国会議員時代の活動 ――懐かしく思い起こしています――
国会議員時代の活動
――懐かしく思い起こしています――
問い合わせがあって、国会議員時代の活動を振り返っていたのですが、何件か懐かしい出来事を思い起こすことになりました。
[ニューウエーブの会]
1990年の衆議院選挙で当選した当時社会党の新人議員は61名。新しい政治を創るという意気に燃えて、仙谷由人、伊東秀子、松原脩雄、岡崎トミ子などと、「ニューウエーブの会」を30名近くで設立しました。学者や知識人、官僚等を講師に迎えて勉強会を開き、政策提言を行い、国会内で超党派のネットワークを広げ、マスコミにも積極的に発信を続けるなど、「新しい政治」のイメージ作りに大きな功績があったと思っています。
この会の最初の申し合わせ事項の一つは、「先生と呼ばない、呼ばせない」でした。国会議員や政治家を「先生」と呼んだり呼ばせたりすることで、言外に上下関係を作ってしまう弊害を避けるためだったのですが、しばらくすると、その申し合わせを守り続けていたのは、私一人になっていました。
一人
[イラクの人質解放]
1990年8月2日にイラク軍はクウェートへの侵攻を開始し、8月8日にはクウェート併合を宣言しました。またイラクは、8月18日に、クウェートから脱出できなかった外国人をバクダッドに移し、「人間の盾」と称して人質にしたのです。この中には、約400人の日本人も含まれていました。
バグダッド(Public Domail)
当時の社会党は、バクダッドに社会党中東訪問代表団を派遣し、人質解放のために尽力しました。団長は矢田部理参議院議員、事務局長は私でした。10月3日に現地入りし、6日には、ラマダン第一副首相と会談し、医療情報を元に健康状態に問題のある4人を直ちに解放するよう交渉しました。その場で要請に応えてくれるとの感触を得ることができました。通訳は私自身で、実質的交渉を行ったのです。この4人は10月中に他の「人質」に先立って帰国することができました。
同時に、土井たか子委員長がジャンボ機をチャーターしてバクダッド入りすれば、全人質を解放するという交渉にも当ったのですが、結局成立しませんでした。
[数々の議員連盟]
脳 (Public Domain)
国会内では、党派が違っても議員個人個人の価値観や世界観に従って、「同志」が集って「議員連盟」を作るケースが多くあります。同僚議員に誘われて、それまで関心のなかった分野で活躍する人々と出会い、新たなネットワークに属することになる場合もあったりします。
私が所属していた議員連盟は多くあるのですが、名称が変ってしまったり、活動を止めてしまった議連もあるようなので、名称は不正確になるかも知れませんが、いくつか挙げておきます。
「日本・アイルランド友好議連」――世界の国々との友好を目的とする議連は多くあり、文化的な関心や、これまで訪問した経験やこれから訪ねてみたい国々など、人気のある議連が多いのが特徴です。。
「脳死を考える議連」――私が属していたのは、脳死を人間の死と認めるべきではないという立場の議連です。脳死と臓器移植法が国会で取り上げられたとき、個人の生命観、倫理観こそ重んじられるべきであるとの考え方から、党議拘束を外して議員個人の立場で態度を決するべきだというのが、多くの政党の考え方でした。当然、超党派の議連ができ、脳死を認める考え方の議連もありました。
人間の死を国会で議論するという、大変重い場面に居合わせることができ、政治のあり方そのものを問い直す場面が何度もあったことを思い出しています。
「公共事業チェック機構を実現する議員の会」――文字通り、公共事業のあり方を具体的にチェックする力を持った専門家や市民たちとともに、国がお金を出す仕組みそのものを俎上に載せ、例えば、徳島県木頭村の細川内ダム建設事業について、村長の藤田恵さんを支援し、最終的には建設事業の中止を勝ち取った議連です。その経緯は、藤田元村長著の『国を破りて山河あり』(小学館、2010年)に詳しく描かれています。
「諌早等干潟・湿地を考える議員の会」――ギロチンが落ちるテレビの画面で有名になった諫早湾の干拓は、中止させることはできませんでしたが、名古屋の藤前干潟を守ることはできました。名古屋市民の皆さん、NGOや専門家の皆さん、松原市長の英断等、その結果を生むまでのストーリーは多くあるのですが、議連が果した役割も大切でした。
国会での活動は、この他にも委員会や代表質問、陳情のために上京する方々との対話、マスコミとの付き合い等々、まだまだ多くのことがあるのですが、追々付け加えて行きたいと考えています。
[2022/5/25 イライザ]
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