ガルージン大使とカーチス・ルメイ将軍 ――ウクライナでの民間人爆撃と東京空襲――
ガルージン大使とカーチス・ルメイ将軍
――ウクライナでの民間人爆撃と東京空襲――
4月9日にTBSの「報道特集」は、金平茂紀キャスターによるロシアのガルージン駐日大使の単独インタビューを放映しました。その動画ですが、YouTubeにアップされていましたので、ここに埋め込みます。最初の1分くらいを御覧下さい。
私が特に引っ掛かった部分を文字化しておきましょう。
[大使] 我々が攻撃しているのは、軍事施設だけで民間施設は攻撃していない。
[金平] 私たちの仲間が私たちの同僚が取材に行って来て、例えば病院とか民間施設が破壊されている現場で実際に目で見て取材してきましたよ
[大使] それはなぜ起きたかというとウクライナ軍が学校や病院から一般人、生徒たちを追放して、それを軍事拠点としたからです
その後、病人や一般人が死亡していることを金平キャスターは事実として指摘するのですが、大使は最後まで、同じことを繰り返しています。
この部分の発言で私の頭に浮かんだのは、1945年の3月10日の東京大空襲でした。これについては、このブログで3月11日に簡単に触れています。
そこで強調したのは、記憶し続けることの大切さですが、記憶している私たちの世代が今の時点で語る必要もあることに気付きました。戦争中 (と私たちの世代が言うときの「戦争」は、1945年に終戦を迎えた戦争です)、だけではなく、戦後の歴史についても若い世代の人たちに事実を伝えることが大切です。
東京大空襲では、一晩に約10万人もの「民間人」が殺されました。B29の329機が襲来して、木造家屋を焼く尽くす最も効果的な「焼夷弾」を約2時間の内に33万発も落して、東京の中心部を焼き払ったのです。そして、この作戦を計画、実行、指揮したのが、カーチス・ルメイ司令官でした。
[出典はWikipedia https://www.wikiwand.com/ja/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%A4]
一次資料には当っていませんが、次のサイトにはルメイの回想録の中に次の言葉かあるとの引用がされています。他の文献でも読んだ記憶があるのですが、それについては確実な出典が見付かり次第アップします。
[出典はユダヤ館 「ヒロシマ・長崎への原爆投下と東京大空襲について」
http://www1.s-cat.ne.jp/0123/Jew_ronkou/america/atomic_bomb_holocaust.html]
戦後、カーチス・ルメイは回想記の中で次のように述べた。
「私は日本の民間人を殺したのではない。 日本の軍需工場を破壊したのだ。 日本の都市の民家は全て軍需工場だった。 ある家がボルトを作り、隣の家がナットを作り、向かいの家がワッシャを作っていた。 木と紙でできた民家の一軒一軒が、全て我々を攻撃する武器の工場になっていたのだ。 女も子供も老人も全て戦闘員だった。 これをやっつけて何が悪いのか」。
カーチス・ルメイは東京大空襲を初めとする無差別爆撃、及び、広島・長崎への原爆投下の直接の責任者であった。 しかし、1964年12月6日、日本政府はカーチス・ルメイに勲一等旭日大綬章を授与した。 授与理由は「カーチス・ルメイは日本の航空自衛隊の育成に協力した」というものである。 この時の総理大臣は後にノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作である。
以上は歴史的事実ですが、ふと頭を過ったのは、「ガルージン大使はカーチス・ルメイの言葉と理屈を知っていたのだろうか?」という疑問でした。
仮に知らなくても、「自然に」思い付いたのかも知れません。何故なら、これは「戦争の論理」だからです。戦争を前提として構成された社会では、このような考え方が大手を振って歩いていても不思議ではないのです。
そして、その答は戦争の否定しかあり得ません。そこに、日本国憲法を世界化する意味があるのです。
このことだけから、ウクライナで起きている戦争を解決することは難しいでしょう。しかし、解決のための様々な可能性を模索しながら、過去の出来事を思い起こしつつ、新たな視点を加えて歴史的教訓を探し、また歴史的事実から、ウクライナ情勢解決の糸口を見つける努力をする上では、少しは役立つのかも知れません。
[2022/4/13 イライザ]
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