial Reviewに掲載された、Joseph Mazur氏と私の対談記事の和訳 (山田達也氏による) を掲載します。

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ジョセフ・メイザー

今年13日に、米国、ロシア、中国、フランス、イギリスの5つの核兵器保有国は、核兵器禁止条約を批准する代わりに、核兵器保有5カ国の首脳が「核戦争の防止と軍拡競争回避のための共同声明」を出しました。君はそれに何を期待しますか?

秋葉忠利

共同声明の要点は、5つの核兵器保有国が、(1) 核戦争に勝者はなく、起こしてもならないという点で一致していること (2) 核軍備の縮小に関する効果的な条約について、誠実に交渉を行うに対する義務を含む、核兵器不拡散条約の諸義務を引き続き順守すること (3) それぞれの国の政策がこれまで通り維持され、さらに一層増強されることで、核兵器の無許可または意図しない使用を防ぐこと (4) 核兵器の照準を互いに、または他のいかなる国にも向けないと再確認していること (5) 2国間及び多国間の外交的アプローチを模索し続ける意向であることです。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「核戦争の防止と軍拡競争回避のための共同声明」を歓迎しましたが、最終的には、核によるすべてのリスクを排除する唯一の方法は、すべての核兵器を廃絶することであると強調、この目標を可能な限り早期に達成するために、核兵器保有国および全国連加盟国と協力する意思を改めて表明しました。

声明を出したというのは、世界中で増大する国連核兵器禁止条約への支持を、核兵器保有国が無視できなくなっている証拠です。世界の世論に対して表面的にでも認めざるを得ない原則を表明することによって、世界の世論を尊重しなくてはならなかったのです。しかし共同声明の署名国の過去の政策や声明を顧みれば、彼らが自国の生存が危機に瀕しているという主張をして、これらの原則に反する行動を取ることになるでしょう。

ジョセフ・メイザー

核兵器禁止条約の第1回締約国会議が、今年の夏にウィーンで開かれます。この会議に何を期待できるでしょうか?僕はそれが実り多い結果を生むことを望みますが、同時に世界は今世界が直面している生存に関わる問題にもっと真剣に取り組むべきではないでしょうか?

秋葉忠利

締約国会議は、市民社会に目を向けて、現実的で生産的な目標に焦点をあてるべきです。その中には、核保有5カ国、日本・カナダ・韓国などの核の傘依存国、NATO加盟国を含む非批准国に対し、条約への署名・批准を強く求めるべきです。

並行して、非核兵器保有国に核兵器を最初に使用しないという誓約、「核兵器の先制不使用(以下NFU)」政策も強く求めるべきです。これについては、重要な国々が既に幾つかの前向きな措置をとり、或いはNFUのアイデアに部分的な合意を宣言しているため、関係国の説得に成功する可能性は十分にあります。

1に、中国は核兵器を最初に取得して以来、NFU政策を採用してきました。第2に、米国はオバマ政権下でNFUを国連の政策とし採用するよう働きかけ、米国内ではNFU政策を立法化するための具体的な行動をとりました。残念なことに、日本の安倍政権からの断固たる反対が、そのような動きを阻止してしまいましたが。

3に、非核兵器地帯条約が、地理的に限られた地域内ではありますが、核兵器保有国にNFUを採用させることに既に成功しています。非核兵器地帯とは、自国領域内における核兵器の存在を認めない(実験・使用・製造・生産・取得・貯蔵・配備等を禁止する)条約に批准する特定の国のグループです。理想的には、核兵器保有国は核兵器でこのグループを攻撃しないことを約束します.(この状態は「消極的安全保障」またはNSAと呼ばれます)。核兵器保有国が批准したのはラテンアメリカとカリブ海諸国を対象とするトラテロルコ条約のみでしたが、核兵器保有国がNFUの考えに同意したことは重要です。NFUの概念は広がる可能性を秘めています。

ジョセフ・メイザー

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南半球全体が非核兵器地帯になっていて、それが北半球に広がっている今、次はどこで非核兵器地帯を形成するべきなのでしょうか?

*トラテロルコ(ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止)条約、ラロトンガ(南太平洋非核地帯)条約、バンコク(東南アジア非核兵器地帯)条約、ペリンダバ(アフリカ非核兵器地帯)条約

秋葉忠利

最有力候補は北東アジアです。このアイデアの当事国は6ヵ国で、中核3ヵ国が日本・北朝鮮・韓国、そして周辺3ヵ国が米国・中国・ロシアです。成功した場合、北東アジア非核兵器禁止条約が定めるのは、中核3ヵ国が非核兵器保有国になるか、非核兵器保有国のままでいること、そして周辺3ヵ国がコア3ヵ国を核兵器で攻撃しないよう保証することです。

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 [対談は続きます]

 [2022/5/3 イライザ]

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