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2022年4月30日 (土)

観光船事故は防げたのか ――政府は国民の生命を最大限尊重しなくてはならない――

観光船事故は防げたのか

――政府は国民の生命を最大限尊重しなくてはならない――

 

知床半島沖での観光船の事故で、11人の方が亡くなり15人の方も行方不明という状況ですが、多くの皆さんは「会社や船長の判断が適切であれば防ぐことができた」と感じているようです。私もそう思います。でもその他にもこの事故を防ぐためにはできることがあったのではないかと思います。

ここでは国の責任を、憲法を元に考えてみます。

憲法13条は、日本政府の義務として、個人の生命に対して最大限の尊重をしなくてはならないと規定しています。その部分を、憲法を元にまとめておきます。

 生命に対する国民の権利については、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする。

この義務を課せられている政府として、今回の事故、にどう関わるべきだったのかを考えます。前提条件として、船体が健全であることは満たされていると仮定します。GPSとか、レーダー等の装備についての条件も付けなくてはなりませんが、それらは大丈夫という前提で以下考えて行きます。

その際、①放り出されると数分から30分で低体温症によって死亡してしまう海水の温度、②強風そして波が高いという気象条件、③乗り物に乗る人について政府が法律を作って命を守ることの正当性、という三つの要素を元に考えます。

歴史的事実として、日本政府は、凍て付く海に浸かると、短時間で生命が失われることを知っています。例えば、1912年のタイタニック号の沈没事故では、救命ボートに乗れた710人は助かりましたが、1,513人は亡くなりました。船が沈没して数分後に低体温症によって死亡したと考えられています。

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 タイタニック号 (Public Domain)

また、強風と高波浪によって、大きな船でも沈没、転覆、座礁したりした例としては、1954年の洞爺丸台風によって、沈没した洞爺丸の他にも多くの船舶が被害を受けたことが記録されています。(ウイキペディア「洞爺丸事故」から)

さらに、乗り物による事故を防ぐために、政府が直接関わって法律を作った例としては、1986年に、原付も含めたすべてのバイクについて、すべての道路でヘルメットの着用が、罰則付きで義務化されています。バイクの場合は、自分で運転するのですから、自己責任の事故も存在しますので、そこまで政府が関与しなくてもという意見もあったようですが、「事故防止」という目的が最優先された例です。(Virgin Harley.com   https://www.virginharley.com/labo/labo07/)

以下、議論を簡単にするために、低海温の海に話を限ります。つまり、その温度に人が浸かっていると、30分以内には低体温症で死亡するレベルの温度の海について考えます。

そのような結果に至らぬように、乗客を運ぶ船については、厳しい審査後に与えられる免許、あるいは免許の条件や、その運用のための規則を設ける必要がある、というのが今回の主張です。

以下、免許を許す条件を以下考えますが、まず海が平穏であれば、そして船長以下船員も免許と訓練を受けていれば危険性は少なくなりますので、低海温の海には一切出港を禁止する、という選択はしないことにします。

それでも、生命の危険を最小限にしたい訳ですから、気象条件によって、出港停止の規則を設けることは当然です。また気象は変わりますので、出港後に危険な状態になることも考えておかなくてはなりません。

とにかく、船に「異常」が生じた場合どうすれば良いのかということに尽きるのですが、いくつかの可能性があります。

  1.  緊急に近くの港に避難することを、「異常事態発生」時の「義務」として課す必要があります。
  2. 「緊急」避難用の十分の数の救命ボートを積んでおくよう義務付けることも必要です。
  3. それは、小さな船では無理かもしれませんので、例外として、命の助かる範囲内に他の船舶が必ずいるような条件が満たされれば出港を許可する制度にすること。これは、実現可能性が高いのではないでしょうか。
  4. その一例として、斜里町の港から知床観光に出かける船は、10分から30分の間隔で出港するといったシステムになっていれば、何らかの事故が発生しても近くの船が救助できる環境になるのではないでしょうか。

詳細な規則は、現にその海を知っている人たちの間で協議して決めることにしても、国としての責任で基準を設けて、それ以上の場合には、あるいはその可能性のある予報が出ていれば、お客さんを乗せての出港は禁止するという大原則は法制化すべきなのではないでしょうか。

それが国民の生命に対しての最大限の尊重の具体例の一つだと考えているのですが、如何でしょうか。

宮島と宮島口の間のフェリーは、往復があるのでなお条件は良くなっていますが、二つの船会社が少し時間を違えて出港しています。何かあった場合、後続の船が救助に当たれるという観点からは優れたシステムになっています。そして、天候のため、フェリーは出ませんということも何度かありましたね。

船のことも海のことも全く分っていない人間の素人考えかもしれませんが、事故が起きればほぼ絶望的な状況になるであろう、凍て付く海での事故防止のためには、私たちが無い知恵を絞る努力も必要なのではないでしょうか。

 [2022/4/28 イライザ]

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