WFRの対談記事・その5・最終回 ――核兵器禁止条約の目標は生存である――
WFRの対談記事・その5・最終回
――核兵器禁止条約の目標は生存である――
今回が最終の5回目です。The World Financial Reviewに掲載された、Joseph Mazur氏と私の対談記事の和訳 (山田達也氏による)です。
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ジョセフ・メイザー
妻と僕が2009年に広島を訪れた時、僕たちは原爆投下の際、そしてその後何が起こったかについて、できる限りの読書と勉強をして行けば、それで十分な準備になると思っていました。でも訪問で圧倒されました。歴史書や映画から知れるものを遥かに超えていました。もっと多くの影響力を持つ政府高官が広島を訪問できるなら、核兵器禁止条約の批准はもっと簡単になるのでしょうか?
秋葉忠利
はいそうです。オバマ大統領は2016年に広島を訪問して、原爆犠牲者のための慰霊碑に花輪を捧げた際、「私たちは戦争の苦しみを知った。平和を広め、核兵器のない世界を追求する勇気を、今こそ共に見つけようではありませんか」、と言いました。彼は平和資料館を訪れた最初の現職米国大統領でした。
オバマ大統領の勇敢な行動を受けて、より多くの核兵器保有国の指導者が広島を訪問すれば、私たちは、核兵器廃絶が世界共通の願いになることを期待できます。その理由は、広島を訪れた殆ど全ての人が、君が表したような感情を僕に伝えてくれているからです。
ジャック・レモン (Public Domain)
例えば、アカデミー賞を受賞した俳優のジャック・レモンは1985年に広島を訪れた際、「訪問前の広島に関する自分の知識は平均を遥かに上回っていた」、と話していた。それでも、広島訪問後、彼は、君と同じように、「広島市に来るまで被害と苦しみの大きさを自分は知らなかった」、と感じたのです。彼の感想は、「世界の誰もが広島を訪問すべきだ。一つ強調しておかなければならないのは、広島市民に米国や米国人に対する憎しみの感情が全く見られなかったということだ。それが感動的だった。」、というものでした。だから僕は、世界の指導者たちに広島を訪問するよう繰返し伝えてきたのです。バイデン大統領が今年日本に来る際に、広島を訪問するならば、核兵器のない世界を目指す平和のメッセージを広めるのに役立つでしょう。
対談者の紹介
Joseph Mazur ジョセフ・メイザー
ジョセフ・メイザーはマールボロ大学の数学科名誉教授で、グッゲンハイム、ボグリアスコ、ロックフェラー財団などから特別研究員に任命されてきました。数多くの数学に関する著書は高く評価されて12以上の言語に翻訳されています。最新作はThe Clock Mirage: Our Myth of Measured Time (イェール大学出版)。
Tadatoshi Akiba 秋葉忠利
秋葉忠利氏は元国会議員で前広島市長。MITで博士号を得た数学者でもありますが、生涯尽力してきたのは核兵器の廃絶です。ラモン・マグサイサイ賞(アジアのノーベル賞と称される)を受賞。
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[2022/5/5 イライザ]
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