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2022年4月 9日 (土)

NoFirstUseインタビューの和訳です ――山田達也さんが訳してくれました――

NoFirstUseインタビューの和訳です

――山田達也さんが訳してくれました――

 

このブログの45日号で報告しましたが、NoFirsUse Globalが、「核兵器を使わせない」署名運動を紹介してくれ、さらに私のインタビューを掲載してくれました

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核兵器の先制使用を核保有国に宣言させるために活動している国際NGOですが、署名運動の中でも、核の先制不使用がカギになることを強調しています。

 ちょっと長くなりますが、その内容を友人の山田達也さんが日本語に訳してくれました。三回に分けて、掲載しますので、お読み頂ければ幸いです。

 

第一回

 「ノーファースト・ユース・グローバル」が、ウクライナ紛争で核兵器を使うな、と訴える秋葉前広島市長にインタビューしました。

秋葉忠利さんは1999年に広島市長に就任、平和市長会議の議長も務められました。2003年には、第7回核兵器不拡散条約(以下NPT)再検討会議の第2回準備委員会で演説し、平和市長会議が核兵器廃絶に向けた都市の国際運動の立上を目指す旨を発表なさっております。これを受けて2020ビジョンキャンペーン(2020年までに核兵器廃絶を目指す)が誕生。秋葉さんが市長に在任していた2011年までに、平和市長会議の加盟都市数は500未満から5000超に増え、同会議は10億人を優に超える人口を代表するようになりました。今回、秋葉忠利さんにインタビューしているのは、2015年まで2020ビジョンキャンペーンの国際ディレクターを務めたアーロン・トヴィッシュさんです。

インタビューを読むに当たって必要と思われる背景:

2020ビジョンキャンペーンは2006年に、国連総会(以下UNGA)が「多国間核軍縮交渉の前進に関する公開作業部会」を設立するよう、初めて提案した。2010年に国連総会はその提案を受け入れ、2015年には同作業部会が国連総会に、核兵器禁止条約(以下TPNW)に関する交渉会議を、国連の主導で開催するよう勧告した。その交渉の成果は2017年国連総会に提案され、国連総会は「核兵器禁止条約」を、署名のために開放することを承認、同条約は、2020年までに締約国50ヵ国による批准を受け、2021年に発効した。

*核兵器禁止条約は、第1条で、(a)核兵器その他の核爆発装置(以下「核兵器」という。)の開発、実験、生産、製造、取得、保有又は貯蔵、(b)核兵器又はその管理の直接的・間接的な移転、(c)核兵器又はその管理の直接的・間接的な受領、(d)核兵器の使用又は使用の威嚇、(e)この条約が禁止する活動に対する援助、奨励又は勧誘、(f)この条約が禁止する活動に対する援助の求め又は受入れ、(g)自国の領域又は管轄・管理下にある場所への核兵器の配備、設置又は展開の容認等を禁止することについて規定している。核兵器不拡散条約とは異なり、同条約では一部の国に核兵器国としての地位を認めておらず、条約の義務は全締約国に適用される。同条の規定にかかわらず、核兵器を保有する国が核兵器を可及的速やかに破棄することが義務付けられている。

秋葉忠利さんは現在、前広島市長として、原子爆弾の被害を受け、その後生き抜いてきた方々、被爆者の心そして祈願を再び取り上げています。アーロン・トヴィッシュさんは現在「ノーファースト・ユース・グローバル」運営委員会の委員です。

Interview インタビュー

AT: トヴィッシュさん

秋葉さんが、今回、change.orgで訴えることになった、動機って何だったのでしょう?

TA:  秋葉さん

ウクライナで武力紛争が始まって、プーチン大統領が核兵器を使うと少なくとも2度、脅しました。第1に、それは国際法違反です。違法であることを明らかにする、幾つかの事実も指摘しましょう。

1つ目は国際司法裁判所(以下ICJ)が1996年に出した勧告的意見です。勧告的意見ではあるものの、国際問題の合法性について考える上で大きな重みを持っています。その意見でICJは、核兵器の使用や使用するという脅迫は、一般的に国際法に違反すると述べています。一方でICJは例外を認めていて、国の存亡そのものが危険にさらされるような脅威に直面した場合においては、ICJは判断を下すことができない、と断っています。ロシアは今回、国の存亡そのものが危険にさらされる脅威には直面していません。結果として勧告的意見の例外規定は適用されません。

*勧告的意見:核兵器の威嚇又は使用は、武力紛争に適用される国際法の要件及び特に人道法の原則及び規則に一般的に違反することとなる。しかしながら、国際法の現状及び入手可能な事実関係に鑑み、裁判所は、国の生存そのものが問題となるような極限状況における核兵器の威嚇又は使用が合法か違法かを確定的に結論することはできない(賛成7-反対7、裁判長の決定票)」 としつつ、「厳格かつ効果的な国際管理の下におけるあらゆる側面での核軍縮を目指す交渉を誠実に行い、かつ妥結させる義務が存在する(全会一致)

2つ目は、核兵器禁止条約は勧告的意見における例外として存在している隙間を埋めているのです。核兵器禁止条約は、核兵器保有国と核兵器依存国がそれを批准していなくても、正真正銘の国際法で、核兵器に関連する各国の行動を規定する効力を持つ国際法です。その核兵器条約は核兵器を使うぞと脅すことを禁じています。

3つ目は、ロシアを含む核保有5ヵ国の首脳が、(今年)1月3日に共同声明を発表して、それぞれの国の保有する核兵器が相手国に対して、また他のどの国に対しても向けられていないことを明言しました。ところが、プーチンは今、それを使うかもしれないと言い、自らの言葉と矛盾した発言をしているのです。彼は共同声明を守って行動しなければなりません。勿論それに署名した他の核兵器保有国の首脳もそうすべきです。

プーチンの言葉に被爆者はショックを受け、筆舌に尽くしがたい恐怖を感じ、言い表せない気持ちに陥りました。(1945年)86日と89日を思い出したからです。プーチンの脅しがどんなことをもたらすのかを、被爆者は思い出したのです。そしてプーチンが核爆弾を使うのを止めさせるために何かしなければならないと感じたのです。私も全く同じように感じています。

1人の弱い個人として、私は change.org というインターネット署名を集めるメカニズムを使いました。このキャンペーンは、プーチン大統領に核爆弾を使用しないと宣言するよう、説得することが目的です。この陳情はまた、他の核兵器保有国に対し、核兵器を使用しないと公表することでプーチン大統領のイニシアチブに続くよう訴えています。そして、このキャンペーンは10万人近くの署名を集めていて、世界中の人々によって支持されています。

 次回に続きます。

[2022/4/9 イライザ]

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