お二人のコメントを中心に ――このブログのもう一つの役割――
お二人のコメントを中心に
――このブログのもう一つの役割――
「貧乏くじを引いたプーチン ――わざわざ作らなくても良い敵を作ってしまった――」(このブログの5月15日)に、「ストーリー」として分り易く、勉強になるコメントをお寄せ頂き感謝しています。そのうちのお二人のコメントを再録します。「コメント」を後から読まれる方は少ないようですので、もっと多くの皆さんにお読み頂きたいからです。
私自身は、このタイトルの副題「わざわざ作らなくても良い敵を作ってしまった」はもう少し強くても良かったかもしれないと感じています。「作ってはいけない敵を作ってしまった」くらいでしょうか。それはスエーデンもフィンランドと同じく中立の立場を捨てて、NATOに加盟する方針を固めたからでもあります。前置きはそのくらいにして、最初に「ドイツ在住ポスドク 」さんのコメントです。
あくまで独自考察ですが、ロシア軍が何日もの軍事行動への備えをしていなかったことを踏まえてプーチン氏の描いてきた「ストーリー」は以下のような「追い詰められた末の賭け」でないかと推測しています。
2021年まではメルケル前首相が音頭をとるドイツがEUのリーダー役を務めつつロシアとの対話役を担ってきました。メルケル氏はロシア語に堪能、プーチン氏もドイツ語が上手、しかも両者はどちらも旧東ドイツで若き日を過ごしただけに話しやすかったといわれています。しかし連邦議会選挙を経たドイツは組閣さえ難航し、その指導力が大幅に下がってしまいました。
一方でベラルーシもまた欧露の調整者として機能していました。2014年の政変の後に結ばれたウクライナ東部における停戦合意はその名も「ミンスク合意」です。ところが2020年の選挙でルカシェンコ大統領の支持基盤の弱体化が表面化しました。そしてルカシェンコ氏は反体制派狩りに躍起になり、2021年2月に旅客機を強制着陸させてまで乗客の反体制派ジャーナリストを拘束しました。EUやNATOはこの旅客機強制着陸事件を安全保障への直接の脅威とみなし、ベラルーシと西側諸国との亀裂が決定的になりました。ルカシェンコ氏は極端な親露派となるしか政権を維持する手立てがなくなりました。
かくしてプーチン氏にとっての西側との対話チャネルが失われました。一方でベラルーシが極端な親露派となったことで、ロシア軍がベラルーシを通り道にしてウクライナの首都キーウに迫ることが可能になりました。さらにゼレンスキー大統領の支持率は今年初めには50%もなく政権基盤が脆弱に見えたことから、四方八方からウクライナに進軍すればたやすくキーウを占拠して傀儡政権を樹立できるかもしれないとプーチン氏は考えたのかもしれません。傀儡政権の首領には2014年の政変で失脚してロシアに亡命したヤヌコービッチ元大統領を使うつもりだったと推測できます。
以上の仮説が正しければ趨勢はとっくにプーチン氏の「ストーリー」から外れています。もはやプーチン氏も「特別軍事作戦」の終わらせ方がわからないかもしれません。
投稿: ドイツ在住ポスドク
お二人目は、「杉山 隆保」さんです。
やはりワルシャワ条約機構が解体された時にNATOも解体して武力による紛争解決も武力による威嚇も行わない国際秩序を確立すべきであったと捉えています。この時アメリカの世界戦略が展開されてNATO解体は実現されませんでした。
それでも今回のロシアによるウクライナ侵略に対して国連総会で141カ国が非難決議に賛成した意義は大きいと捉えました。
国連の役割を見直し、強化し、新たな国際秩序の確立をめざす時だと考えています。
日本は日本国憲法がありながら、アメリカの朝鮮戦争、イラク戦争、アフガン戦争などで戦争の兵站を担い続けてきました。沖縄はその象徴的な場所で今後も出撃基地にされてしまいそうです。
アメリカと日本の関係を変えないと今後も同じことが繰り返えされます。
ロシアの侵略でウクライナの民俗独立闘争のような局面になってきました。アメリがベトナムに侵略戦争を行った時に北ベトナムのホーチミン大統領は「人民にとって自由と独立ほど尊いものは無い」と主張してベトナム戦争を闘い抜きました。
ベトナムへ侵略したアメリカがウクライナに武器援助をしているのは皮肉です。しかし、ウクライナが「勝利」したとしても戦争は何も産み出しはしません。ウクライナの再建には膨大な時間と資金が必要になります。
このことを世界が認識して紛争の武力による解決、武力による威嚇を止めて資源と資金を戦争に使うのでない政策を打ち立てる時代を創り出す時代に踏み出す時と考えています。
日本はまだ侵略戦争の処理を完全に終えていないことを認識して近隣諸国との関係を見直すことが必要と捉えています。
投稿: 杉山 隆保
終戦後、新憲法ができ、多くの人にとってようやく日本の未来が見え始めたときに、「日本はアジアのスイスになる」という標語が多くの人を勇気付けました。残念なことに、日本の辿ってきた道はそれとは違う形になりました。それでも平和憲法のあることで一定の立場を取ることは可能になり、戦争中のウクライナがそれに配慮するだけの役割は果たしています。
フィンランドとスエーデンがNATOに加盟することで、ロシアから見れば、新たな敵を作り出してしまったことになり、ロシアにとっては好ましいことではありません。それは、プーチン・ロシアの描いていたストーリーとは違ったものだと思います。
同時に、「中立」という立場をとる国がヨーロッパで減ることは、特に今北欧でそれが起きていることは、世界全体が大きく変ることを意味します。
そんな状況下で日本が果すべき役割は、核兵器に焦点を合わせてその視点からの世界平和の実現を目指すことだと考えています。それは、日本政府がお題目として掲げてきて「核保有国と非核保有国との橋渡し」を、単に言葉の遊びとして弄ぶのではなく、文字通り、実のある橋渡し役を演じることです。
「核兵器の先制不使用」合意が、その第一歩として相応しいのですが、それについては何度も丁寧に書き続けたいと考えています。また、次のサイトもご覧ください。
https://nofirstuse.global/
[2022/5/17 イライザ]
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