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2022年4月

2022年4月30日 (土)

観光船事故は防げたのか ――政府は国民の生命を最大限尊重しなくてはならない――

観光船事故は防げたのか

――政府は国民の生命を最大限尊重しなくてはならない――

 

知床半島沖での観光船の事故で、11人の方が亡くなり15人の方も行方不明という状況ですが、多くの皆さんは「会社や船長の判断が適切であれば防ぐことができた」と感じているようです。私もそう思います。でもその他にもこの事故を防ぐためにはできることがあったのではないかと思います。

ここでは国の責任を、憲法を元に考えてみます。

憲法13条は、日本政府の義務として、個人の生命に対して最大限の尊重をしなくてはならないと規定しています。その部分を、憲法を元にまとめておきます。

 生命に対する国民の権利については、立法その他の国政の上で最大の尊重を必要とする。

この義務を課せられている政府として、今回の事故、にどう関わるべきだったのかを考えます。前提条件として、船体が健全であることは満たされていると仮定します。GPSとか、レーダー等の装備についての条件も付けなくてはなりませんが、それらは大丈夫という前提で以下考えて行きます。

その際、①放り出されると数分から30分で低体温症によって死亡してしまう海水の温度、②強風そして波が高いという気象条件、③乗り物に乗る人について政府が法律を作って命を守ることの正当性、という三つの要素を元に考えます。

歴史的事実として、日本政府は、凍て付く海に浸かると、短時間で生命が失われることを知っています。例えば、1912年のタイタニック号の沈没事故では、救命ボートに乗れた710人は助かりましたが、1,513人は亡くなりました。船が沈没して数分後に低体温症によって死亡したと考えられています。

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 タイタニック号 (Public Domain)

また、強風と高波浪によって、大きな船でも沈没、転覆、座礁したりした例としては、1954年の洞爺丸台風によって、沈没した洞爺丸の他にも多くの船舶が被害を受けたことが記録されています。(ウイキペディア「洞爺丸事故」から)

さらに、乗り物による事故を防ぐために、政府が直接関わって法律を作った例としては、1986年に、原付も含めたすべてのバイクについて、すべての道路でヘルメットの着用が、罰則付きで義務化されています。バイクの場合は、自分で運転するのですから、自己責任の事故も存在しますので、そこまで政府が関与しなくてもという意見もあったようですが、「事故防止」という目的が最優先された例です。(Virgin Harley.com   https://www.virginharley.com/labo/labo07/)

以下、議論を簡単にするために、低海温の海に話を限ります。つまり、その温度に人が浸かっていると、30分以内には低体温症で死亡するレベルの温度の海について考えます。

そのような結果に至らぬように、乗客を運ぶ船については、厳しい審査後に与えられる免許、あるいは免許の条件や、その運用のための規則を設ける必要がある、というのが今回の主張です。

以下、免許を許す条件を以下考えますが、まず海が平穏であれば、そして船長以下船員も免許と訓練を受けていれば危険性は少なくなりますので、低海温の海には一切出港を禁止する、という選択はしないことにします。

それでも、生命の危険を最小限にしたい訳ですから、気象条件によって、出港停止の規則を設けることは当然です。また気象は変わりますので、出港後に危険な状態になることも考えておかなくてはなりません。

とにかく、船に「異常」が生じた場合どうすれば良いのかということに尽きるのですが、いくつかの可能性があります。

  1.  緊急に近くの港に避難することを、「異常事態発生」時の「義務」として課す必要があります。
  2. 「緊急」避難用の十分の数の救命ボートを積んでおくよう義務付けることも必要です。
  3. それは、小さな船では無理かもしれませんので、例外として、命の助かる範囲内に他の船舶が必ずいるような条件が満たされれば出港を許可する制度にすること。これは、実現可能性が高いのではないでしょうか。
  4. その一例として、斜里町の港から知床観光に出かける船は、10分から30分の間隔で出港するといったシステムになっていれば、何らかの事故が発生しても近くの船が救助できる環境になるのではないでしょうか。

詳細な規則は、現にその海を知っている人たちの間で協議して決めることにしても、国としての責任で基準を設けて、それ以上の場合には、あるいはその可能性のある予報が出ていれば、お客さんを乗せての出港は禁止するという大原則は法制化すべきなのではないでしょうか。

それが国民の生命に対しての最大限の尊重の具体例の一つだと考えているのですが、如何でしょうか。

宮島と宮島口の間のフェリーは、往復があるのでなお条件は良くなっていますが、二つの船会社が少し時間を違えて出港しています。何かあった場合、後続の船が救助に当たれるという観点からは優れたシステムになっています。そして、天候のため、フェリーは出ませんということも何度かありましたね。

船のことも海のことも全く分っていない人間の素人考えかもしれませんが、事故が起きればほぼ絶望的な状況になるであろう、凍て付く海での事故防止のためには、私たちが無い知恵を絞る努力も必要なのではないでしょうか。

 [2022/4/28 イライザ]

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2022年4月29日 (金)

皆様、有難う御座います ――Change.org署名が10万を超えました――

皆様、有難う御座います

――Change.org署名が10万を超えました――

 

皆様、有難う御座います。皆様の御賛同のお陰で、Change.orgでの署名が10万を超えました。夜9時半過ぎの署名の画面です。

220428-10changeorg  

102,813」という数字を御確認下さい。私たち、一人一人の存在は「一(いち)」ですが、同じ気持ちを共有して、同じ目的のために一人一人が一つの行動を取ることで、その結果が10万という大きな数字になるという事実がハッキリ分りました。これを、20万にすることも可能ですし、ここからまた別の行動につなげて戦争を止めさせること、犠牲者の冥福を祈り遺族の悲しみに寄り添うこと、避難民を支援すること、そして今回のように侵略戦争が再び起らないような世界実現のために知恵を集めること等、多くのことが可能になります。

 私は、10万の皆様の意思を代表して、再度プーチン大統領と岸田総理大臣にこのキャンペーンの趣旨を認めた書簡を出します。また、その他の核兵器保有国の首脳にも同趣旨の書簡を出し、協力を要請します。

 そして、次の段階の行動への準備も始めます。6月末の核兵器禁止条約締約国会議、8月の核不拡散条約再検討会議という二つの重要な国際会議の場を生かして、皆様から頂いた署名の趣旨を各国の代表や国際機関、市民団体等、多くの皆さんに伝え広げたいと考えています。

 さらに、現在進行中の戦争でロシアが核兵器を使わないと宣言するというだけでなく、今後の世界の動きの中で、どの国も核兵器は使わないと宣言するように働き掛けたいと考えています。核保有国が「核兵器の先制不使用」(No First Use—略してNFU) 宣言をするということです。

 第一歩としては、核兵器禁止条約締約国会議と核不拡散条約再検討会議に参加する各国の代表はじめ多くの皆さんに、私たちのメッセージを伝えるためのビデオを作成して、現地で配布したいと考えています。もちろん、YouTubeにもアップします。

 その他の活動について、皆様からの御提案をお待ちしています。

 [2022/4/29 イライザ]

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2022年4月28日 (木)

強力な助っ人です ――草刈り機とブロワーのセットを買いました――

強力な助っ人です

――草刈り機とブロワーのセットを買いました――

 

田舎住まいも捨てたものではないのですが、問題もいくつかあります。冬の寒さ、そして寒くなくなると虫や雑草との戦いが始まります。

 これまで草刈りには電気式の草刈り機を使っていました。軽いし馬力もあるので効率良く作業ができるのですが、段々、邪魔になってきたのがコードです。こんなに長いコードがないと、届かないところまで草刈りをしなくてはなりません。

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コード付きの草刈り機の煩わしさは、家庭内で電気コード付きの掃除機を使われた方なら御理解頂けると思います。

 となると、コードレス、つまり充電式の草刈り機ということになるのですが、少なくとも18Vないと草刈り機としては弱過ぎますし、値段が高いのと嵩が張るのも問題でした。でも、最近コストコに行ったら、理想的な組み合わせがありました。

 その名も「18V コードレス ナイロントリマー・ブロワー スターターセット」です。刈り幅も30cmあるので、広い範囲を刈るのには便利ですし、軽いのも魅力です。しかも、草刈り機だけでブロワーまで付いて、値段は草刈り機一台とほぼ同じです。それがこちらです。

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箱から出して、カバーを付け、ショルダーストラップを付けただけですが、後は充電が済むまで待つだけです。

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実際に使ってみての感想ですが、コード式とパワーはほとんど変わりません。コードを全く気にしないで、どの方向にも動けるのは快適です。電池の持ちはエコモードで30分、パワーで20分ですが、コード式の場合はモーターが焼き切れないよう、20分くらいで一度休憩しなくてはなりません。それをしないで一度、モーターを焼き切ってしまったことがありますので、電池がなくなって自動的に作業をストップしなくてはならない方が、私にとっては有り難い仕組みです。今のところ、「今年買って良かったもの」のトップです。

 ブロワーの使い勝手は、秋になって落ち葉を集めるときに確認します。

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[2022/4/28 イライザ]

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2022年4月27日 (水)

後もう一人に声を掛けて下さい ――署名数は後2,500人で、10万人になります――

後もう一人に声を掛けて下さい

――署名数は後2,500人で、10万人になります――

 

広島、そして被爆者をサポートして下さっている御友人の皆様

ウクライナ戦争について、「「核兵器を使わない」と、ただちに宣言して下さい」署名運動に賛同して下さり、心から感謝しています。私たちのアピールの趣旨を改めて確認するとそれは、広島・長崎の被爆者の声である、この戦争で核兵器を使わないこと、さらには核兵器の先制使用は永久に行わないことの約束です。

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皆様のお陰で、署名数はほぼ100,000に達しました。

でも「ほぼ」なのです。

現在は、97,475ですが、後2,525で、力強く美しい10万に達します。

そのための緊急のお願いです。もう一度力を貸して下さい。もうお一人だけ、署名をして下さる方を増やして下さい。このお願いに応えて下さる方がたくさんいらっしゃることを信じています。(そして、声を掛けて下さる方を1だけに限定している訳でもありません。念のため。)

メールやソーシャルメディアで、ウクライナの戦争を憂慮している方に連絡を取って下さい。私たちの力を結集するためのアピールの一員になる機会を作って上げて下さい。明日と言わずに、今、連絡して下さい。

10万になった時点で、プーチン大統領と岸田首相には、再度、この署名運動の趣旨を強調した書簡を送ります。また同様の内容の書簡をその他の核兵器所有国の首脳にも送ります。

加えて、8月中 (広島・長崎の原爆の日も含めて) ニューヨークの国連で、核不拡散条約 (NPT) 再検討会議に参加している外交官に見て貰うためのビデオを録画します。NPTは今、危機的状況にありますが、核兵器の先制不使用政策を採用することがNPTを再生させるために直接的効果があります。

そのビデオはYouTubeにアップして、皆さんにはURLをお知らせします。(10万という目標達成ができれば、という条件付きですが。) 

皆様のお力を信じています。被爆者の期待に応えて、被爆者と共に闘って下さい。世界に、希望の光を届けましょう!

 [2022/4/27 イライザ]

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2022年4月26日 (火)

涙の記憶 ――「声に出しては読めない」言葉――

涙の記憶

――「声に出しては読めない」言葉――

 

まずは、Yahoo!ニュースJapan420日配信をお読み下さい。(短縮しています)

 テレビ朝日の松尾由美子アナウンサーが419日放送の報道番組「スーパーJチャンネル」内でウクライナ情勢を報じていた最中、感情が激して涙したそうです。

 松尾アナは番組内で、ロシアのウラジミール・プーチン大統領が自国部隊に「親衛隊」の名誉称号を授けたニュースを報道。この部隊はブチャを含むウクライナ・キーウ近郊で400人以上の殺害に関与したとされているものの、プーチン大統領は疑惑を否定しただけでなく、「偉大な英雄的行為を祝福し、特別軍事作戦の手本となる存在」だと称賛したといいます。

 一連のニュースを読み上げた後、ウクライナの都市マリウポリにある製鉄所に多くの市民がまだ残っていることを伝えたところで、声を突然詰まらせて一時沈黙。顔を手でぬぐって先を続けようとしましたが、たどたどしい涙声となってしまったため、「さっきの授与のニュースが悔しい思いで(涙ながらに)読んでしまいました」と、自身が読んだニュースで感情が激してしまったと視聴者に謝罪。「冷静さを保ちます」と自分に言い聞かせ、番組を進行させていました。

松尾アナウンサーの気持は良く分ります。私の尊敬する「師」が、彼女と同じ気持で、1963年の、マルティン・ルーサー・キング牧師のワシントン演説を読んでいるからです。画家、作家の安野光雅先生です。(安野先生には、「友人」としてお付き合い頂きましたが、私にとってはやはり先生筋なのです。詳細はまたの機会に。)

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 童話者から刊行されている『天は人の上に人をつくらず』の中で、安野先生は1963828日に、ワシントンでキング牧師が訴えた演説について、次のように述べています。

 わたしは、この言葉を声にして読むことができない。読もうとすると、いつも声がふるえてしまうのだ。

 そして安野先生は、福沢諭吉の『学問のすすめ』の中の言葉「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言えり」については、「この言葉を聞くと、涙が出そうになる」のです。

 私も同じような気持でこのお二人の言葉を受け止めていました。広島市の成人式の記念品として、若い世代の人たちに是非同じ感動を味わって貰いたいと考え、この本を贈ることにしたのもそれ故です。

 実は最近、私も同じような経験をしました。このブログの41日に小島繁美さんの中国新聞への投書を掲げさせて頂きました。再度掲載します。

(2005) 85日付の朝日新聞に載った安佐北区の小島繁美さんの投書はその一例です。小島さんに希望を与えたのは兄妹の会話です。

  「昭和20年の87日の昼下がり、広島市・宇品港の岸壁近くの砂地でいつ出るともあてのない島まわりの船を待っていた。---中略---

ふと気がつくと、近くの草むらで人声がした。きょうだいらしい二人。妹は13歳前後。兄は23歳年長か、着衣はボロボロでかなりの重症と見えた。妹は外傷が無いようで、自らの身体で日陰をつくって兄を気遣い、話しかけていた。

 『お兄ちゃん、帰ったら母さんに「おはぎ」を作ってもらおうね』。---中略---最高にぜいたくで幻の食べ物だった「おはぎ」という言葉に、現実に戻され、希望を与えられた。」

  この短い文章からは、小島さんが希望を見付ける心の動きと共に、兄妹の気持まで伝わってきます。お兄ちゃんはおはぎが好物だったのでしょう。それを良く知っている妹は、頼りにしているお兄ちゃんに、元気になって貰いたくて、そのお兄ちゃんと一緒に家に帰りたくて、おはぎの話をしたのではないでしょうか。船を待つわずかな間、おはぎのイメージが、小島さんだけではなくこの兄妹にも大きな希望を与えたであろうことは疑う余地もありません。家に無事辿り着いたことを小島さんと共に今でも祈っています。

このことを、今月初めに取材を受けた朝日新聞の長富記者に話したのですが、途中で声にならなくなってしまいました。老化現象も加わっていたのだと思いますが、御本人に身を寄せることで、他人事とは思えなくなるからなのではないかと思います。核保有国の首脳たちにも、「もし核兵器を使ったら」という状況でそう感じて欲しい事柄です。

 [2022/4/26 イライザ]

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2022年4月25日 (月)

「尾木ママ」との対談の後編が出版されました ――Meishaミーティングの2回目もオンラインで開催――

「尾木ママ」との対談の後編が出版されました

――Meishaミーティングの2回目もオンラインで開催――

教育評論家で、自他ともに「子どもの声の代弁者」として認められている尾木直樹さんとの対談ですが、前半は、2月に二回にわたって報告しています。こちらが一回目と、こちらの二回目です。今回は、その後編が出版されました。

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今回のテーマは、「子どもに寄り添うこと」、「「いじめ」問題と平和教育」そして「子どもたち主体の教育アプローチ」です。

尾木ママと私の対談を直接読んでみたいという方がいらっしゃれば、手持ちの部数に限りがありますので先着3名の方に、春号をお送りします。コメント欄に住所と氏名を書き込んでください。もちろん、公開はしません。

さて、オンラインで開かれた、「Meishaミーティング」では、「明るい社会づくり運動」(略して「明社」)の今後について話し合いました。「今後」を今、取り上げる必要性は、多くのNPOが直面している課題と共通の課題を明社も抱えているからです。

一つは、明社の目的や活動内容を今の時点で点検して、これからの明社の姿をより明確に描き直す時が来ているのではないかという点です。その背景には、参加者が高齢化していて、どうしたらもっと多くの若者に参加して貰えるのか、という問題意識もあります。それと密接に関わっているのが活動資金をどのようにより効率的に集めるのか、という課題です。それに関連するのが、資金的にも支援して貰っている協力団体である立正佼成会との関係を進化させることです。明社の提唱者である庭野日敬師の設立の趣旨を生かしながら連携して行くことは自然なのですが、資金面も含めてより独立性を高めて、明社の新たなアイデンティティーを確立し他のボランティア団体や行政との協働がし易いような形を作ることも大切なのです。

こうしたことを議論するために、今日は約2時間、50名ほどのメンバーがオンラインで話し合いをしました。特に地域で活動している人たちが中心になりましたが、日頃からの素晴らしい実践の数々に触れることができて、新たなエネルギーを貰いました。

それにしても、異口同音に語られたのが、コロナによって活動が中断されたことです。明社の活動の典型的なものは、地域毎に集って、公園とか多くの人たちが使う施設等の清掃活動なのですが、屋外での行動とは言え、多くの人が集まるという「密」の一つになりますので、清掃活動も控えているところがほとんどだったのです。

でもそんな中でも、「個人」で清掃活動を続けていらっしゃる方も多いという報告があり、頭が下がりました。

伺った全ての活動を報告したい気持ちはやまやまなのですが、一つだけ取り上げると、奈良県の橿原市の明社の活動です。三つの主な活動があるとのことなのですが、一つは講演会の開催です。30年にわたって年一回、続けて来た講演会は当初の「子育て中のお母さんたち」のためのものから、「明るい社会を作る」ための講演会とテーマを変え、毎年、100人ほどの人を対象に開催してきたとのことでした。市長や社会福祉協議会からの挨拶もあり、地域にしっかり根付いた行事になっているようでした。

二つ目は、橿原神宮の清掃作業です。こちらは20年ほど続いている活動で、初詣に訪れる人たちのために12月中頃に行っているとのことでしたが、市のボランティア活動連絡会の仲間である高校の先生方との交流の中で、2021年には200人の生徒や先生のボランティアも加わっての活動になったとのことでした。

また、浄瑠璃で良く知られている壺阪の養護盲老人ホーム慈母園との交流も30年近く続けてきているとのことでした。

最後に、今回の皆さんの活動を聞きながら感じたのは、話をされているお一人お一人の優しい声であり、語り口の穏やかさ、そして謙虚さでした。明社の魅力は何かという問いも、今日のミーティングでは出てきたのですが、私の答は、今日お話を伺ったお一人お一人の声、姿、そしてこれまでのボランティア活動です。

[2022/4/25 イライザ]

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2022年4月24日 (日)

私流英語の勉強小史 ――ラジオ講座の「基礎英語」がお勧めです――

私流英語の勉強小史

――ラジオ講座の「基礎英語」がお勧めです――

 

「英語力のキープの仕方」を取り上げましたが、そもそもゼロから始めて、どのように英語力を付けたのかも大切です。中学に入る直前の3月、NHKの「基礎英語」に出会った頃からの道筋を辿ってみました。

 月刊の雑誌は、「何月号」と銘打ってあっても、その前の月に発売されます。例えば新年号なら12月初旬か中頃です。子供の頃、何故なのかが話題になったことがありました。自分たちの都合だけ考えていたせいだろうと思いますが、一番納得できた答は、「付録が一番多い新年号がクリスマス前に発売されるように」でした。「正解」を御存知の方、出版社側の考え方を御教示頂ければ幸いです。

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「基礎英語」最近のテキスト

 理由は何であれ、例えば4月号が3月に発売されることで私は大きな恩恵を受けています。年は、昭和30年、西暦では1955年です。その頃の子どもはほとんど「カム・カム・エブリボディー」の平川唯一、松本亨といった名前は知っていました。4月からは中学で英語の勉強が始まる、ということでNHKの「英会話」講座テキストを手に取って見たのですが、文字通りABCから勉強を始める私には高級過ぎました。幸いなことに隣に柴崎武夫先生の「基礎英語」のテキストがありました。結局、私は毎朝、月曜から土曜までの6時からの15分間、「基礎英語」を一年間、聞きました。まだ、タイマーやクロック・ラジオが簡単に手に入る時代ではなかったので、目覚まし時計を改造して、6時になるとNHKの第二放送が聞こえる装置を作りました。

 『聖しこの夜』をはじめ、今でも英語の歌詞で歌える歌の幾つかは「基礎英語」で覚えたものですし、ブラウニングの詩、クリスマスの意味等、英語の勉強をする上で一番役立ったものの一つが「基礎英語講座」だったことに疑問の余地はありません。現在でも同じような番組がありますので、英語の勉強を始める皆さんには先ず「基礎英語」か、それに匹敵する番組を継続して聴くことを薦めています。

今振り返って大切に思えることは、歌だけではなく多くの文章を覚えたことだと思います。当然、そのためには覚えたいと思うような内容や挿絵、覚え易い文章等が必要ですが、柴崎先生のテキスト、そして先生の声には大きな魅力がありました。できれば、この年のテキストを復刻して使うことができれば、と思うほどです。

 辞書も大切だったと思い返しています。知らない単語を調べるのが目的で辞書を引く訳ですが、私の持っていた辞書には、単語の意味の後に役立つ例文が沢山載っていました。それも今思うとかなり高級な文章でした。「duty」という言葉だけではなく、ネルソン提督がトラファルガーの海戦で述べた言葉「England expects every man to do his duty.」も一緒に憶えました。後々、役に立つ表現を沢山憶えることができました。

 高校二年のときに、AFSという制度によって、イリノイ州のシカゴ近くの町に留学しましたが、この一年近くが英語の勉強に大きく役立ったことは言うまでもありません。英語の勉強だけではありません。若いうちに全く異なった環境・文化・社会で生活することには計り知れない価値があります。私だけではなく、同じ時期に留学した仲間のほとんどは同じ思いですし、また私個人としては、私たち大人が、若者にこのような経験の出来る環境を整える義務を負っていると考えています。

 英語の勉強という点から留学時代を振り返ると、幾つか、重要な教訓を得ることができるように思います。一つは、語彙の大切さです。つまり、沢山の単語の意味を知らなければ話になりません。アメリカの高校でも単語を憶える宿題が出るのですから、この点は「ネイティブ」云々の議論を超えています。憶えることも大切です。詩や文章を記憶する宿題も日本より多くありました。毎日英語を使っている人たちでも、意識的に記憶しなくては良い英語が見に付かないのだとすると、外国語として英語、あるいはほかの言葉を勉強する立場にいる人たちにとって、記憶はもっと大切にしなくてはならないはずです。

 これと関連がありますが、とにかく一日に何十ページも本を読むことも大切です。アメリカの高校では分厚い教科書の何ページから何ページまでを読んで来なさい、という宿題が毎日のようにありました。その内容を理解できたかどうかは、「クイズ」と呼ばれる簡単なテストで調べられますので、サボれません。読書量が読書力を付けてくれることになりました。これは高校だけではなく、大学や大学院でも全く同じですし、社会人になっても、本を一冊渡されて、それをマスターすることを前提に仕事を与えられ、その成果によって給料やボーナスが決まるということも良くあります。

 英語の勉強という点から付け加えると、この時、タイピングを習ってタッチタイピングができるようになったため、コンピュータ時代になった今も重宝しています。もう一つ役立ったのはスピーチの授業でした。良いスピーチをするためには準備をすること、しかし原稿を読み上げるのではなく、メモを基に頭の中にある内容を話す、という訓練を受けました。ディベートの基礎や発声法の基礎なども教わりました。

 こうしたことと同じくらい、あるいはそれ以上に役立ったのは、具体的に役立つレベルで図書館の使い方や、レポートの書き方、問題解決の方法等々、一口で言えば「勉強の仕方」あるいは「知的な作業の方法論」の初歩とでも言うべき知識を身に付けられたことかも知れません。英語の授業では、小説の書き方の初歩まで授業の中に入っていましたが、荒筋作りから始まって登場人物の性格付け等、出来の良し悪しは別として、この手順を踏めば一応小説らしき作品ができるまでの手ほどきを受けました。クラス一同大変楽しんだ記憶があります。

 (広島市長のメルマガ「春風夏雨」――第39回、20041225日から)

  [2022/4/24 イライザ]

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2022年4月23日 (土)

日本語力をキープするには ――ブログと日記、そして漢字表記用字辞典です――

日本語力をキープするには

――ブログと日記、そして漢字表記用字辞典です――

 

昨日は、英語を忘れないためにどんな努力をしているのかを御披露しましたが、実は日本語力も努力しないと落ち続ける年齢になっています。情けないと言えばそうではあるのですが、今までとは違う経験につながったり、新たな発見があったりしますので、そちらを強調しておきます。

一つは、毎日ブログを書いていることです。しばらくは、複数の素晴らしいライターの皆さんとの協同作業になりましたので、毎日ではない時もあったのですが、「コンスタント」には、書き続けることができました。これもブログを読んで下さっている皆さん、それから「広島ブログ」のランキングで毎日アップされている皆さんの「元気」を頂くことができたからです。改めてお礼を申し上げます。

ブログは、2016年の4月に始めたのですが、2017年の一月からは日記を付け始めました。5年連用日記で、途中ちょっと休んでいた (誤魔化しはいけませんね。サボっていたのです) 時はあるのですが、何とか2021年の1231日まで続けることができました。

2204225   

今年は、新しい日記帳を買いましたが、御覧のように5年連用ではなく、3年連用にしました。5年前は、数行を埋めるのも大変だったのですが、書いている内に分量が増えて、一日当りの行数が足りなくなってきたからです。

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ブログはパソコンで書いていますので、難しい漢字も変換の候補の中から選ぶだけで済みます。それは有り難いのですが、そうでなくても漢字を忘れているのに、漢字を書かないで文章を書き続ければ忘れる速度は速くなります。

ですから手書きで日記を書くのは、とても意味のあることなのです。そこに登場するのが、アメリカに住んでいた時にもお世話になった、漢字表記用字辞典です。

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分らない漢字は、平仮名では書かないで、この辞典で調べてから書くようにしています。これは、何代目かの辞典なのですが、国語辞典とは違って、知りたい漢字だけを素早く見付けられますので便利です。また画数の多い字は、大きな活字で印刷されていて、見易く書き易くなっています。

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 [2022/4/23 イライザ]

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2022年4月22日 (金)

英語力をキープするには ――まずはAudible.com とDictinary.comが簡単です――

英語力をキープするには

――まずはAudible.com Dictinary.comが簡単です――

 

プーチン大統領が核兵器の使用をチラつかせて脅しをかけてきたことがきっかけで、「何としても核兵器を使わせてはならない」という思いからChange.orgでのオンライン署名運動を立ち上げました。

同じ思いの方が多くいらっしゃったのは嬉しい限りでした。それは、10日間で5万人もの方に賛同して頂けたことで分りました。その皆さんの声を書簡にまとめ、Change.orgの賛同者の皆さんの声として、312日には、プーチン大統領と岸田総理大臣に送りました。

英語版のサイトも立ち上げましたので、海外からの賛同も沢山頂きました。国内外から賛同して下さった方々に改めて御礼申し上げます。

そして、署名運動のあることを拡散して下さった多くの皆さん、そしてマスコミの皆さんにも感謝しています。外国特派員協会のように記者会見を開いて下さった組織や、団体のホームページやブログで紹介して下さった平和運動組織や個人の皆さんにも感謝あるのみです。

大変有り難かったのはその通りなのですが、不安もありました。老化現象の一つとして、物忘れが徐々に進んでいるので日本語でのコミュニケーションでも、固有名詞や単語が出て来ないことがあるのですから、英語で文章を書く機会が増えたら上手く行くのだろうかというものでした。

実際に、「「核兵器を使わない」と、ただちに宣言して下さい」の趣旨を英語で書く機会が多くなりました。でも、心配するほどのことはなく、結構普通に、しかも海外の出版社でも問題なく掲載してくれるレベルでの文章が書けました。

220421-audible

Audible.comのページです。

嬉しかったのですが、その理由も思い当りました。一つは、Audible.comというサイトで、英語の本 (の朗読ですが) をダウンロードして、毎朝、約一時間のウォーキングの時に、その本を「聴いている」ことです。

最初は、目で活字を追って読む方が早く読めるはずなので、効率的に時間を使うことにならないのではという点に引っ掛かっていたのですが、実際には、とても効率よく「読書」ができました。聴くのには、普通の本で5時間から6時間、長いものになると10時間を超える場合もあるのですが、歩いているときに紙の本を読むことはできませんので、その時間に本を「聴ける」ことになりますので、「読書」時間は増えたのです。

田舎住まいで、コロナの蔓延で人との付き合いも少なくなってきたときには、日本語での会話も限られてしまい、日によっては、Audible.comの本を聴いている時間の方が長くなっていました。考えていた以上の効能でした。

 もう一つは、Dictionary.comというサイトです。メールアドレスを登録しておくと、毎日一つずつ、「今日の単語」というメールを送ってきてくれて、ちょっと難しい単語とその意味が分かるようになっています。忙しくて見ない日もありますし、見たところでその単語を覚えるまでには行かないのですが、それでも毎日単語を見ることで、「英語脳」といったところがあるとすると、それが刺激されていたのではないかと思います。

その他のサービスもありますが、とりあえず、この二つはお勧めです。Audible.comは日本語の本も扱うようになりましたので、そちらも試してみる価値はありそうです。

 [2022/4/22 イライザ]

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2022年4月21日 (木)

種まきと苗の移植 ――良い天気を楽しみました――

種まきと苗の移植

――良い天気を楽しみました――

 

ウクライナ情勢からも、ずっと目は離せないのですが、私たちの世代が戦争で思い出すことの一つは、食べ物がなかったことなのです。特に終戦直後、そして数年、空いている地面があると何かの種をまいて食べ物を作っていましたし、雑草でも食べられるものは食べていた時代があります。

都市部では無理ですが、やはり食べ物のこと、そしてとにかく種をまくことが気になってしまいます。そんな動機もあって、今日は何種類かの種をまきました。

220420   

お腹の足しになるかどうかは別にして、比較的簡単にできる物ばかりです。そして夏の野菜の定番は、何種類かの苗を買って移植しました。

 まずはトマトです。

 220420_20220420215601

 そしてキュウリ

220420_20220420215602  

トウモロコシの苗が一番高かったのは意外でした。三本が一緒になっているのは、受粉をし易くするためだそうです。

220420_20220420215603   

多くでき過ぎると、食べ切れませんので、少し時間をおいてから二回目の苗も植える積りです。

天気も良かったので、しばらくは世界の状況から離れて土と植物と水とに集中できました。

 [2022/4/21 イライザ]

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2022年4月20日 (水)

庭仕事・畑仕事 ――用途に合った道具が大きな力になっています――

庭仕事・畑仕事

――用途に合った道具が大きな力になっています――

 

ほぼ一週間前から、畑仕事を再開しました。その結果ですが、一応畝も作りました。

Photo_20220419202301   

この二三日は、芝生の手入れをしています。

二三年の間、芝生の手入れが十分にできなかったため、スイバという雑草が蔓延っています。根は浅くしか張らないので、引っこ抜くのは簡単なのですが、数が多くて往生していました。

Photo_20220419202302  

そこで活躍してくれているのが、この道具です。根切りスコップと呼ぶのでしょうか。先端が根っ子を捉えてスパッと切ってくれる形ですし、金属がしっかりしていて、根を掘るときに力を入れてもビクともしません。

  Photo_20220419202401

横に付いている刃とギザギザも、横に張っている根を切るときには便利です。

 ということで、この二三日は、芝生の手入れと畑の仕事に精を出しています。

 [2022/4/20 イライザ]

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2022年4月19日 (火)

ウクライナ停戦の可能性 (3) ――楽観論とは人類が学び続けていることを意味します――

ウクライナ停戦の可能性 (3)

――楽観論とは人類が学び続けていることを意味します――

 

前回も、太平洋戦争の最後の時期に、日本への空襲を総括した指揮官のルメイ将軍の言葉、「もし、この戦争に負けていれば、私は戦争犯罪人として裁かれただろう。幸運なことに、我々は勝利者だ。」を引用しました。カギになるのは「戦争犯罪」という言葉です。

 その一つの解釈としては、戦争犯罪人にならないためには、どんな手段を使っても勝たなくてはならない、という勝利至上主義の言葉だと考えられます。もう一つは、圧倒的な勝利を目の前にして、自分の指揮した軍事行動が如何に酷いものであったのかを、「戦争犯罪」という言葉を使うことで「自慢」しているとの解釈も成り立ちます。

 ウクライナ戦争でも、キーワードは「戦争犯罪」なのですが、その言葉が使われる文脈が全く違います。ルメイ将軍や軍の指導者たち、そして政治家たちはその言葉を知っていたのでしょうが、当時は庶民が日常的に使う言葉ではありませんでした。

 ウクライナ戦争では、「戦争犯罪」も「人道に対する罪」も「国際法違反」も、多くの市民が今回の戦争、特にロシア側の行為を判断するときに使う言葉になっています。そして、世界中の人々が、画像を通じて今回の戦争の実態を知っています。

 「即時停戦」と「ロシア軍のウクライナからの撤退」が、世界的コンセンサスになっているのは、このような背景があるからです。

 それで思い出すのが、かつてのベトナム戦争です。ベトナム戦争でも私たちは、「即時停戦」と「アメリカ軍のベトナムからの撤退」を叫び続けました。そして、時間はかかりましたが、結果はその通りになりました。しかし、ウクライナ戦争で違うのは、停戦後の世界の評価です。

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ベトナム戦争中のアメリカ軍

Public domain

 つまり、どのような形で戦争が終ったとしても、ロシアにとって大切なのは、その後の世界がこの戦争をどう位置付けるかなのです。そのために、仮にロシア軍による「完全勝利」として終った場合、世界がどう反応するかを「思考実験」してみましょう。

 世界が求める即時停戦が実現しないということは、今より多くの民間人が亡くなり、民間施設が破壊され、今より多くの避難民が世界中に助けを求める状態が続くということを意味します。それを現場からの音声付画像で見る世界の人々からの、プーチン大統領、そしてロシアに対しての非難は今の十倍、百倍になってもおかしくはないでしょう。

 プーチン大統領やロシアに対して「平和の使徒」、「人類の希望を灯し続けた」という評価が出てくることはまず考えられない状況になるでしょう。それどころか、プーチン大統領もロシアも世界から孤立し、その評価を変えるためには飛んでもない時間がかかるはずです。

 ベトナム戦争との大きな違いは、アメリカが完全にベトナムから撤退したことですし、当時の世論の中心的概念には「戦争犯罪」も「人道に対する罪」も「国際法違反」も入っていなかったことです。人類が長い間掛かって築いてきた普遍的な概念が世界的に共有されるまでには、ベトナム戦争から半世紀もの時間が必要だったということになります。それでも、この50年間に人類がここまで進化したことの意味は大きいのではないでしょうか。

 [2022/4/19 イライザ]

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2022年4月18日 (月)

ウクライナ停戦の可能性 (2) ――今回は楽観論にシフトし始めます――

ウクライナ停戦の可能性 (2)

――今回は楽観論にシフトし始めます――

 

前回は、ルメイ将軍の言葉からの「「戦争犯罪人」にならないためには、「戦争に勝つ」という至上命令を実現しなくてはならないという結論」を出発点にして、そのためにはどんな手段でも使って勝つという方針に固執する可能性が高くなることを論じました。

 その先のシナリオを考えるために、ロシア側が「勝った」と宣言し「停戦」に至ったと仮定して、その際にウクライナのどの範囲を支配下におさめている可能性があるのかを、純粋に「可能性」の問題として見てみましょう。つまり、実現可能性や現状を元にした分析とは離れての考察です。

① ウクライナ全域を支配している。(その後併合するかどうか等の可能性は別に考えるとして) 

② クリミアと、ドネツク、ルガンスクの一部を支配している。

③ 元々のロシアとウクライナの国境線のロシア側だけを支配している。

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ルガンスク州 (ウイキペディアから)

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ドネツク州 (ウイキペディアから)

斜線の部分はクリミア

 さて、このリストを見ていると、ルメイ将軍の考えていた「勝利」と、ロシアの置かれている状況とには違いのあることに気付きます。それは、元々ロシアの意図していたのは、②だった可能性が高いからですし、停戦協議の中でも、②を基本的な条件にしていることからも分ります。

 その違いが大切なのは、ルメイ将軍がこだわっていた「戦争犯罪人」との関係を考えることで分ります。

 上の三つのケースどれを取っても、プーチン大統領が拘束され、国際刑事裁判所 (ICC) で戦争犯罪人として裁かれるという可能性がないよう見えるからです。一つには、ロシアはICC条約を批准していませんので、ICCには管轄権がないからです。

 また、上の三つの可能性のどれも、ロシアが「勝利宣言」をし、その結果として何らかの協議が行なわれ、停戦に至るという筋書きが有力だからです。太平洋戦争の時のように、一国が全面的に敗北を認めることでもない限り、停戦の時点でプーチン大統領に対する「戦争犯罪」を主張し、それをロシアが認めるということはあり得ないでしょう。(それまでの間にロシアで政変が起こるといったことのない限り)

 となると、ルメイ将軍の言葉「もし、この戦争に負けていれば、私は戦争犯罪人として裁かれただろう。幸運なことに、我々は勝利者だ。」の解釈を変更した方が良さそうです。「戦争犯罪人にならないためには、どんな手段を用いても戦争に勝たなくてはならない」という解釈もあり得るでしょう。

 しかし、東京その他の都市の空襲の時点では、自分たちが明らかに勝利者であったことを前提にすると、「どうだ、俺たちは、誰が見ても戦争犯罪だとしか考えられない酷いことを日本に対してしているんだ」という、驕りの言葉、日本に対する蔑視の言葉のように聞こえてきてしまいます。

 プーチン大統領に戻ると、「戦争犯罪」で裁かれる可能性はほぼないのですから、誰から見ても圧倒的にロシアが「勝っている」のであれば、ルメイ将軍と同じような態度に出てもおかしくはありません。しかし、状況はかなり違います。ここで「楽観論」の登場です。

 ウクライナの善戦が一つですが、それとは別に強調したいのは世界の世論です。ロシアの民間人攻撃や、住宅等の民間施設を含む都市への攻撃、その結果、犠牲になった多くの死傷者そして数百万もの避難民について、その非人道性、国際法違反といった視点からのロシア非難が全世界的に広まっていることです。

 このブログでも何回か言及していますが、今回のウクライナ戦争の一番大きな影響の一つは、世界の世論の力の大きさに世界が気付いたことなのではないかと思います。核兵器の使用についても核保有国のリーダーたちは考え直さなくてはならない時期に到達したのです。

 それとウクライナ戦争の停戦との関係は次回に。

 [2022/4/18 イライザ]

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2022年4月17日 (日)

ウクライナ停戦の可能性 (1) ――楽観的シナリオと悲観的シナリオがあります――

 ウクライナ停戦の可能性 (1)

――楽観的シナリオと悲観的シナリオがあります――

 

まず、悲観的なシナリオを考えましょう。そのために前回も引用したルメイ将軍のもう一つの言葉から始めます。

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ルメイ少将の提出した東京空襲の戦略的作戦レポート

 アメリカのNational Security Archiveから

 「もし、この戦争に負けていれば、私は戦争犯罪人として裁かれただろう。幸運なことに、我々は勝利者だ。」

I suppose if I had lost the war, I would have been tried as a war criminal. Fortunately, we were on the winning side.”(The General and World War IIIby Richard Rhodes in New Yorker Magazine, June 11, 1995)

 これは、東京空襲やその他の都市の空襲、そして広島・長崎への原爆投下すべてについて、ルメイ将軍が、その非人間性と国際法違反であることを認識していたことを示していますが、今回、この引用をしたのは、そのような認識と現実の戦争との乖離を示すためです。

 つまり、戦争をする側にとって一番大切な原理が「勝てば官軍」であることを明確に示している点です。さらに、「戦争犯罪人」にならないためには、「戦争に勝つ」という至上命令を実現しなくてはならないという結論も重要です。悲観論の出発点はここにあります。

 仮にプーチン大統領が、圧倒的多数の「戦争反対」という世界の世論を感じていて、「負ければ戦争犯罪人」という結果になることを読んでいれば、「戦争に勝つ」という目的をどのような手段を取ってでも達成しようとするでしょう。であれば、自分で「勝った」と思えるまで戦争は続くでしょう。(続けようとしても、ロシアが負けてしまうという結果にならない限り、ですが。)

 それに対抗するためには、ウクライナとNATO (アメリカも含めて) は、武力でロシアを屈服させるしか方法がなくなります。

 長引く戦争を終らせるために、プーチン大統領が核兵器や化学兵器等の大量殺戮兵器を使うという可能性も高くなります。実際に使うかもしれません。

 こんなシナリオが考えられるのですから、「悲観的」と呼んだのですが、それに対して私たちは何ができるのか、次回、考えてみましょう。

 [2022/4/17 イライザ]

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2022年4月16日 (土)

無辜の民間人の命と生活 ――かつては顧みられなくて当然でした――

無辜の民間人の命と生活

――かつては顧みられなくて当然でした――

 

昨日も確認しましたが、戦争で一番無視されるのが、無辜の市民や民間人、非戦闘員と呼ばれる人たちの命と生活です。それを守るためには、一日も早く停戦させなくてはなりません。

 しかし、できるだけ早く停戦させることを目的として選ぶことと、一人一人の人間の命と生活を最優先することは矛盾します。どうすれば良いのでしょうか。戦争を容認する立場からの答は明白です。

 413日にこのブログで取り上げた、ルメイ将軍は、39日から10日の東京大空襲について「一日でも早く戦争が終ったのであれば、この攻撃はその役割を果したことになる」と言っています。さらに、「当時、民間人の犠牲についての議論はほとんどなく、このような空襲について、目の当たりに見るような新聞記事を毎日のように目にしていたアメリカ人の間からも実質的には何の抗議もされなかった」とも記述されています。(出典『Realizing the Dream of Flight139ページ)

では、このような空襲、つまりアメリカ側からの攻撃の犠牲になった側からは、どう考えればよいのでしょうか。

これも何度も引用していますが、この点をはっきり示している文書が、198012月に「原爆被爆者対策基本問題懇談会」、略して「基本懇」が発表した意見書です。日本政府ならびに日本社会を牛耳ってきた人たちの基本的な考え方を忠実に示している文書ですので、これに対抗する枠組みが我が国にしっかり定着するまで、打破すべき対象として繰り返し掲げます。

その最初の部分のコピーを再度掲げます。

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 このような、戦争肯定とその被害に対する開き直りを、恥じることなく言語化した人たちが誰だったのかも記憶し続けなくてはなりません。

 委員(全員故人)は、

茅誠司・東京大名誉教授(座長)

大河内一男・東京大名誉教授

緒方彰・NHK解説委員室顧問

久保田きぬ子・東北学院大教授

田中二郎・元最高裁判事

西村熊雄・元フランス大使

御園生圭輔・原子力安全委員会委員の7

茅、大河内の二人は東大の総長を務めた人たちです。日本政治を動かしてきた官僚組織・制度や日本の思考の元となる学問の世界、その他にも財界や産業界等、いわゆるエスタブリッシュメントを構成するエリートたちを育ててきた人たちです。

日米で共通しているのは、「国」という存在が、一人一人の「人間」より優先される世界観です。

日米両国で、1945年、そして1980年には政府の考え方として、軽視されてきた民間人の命や生活は、ウクライナ戦争までには大きく変り、今や世界の世論が無辜の市民・民間人・非戦闘員に対するロシアの攻撃を指弾しています。一つの解釈として、人類が良い方向に進化しているとは考えられないでしょうか。

それに対するロシアの姿勢は、1945年のルメイ将軍とほとんど変わらないように見えます。そんな状況下、私たちには停戦のためにどんな提案ができるのでしょうか。

 [2022/4/15 イライザ]

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2022年4月15日 (金)

ウクライナ戦争は長期化するのか ――一日も早い停戦とロシア軍の撤退を祈っています――

ウクライナ戦争は長期化するのか

――一日も早い停戦とロシア軍の撤退を祈っています――

 

ウクライナ情勢は依然、暗いままですし、戦争が長期化するという見方もかなり強くなっています。アメリカ対ロシアの対立が基本にはあり、中国の立場も視野に入れた地政学的な分析、あるいはすべてがアメリカの陰謀だというようなシナリオもネット上では広がっています。物理学等の科学のように、因果関係が目の前に見える訳ではあませんので真実を理解する難しさはあるにしろ、「戦争」を容認する文化、社会、政治を変えなくては事は収まらないことは、多くの皆さんには賛同して頂けると思います。

それは、何より大切なのが、無辜の市民、民間人、非戦闘員の命と生活だからです。戦争が長期化すれば、いや一日でも長引けば人の命が失われるからです。例えば、太平洋戦争が終る1945815日の一日前、814日から15日の未明にかけて、全国で10か所以上、合計2300人もの民間人が、アメリカ軍の空襲により命を落としています。(毎日新聞電子版2017813日、14日版。次の図も。)

220414   

ウクライナの戦争の報道に触れる度にこうして、太平洋戦争 (あるいは第二次世界大戦、大東亜戦争、または15年戦争等呼び方はいろいろありますが、ここでは太平洋戦争を使います) と重なる映像として見てしまうのは、少しでもその戦争と直接関わりがあったからに違いありません。

まだ2歳半の赤ん坊だったのですが、昭和20年の夏、当時住んでいた千葉市の空襲の記憶は鮮明です。詳しくはまたこのブログにも再掲したいと考えていますが、小著『真珠と桜』(朝日新聞社1986)をお読み頂ければ幸いです。

それ以上に辛い思い出として残っているのは戦後の生活です。食べる物がなく、泥棒は当たり前、そして闇市といった環境だったのですが、忘れられないのはそんな中で見掛けた「浮浪児」です。

上野の公園や新宿のガード下で見掛けた「戦災孤児」は、子どもの私にはとても「怖い」存在でした。被爆者の故岡田美恵子さんは、広島の「原爆孤児」の生活について話されていましたが、戦争の犠牲になった子どもたちはかなりの間、政治が手を差し伸べる訳でもなく、とにかく何とか生きるためだけの毎日を送っていたのではないかと思います。

その広島でも、住む家がなく、本川沿いに「原爆スラム」と呼ばれた、バラック群があったのです。ウイキペディアによると「西側の本川沿いは、生き残った者や疎開から戻ってきた者、引揚者などが焼け残ったトタン板や板切れを使ってバラックを建てて住むようになり、1960年(昭和35年)頃には900戸に及ぶ住居が密集し迷路のようになっていた。」のです。

犠牲者数が、1945年末までに広島では14万人と言われていますし、東京大空襲では一晩で10万人が亡くなったのですから、両親を失った戦災孤児数もそれに比例して多かったはずですし、広島でも東京でも家を失った人の数は想像を絶します。

ウクライナでの犠牲者数はそれとは桁が違いますが、それでも戦災孤児がゼロというはずがありません。そして、病院、商業施設、住宅等、民間施設への爆撃で、町が廃墟と化しているウクライナの映像を見る度に、今、即時に戦争が終ったとしてもこれからのウクライナ市民が如何に苦しく辛い生活を強いられるのか、慰める言葉も見付かりません。

それでも、せめて核兵器を使うことだけは思い止まって欲しい――署名運動を始めたのはそんな祈る気持もあったからなのです。何度もお願いが続いて申し訳ありませんが、署名運動に御協力のほど、宜しくお願いします。

https://www.change.org/p/%E6%A0%B8%E5%85%B5%E5%99%A8%E3%82%92%E4%BD%BF%E3%82%8F%E3%81%AA%E3%81%84-%E3%81%A8-%E3%81%9F%E3%81%A0%E3%81%A1%E3%81%AB%E5%AE%A3%E8%A8%80%E3%81%97%E3%81%A6%E4%B8%8B%E3%81%95%E3%81%84

 [2022/4/15 イライザ]

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2022年4月14日 (木)

The World Financial Reviewのハードコピーが届きました ――ヨーロッパの経済人にメッセージが伝わります――

The World Financial Reviewのハードコピーが届きました

――ヨーロッパの経済人にメッセージが伝わります――

 

Joseph Mazur とは大学院で同級で、今は数学をはじめ理科系のトピックについて、誰にでも分り易いそして最新の情報を満載した多くの本を書いていますが、この分野では第一人者として認められています。

彼の勧めで、Change.orgで始めた「「核兵器を使わない」と、ただちに宣言して下さい!」署名運動、そして核兵器の先制不使用の意味について、彼がインタビューして私が答えるという形の記事を二人で書きました。

それをロンドンに本拠のある隔月発行の経済誌『The World Financial Review』が掲載してくれました。オンライン版は、もう一月前に読めたのですが、ハードコピーが今日届きました。

まずは、こちらがオンライン版の一ページです。

World-financial-review-digital-edition  

そして今日届いたハードコピーの表紙です。

 220413-world-financial-review

ちょっと曲っていますが、輸送中に圧力が掛かったのだと思います。そして記事の第一ページ目です。

220413-wfr-1  

最初のページの写真は、2010年のNPT再検討会議の開催に合わせて行われたニューヨークでのデモ行進です。一番右は長崎の田上市長です。

アカデミックな雑誌ですので発行部数はそれほど多くないそうなのですが、ヨーロッパ中心に、経済や企業の関係者に署名の意味、そして被爆の実相をヒロシマ・長崎で確かめることの大切さが届くことを期待しています。

 [2022/4/14 イライザ]

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2022年4月13日 (水)

ガルージン大使とカーチス・ルメイ将軍 ――ウクライナでの民間人爆撃と東京空襲――

ガルージン大使とカーチス・ルメイ将軍

――ウクライナでの民間人爆撃と東京空襲――

 

49日にTBSの「報道特集」は、金平茂紀キャスターによるロシアのガルージン駐日大使の単独インタビューを放映しました。その動画ですが、YouTubeにアップされていましたので、ここに埋め込みます。最初の1分くらいを御覧下さい。

  私が特に引っ掛かった部分を文字化しておきましょう。

 

[大使] 我々が攻撃しているのは、軍事施設だけで民間施設は攻撃していない。

[金平] 私たちの仲間が私たちの同僚が取材に行って来て、例えば病院とか民間施設が破壊されている現場で実際に目で見て取材してきましたよ

[大使] それはなぜ起きたかというとウクライナ軍が学校や病院から一般人、生徒たちを追放して、それを軍事拠点としたからです

 

その後、病人や一般人が死亡していることを金平キャスターは事実として指摘するのですが、大使は最後まで、同じことを繰り返しています。

 この部分の発言で私の頭に浮かんだのは、1945年の310日の東京大空襲でした。これについては、このブログで311日に簡単に触れています。

そこで強調したのは、記憶し続けることの大切さですが、記憶している私たちの世代が今の時点で語る必要もあることに気付きました。戦争中 (と私たちの世代が言うときの「戦争」は、1945年に終戦を迎えた戦争です)、だけではなく、戦後の歴史についても若い世代の人たちに事実を伝えることが大切です。

 東京大空襲では、一晩に約10万人もの「民間人」が殺されました。B29329機が襲来して、木造家屋を焼く尽くす最も効果的な「焼夷弾」を約2時間の内に33万発も落して、東京の中心部を焼き払ったのです。そして、この作戦を計画、実行、指揮したのが、カーチス・ルメイ司令官でした。

[出典はWikipedia https://www.wikiwand.com/ja/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%81%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%A4]

 一次資料には当っていませんが、次のサイトにはルメイの回想録の中に次の言葉かあるとの引用がされています。他の文献でも読んだ記憶があるのですが、それについては確実な出典が見付かり次第アップします。

 [出典はユダヤ館 「ヒロシマ・長崎への原爆投下と東京大空襲について」

http://www1.s-cat.ne.jp/0123/Jew_ronkou/america/atomic_bomb_holocaust.html]

 戦後、カーチス・ルメイは回想記の中で次のように述べた。

 「私は日本の民間人を殺したのではない。 日本の軍需工場を破壊したのだ。 日本の都市の民家は全て軍需工場だった。 ある家がボルトを作り、隣の家がナットを作り、向かいの家がワッシャを作っていた。 木と紙でできた民家の一軒一軒が、全て我々を攻撃する武器の工場になっていたのだ。 女も子供も老人も全て戦闘員だった。 これをやっつけて何が悪いのか」。

  カーチス・ルメイは東京大空襲を初めとする無差別爆撃、及び、広島・長崎への原爆投下の直接の責任者であった。 しかし、1964126日、日本政府はカーチス・ルメイに勲一等旭日大綬章を授与した。 授与理由は「カーチス・ルメイは日本の航空自衛隊の育成に協力した」というものである。 この時の総理大臣は後にノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作である。

 以上は歴史的事実ですが、ふと頭を過ったのは、「ガルージン大使はカーチス・ルメイの言葉と理屈を知っていたのだろうか?」という疑問でした。

仮に知らなくても、「自然に」思い付いたのかも知れません。何故なら、これは「戦争の論理」だからです。戦争を前提として構成された社会では、このような考え方が大手を振って歩いていても不思議ではないのです。

そして、その答は戦争の否定しかあり得ません。そこに、日本国憲法を世界化する意味があるのです。

このことだけから、ウクライナで起きている戦争を解決することは難しいでしょう。しかし、解決のための様々な可能性を模索しながら、過去の出来事を思い起こしつつ、新たな視点を加えて歴史的教訓を探し、また歴史的事実から、ウクライナ情勢解決の糸口を見つける努力をする上では、少しは役立つのかも知れません。

 [2022/4/13 イライザ]

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2022年4月12日 (火)

農作業の開始です ――今年はどんな種子を撒くのか思案中です――

農作業の開始です

――今年はどんな種子を撒くのか思案中です――

 

毎年今頃から始めるのですが、畑に鍬を入れました。標高340メートルの場所ですので、広島市内より、5度くらい気温が低いことが多いので、今くらいが丁度良いタイミングです。

昨年は友人が耕運機を運んできて畑を耕してくれましたので、楽でした。今年は車が壊れて運べないということでしたので、耕運機を買うことも考えたのですが、結構高いので二の足を踏んで強いました。とは言え、数年前は一人で耕していましたので、面積が約倍になっても、時間を掛ければできるはずですので挑戦です。その面積ですが、約30平米です。

 畑は二面に分けています。一面は葉物を作る場所で、もう一面はトマトやキュウリ、トウモロコシなど動物の被害に遭う物を作っています。金網を張り巡らし、上は鳥対策のネット張りです。囲いの写真はいずれアップしますが、今日は、一日かけて耕した畑の初々しい姿です。

 まずは、葉物栽培の畑です。

Photo_20220411220501  

そしてこちらが、囲いのある畑です。囲いの一部が左上と上に見えます。

Photo_20220411220601   

時間のかかる理由の一つは老化したことなのですが、それ以上に大変なのが、何年も耕しているのに、いまだに大きな石ころを掘り出さなくてはならないことです。下の写真で土の着いているのは、ということは箱の中の半分くらいですが、今回掘り出した石ころです。

Photo_20220411220602   

石ころに鍬が当る度にちょっとイラ付くのですが、その度に、ブラジル被爆者協会の森田さんのことを思い出します。ブラジルに移住して農地として与えられたところは、大きな石ばかりゴロゴロしていて、その石を除けることから始めなくてはならなかった、というお話を伺ったことがあります。生計を立てるための農地ですから、我が家のちっぽけな菜園とは比べ物にならないほど広い畑です。その石を除けて、農地にし、作物を作り生き抜いた森田さん、そしてお仲間の皆さんの御苦労を考えると、こんなちっぽけな苦労で弱音を吐いていては、罰が当ります。

 次に、石灰を撒き、数日おいて肥料を撒いて土と混ぜました。調べてみると、2週間間を置くべきだとのことですが、これまで数年、この間隔で美味しくて大きな野菜が穫れていますので、2週間は来年の課題にします。今年の課題は、あと一つか二つ野菜を増やしたいのですが、何にするかです。好きな野菜全てを加えることのできないのが残念なのですが―――。

 [2022/4/12 イライザ]

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2022年4月11日 (月)

NoFirstUseインタビューの和訳第三回目です ――ウクライナ戦争の終結、核兵器の廃絶に役立つ考え方の一歩です――

NoFirstUseインタビューの和訳第三回目です

――ウクライナ戦争の終結、核兵器の廃絶に役立つ考え方の一歩です――

 

 「「ノーファースト・ユース・グローバル」が、ウクライナ紛争で核兵器を使うな、と訴える秋葉前広島市長にインタビューしました。」 というブログ・インタビューの日本語訳第三回目を掲載します。

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AT: トヴィッシュさん

NFUに対して起こった批判の1つは、2番目の核兵器使用なら全くOKという意味になるというのがあります。この批判にどのように応えますか?

 

TA: 秋葉さん

1番目の使用がない場合、2 番目の使用はありません。数字を数えるとき、234と始めることはありません。1つを数えなければ、2つに達することはできません – 答はそれと同じくらい簡単です。1番目がいなければ、核兵器を使う羽目に陥ることはないのです。

 

AT: トヴィッシュさん

中国とインドについて考えましょう。彼らはNFU政策を採っていますが、パキスタンと米国は違います。だから、中国とインドはことによると先制攻撃で攻撃され、そうなれば、彼らは、いわば、報復する自由を手に入れることになります。ですから、秋葉さんが話しているのは、NFUが普遍的になった状況ですよね。NFU政策をまだ採っていない核兵器保有国がまだ一部にある時点に、NFU政策の採用が実際に利益になるということを人々に納得させる一方で、私たちはどうやって核保有国9ヵ国の内残りの7ヵ国も説得すべきなのでしょうか?

India_china_locator

Wikipediaから

 

TA: 秋葉さん

トヴィッシュさんが話していることは良く分りません。私たちが焦点を当てるべきなのは、中国とインドです。彼らはかなりの間、NFUを採用し、遵守していますが、彼らに対して核兵器を使用した国はありません。中国とインドの国境はしばしば緊張の源となってきていますが、両国がNFU政策を採用して以来、緊張はかなり緩和しています。

オバマ大統領のような一部の指導者が、NFUを世界化する動きを開始しなければならないでしょう。指導者がすべての関係当事国と協議してプロセスを開始するのが理想的です。世界が今経験しているショックを考えると、交渉のテーブルに座ることを拒否する指導者は、市民の間で人気がありません。

そして、ロシアの懸念の一つが、NATOがウクライナにミサイルを配備することだったことを思い出してください。NFU交渉もその懸念解消に役立つでしょう。そのような交渉が始まれば、世界の世論は、「そもそも、どんな国であっても、核兵器を使うことができるなどという権利を誰に与えられたと言うのだ?」、という疑問を発することになるでしょう。

 

AT: トヴィッシュさん

あるインタビューで秋葉さんは、2030/40という数字を使っています。それは今あなたが言っていることを反映していますか?

 

TA: 秋葉さん

はい、かつて平和市長会議による2020年ビジョンキャンペーンがあり、その意味する所は、2015年までに核兵器禁止条約を締結するという中間目標を掲げて、2020年までに全ての核兵器の廃絶を目指すべきであるということでした。そして今、何が起こったのかを見てください。核兵器禁止条約は、私たちの目標からわずか2年後、2017年に現実のものとなりました。世界が複雑で、私たちが市長でしかなかったことを考えると、それほど悪くありません。

しかし、2020年までにすべての核兵器を廃絶するという目標は実現しませんでした。それで今度は、全面廃止の目標を2040年に再設定しようということになりました。「1945年から100年後の2045年はどうか?」、と主張する人もいる。私は5年の違いを強調したいと思います。この「5年」が強調しているのは、核兵器の廃止が、期限を2045年よりも1秒でも早くしようとする、極めて大きな人間の努力の結果であることを、将来の世代に伝える必要があるということです。私たち人類が2040年を目指して誠実な努力をし、それを成し遂げた証しとなります。

しかし、2030年の暫定目標に再度焦点を当てる必要があります。2030年は現実的な目標です。まず第1に、私たちは地球上の多くの人にNFUの考えを広めなければなりません。そのような概念が存在し、実行可能であることを認識している人は多くはありません。今年の残りの期間を、どうにかして大多数の人々の心を動かしましょう。NFU政策が素晴らしく、賢明で、実現可能であることを納得させましょう。

 

AT: トヴィッシュさん

世の中には他の提案があります。中には、多くの段階と多くの方策を踏んで最終目的に到達するというものもあります。ここで話しているのは、基本的に単一の中間ステップしかありません。

明らかに、途中で解決する必要がある他の多くの細目がありますが、NFUについては特別なものがあります。核兵器を先制使用するつもりがないってことを受け入れるなら、それは国防に関しては通常兵器に全面依存し、核兵器には依存しないことになります。一旦その立場をとれば、その後は基本的に、「私たちは核兵器を実際に必要としないので、他国が核兵器を手放す準備のでき次第、私たちは直ちに全ての核兵器を廃棄する」、と言うことになります。ですから、NFUは、廃止という第2段階に進むための弾みを作り出すことになりますね。

 

TA: 秋葉さん

その通りです。また、NFU政策の採用は新たな雰囲気を生むことを忘れてはなりません。その段階に達すると、国家間の関係は根本的に変化します。例えば、核兵器を発射するボタンを持ち歩く必要はもうありません。そのような装置が存在しないということは、核兵器保有国の国家指導者の考え方を変えるでしょう。実際、お互いがNFUに到達する交渉プロセスを通して、心が通じるコミュニケーションの手段が生まれるでしょう。世界的な問題に対処するうえで、新たに様々な可能性が見え始めるでしょう。

ロシアがウクライナを侵略した時、地球上にいる私たちの殆どが大きな衝撃を受けました。世界的問題の大部分に対処して取り組むのは外交だ、という考えに慣れていたからです。国際的に認められ、重要な役割を担っている国が突然、軍事行動に訴えるなんて?

今回、世界が共有した衝撃は、世界の多数派の意見と感情を表しています。そして今こそ、この考え方が全ての国の指導者に広がる時です。

今回、この危機が再び明らかにしているのは、外交と交渉が国家主義的な違いや問題を解決する段階に、世界が到達したということです。言い換えれば、私たちの語彙から戦争を消す時が来たということです。

 

AT: トヴィッシュさん

NFUの長所の1つは、責任負担を転嫁することだ、と私は思っています。抑止力が根拠にしている考え方は、攻撃しないのは、うまく行かないからで、攻撃すること自体が悪いことだという理由ではないからです。しかし、NFUを採用した場合は、攻撃すること自体が酷いことだという判断があるからで、その結果、自分にとってどのようなことが起こるのかが問題なのではありません。だから、核戦争を開始したという責めを負うことにならないよう、自らの責任を果たすのです。その方針を示すことで、他の核兵器保有国が、同様の責任を引き受ける必要が生じます。そうすれば私たちは最早、世界を完全破壊すると脅すことで、世界を救うという観念から解放されます。世界を絶滅させるかもしれないという可能性を世界に押し付けるという概念がおぞましいからなのです。秋葉さんがおっしゃっていたように、世界の言動は本当の変化を伴うでしょうね。

 

TA: 秋葉さん

はいそうです。NFUは論理的に抑止不要論なのです。抑止論は核保有国が核兵器を使用することを前提にしているからです。言い換えれば、抑止論が乗っている前提が無くなるのです。抑止論崇拝者でさえ目覚めなければならないでしょう。

 

AT: トヴィッシュさん

核兵器不拡散条約は定期的に見直され、直近の再検討会議は、広島・長崎原爆投下75周年、条約50周年(2020年)にあるはずだったのですが、今年8月まで延期されました。世界の国々が一堂に会し、核兵器について具体的に語るのは、7年ぶりのことです。

全ての非核兵器保有国が核兵器保有国に、お互い同士脅しあうことと、核兵器使用に対する前向きな姿勢は、最早受け入れられないことを、どうやったら理解させられるのでしょうか。

 

TA: 秋葉さん

ウクライナの事態がそれを明らかに示していて、何も追加する必要はないと私は思います。今の危機は、人類の終わりとなる第三次世界大戦になる可能性があるという事実を指し示しています。理性のある人なら、誰もがそれを非常にはっきりと理解ができます。

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今回で終ります。一回目、二回目もお読み頂ければ幸いです。

[2022/4/11 イライザ]

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2022年4月10日 (日)

NoFirstUseインタビューの和訳第二回目です ――少し長いですが、お付き合い下さい――

NoFirstUseインタビューの和訳第二回目です

――少し長いですが、お付き合い下さい――

 

 「「ノーファースト・ユース・グローバル」が、ウクライナ紛争で核兵器を使うな、と訴える秋葉前広島市長にインタビューしました。」 というブログ・インタビューの日本語訳第二回目を掲載します。

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責任ある立場の人が核兵器使用の可能性に言及して世界を脅迫することを、被爆者は誰一人想像できませんでした。プーチン大統領があり得ない一線を越えたのは、広島と長崎での被爆者の経験を十分に理解していないからです。あの悲劇を内面化した人なら、核兵器を使ったり、核兵器を使うと脅したりすることは、想像だにできないでしょう

核兵器の使用を決断する超核兵器保有国の指導者として、プーチン大統領はその決断を下す前に、できるだけ早く広島を訪問しなければならない、と私は信じています。他の全ての核兵器保有国の指導者も、同じ義務を持ってしています。

 半世紀以上にわたり広島を訪れた訪問者を観察してきた私の経験から言うと、広島を訪れ、平和記念資料館を視察し、被爆者の声に耳を傾け、生死を語り合い、市民と交流する人は殆ど誰も、同じ結論に達します。それは、広島に来るまで核兵器の恐ろしさや非人道性を、理解していなかったということです。そしてどんな国も核兵器を使用してはならないということです。

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資料館入口付近(オバマ大統領の広島訪問直後)

プーチン大統領にそんな訪問の時間がないなら、その時は広島の中でも爆心地と原爆ドームがある選挙区から選ばれている、岸田首相が介入すべきです。首相は既に亡くなった被爆者、更に重要なことに、まだ苦しみ続け、今回の脅しを非常に心配する人々について知識が豊富です。首相はモスクワに飛び、プーチン大統領に、歴史的事実から核兵器を使うことがどれ程恐ろしいかを伝えるべきです。更にニューヨークにも行って、安全保障理事会に出席し、他の核兵器保有国首脳に向けて同じことを主張すべきです。岸田首相は、選挙区の人々を代弁する法的責任を負っていて、それには、被爆者の声、歴史的遺産、選挙区の有権者の意志が含まれます。

私は東京生まれですが、12年間広島市長を務めたということを指摘しなければなりません。私は1945年8月6日に広島にいなかったのです。しかしそれは、世界に対して、私が被爆者を含む広島市民の代表として行動することとは矛盾しません。その役割を果すための地位に彼らは自らの意思で選んだのですから。広島の市民や被爆者から同じように選ばれた総理大臣なのですから、岸田さんには更に大きな責任があります。今、彼は市民と被爆者の意志に基づいて日本国政府を動かすことができるからです。

AT: トヴィッシュさん

それで署名運動が今進行していて、賛同署名が10万人に近づいています。Change.orgにとってはとても素晴らしい成果となっています。10万に達したら何か具体的な計画をお持ちですか?

TA: 秋葉さん

もうプーチン大統領と岸田首相に手紙を送くりました、賛同者の数が5万人を少し上回った時のことです。ですから次の目標は、数が10万に達した時、プーチン大統領、岸田総理、他の核保有国首脳に、手紙を再度送りたいと思います。

AT: トヴィッシュさん

紛争のエスカレーションはいろいろな形で起こる可能性があるので、それをするのに必要な手段を持っている全ての国は、このメッセージを聞く必要があるってことですね。

TA: 秋葉さん

誰でも公に表明した立場を変えるためには、ちょっと背中を押して貰うと上手く行く場合があります。その人に対して怒鳴るだけでは上手く行かないでしょう。おそらく、より良い方法は、妥協できる環境を作ることです。

妥協点を指し示すあらゆる可能性、核兵器を使用しないよう促すものは、何でも検討する価値があります。ロシア以外の核兵器保有国が、「ねえ、君のとこが核兵器を使用しないと約束するなら、私たちはこの武力紛争で核兵器を使用しないと約束するよ」、って提案してみてはどうでしょうか。更に一歩進んで、核兵器で攻撃されない限り、どこも他国に核兵器を使用しないと宣言するのはどうでしょう。それが「ノー・ファースト・ユース(核兵器の先制不使用)」です。

AT: トヴィッシュさん

この署名運動について最近の日本の新聞記事で、秋葉さんはノー・ファースト・ユース(以下NFU)と核兵器廃絶との関係について説明していました。論理的な観点からだけでなく、政治的な観点からも、少し時間を取ってそれについてお話していただけませんか?

TA: 秋葉さん

分かりました。仮にある核兵器保有国の指導者が、個人的に、そして内緒で核兵器の廃絶を望んでいる、従って、その国は核兵器禁止条約を批准すべきだ、と考えているとしましょう。しかし批准は、核兵器やその他の関連施設を物理的に撤去しなければならないことを意味します。また、国の産業構造を変更する必要があります。より技術的な詳細が、そのような非常に大きな決定に伴って起こるでしょうね。

核兵器禁止条約締約国会議は、この側面を明確にしようとするでしょう。この手順は、条約に法的強制力を持たせるために必要ですが、同時に核兵器の廃絶を密かに望んではいるが、現状に縛られている指導者にとって、物事を困難にするだけです。

私たちがしなければならないことの1つは、仕事をより困難にしないことです。私たちは秘密の願いが達成しやすくなるよう工夫すべきです。例えばニンジンのようなものが考えられないでしょうか。

例えば、「これは今、直ちに核兵器禁止条約を完全に批准するよりも簡単だねー。この一段なら登れそうだし、それ程費用もかからない。国民の過半数からすぐに支持されるのに十分な説得力があるし、核兵器禁止条約批准への良い足がかりとなるぞ。」、という風に指導者が解釈できるようなものです。

それがNFU政策の採用です。これが実行しやすい理由はいくつかあります。第1に、中国とインドは既にNFUを宣言していて、それを守っています。9つの核兵器保有国の内、2つの国がもう同意しているのです。これは、核兵器保有国はどこも批准していない核兵器禁止条約よりも進んでいます。そして第2は、NFUはオバマ大統領が、国連を通じて国際協定にしようとしたことがあるからです。 残念ながらそのイニシアチは、当時の安倍首相の反対によって潰されてしまいましたが、米国では、NFUを支持する強い波が急速に広がっています。だから、バイデン大統領がそれを受け入れることには大きな期待が持てます。

第3に、中国とインド以外の核兵器保有国も、非核兵器地帯条約を批准し、NFUの原則に合意していることです。例えば、ラテンアメリカとカリブ海地域を対象とするトラテロルコ条約は、この地域の国々が核兵器を保有することを禁じています。更に、安保理常任理事国である5つの核兵器保有国が、この地域で核兵器を使用しないことに合意しています。同条約を批准し付属議定書に署名することで、限られた地域内ではありますが、5つの核兵器保有国が、既にNFU政策に合意しているのです。それは良い兆候です。

私たちは、NFU政策の普遍化に部分的な成功を収めました。これをもう少し推し進めて、NFU政策を他の核兵器保有国と他の世界各国広めることだけが残されています。

NFUのもう1つの長所は、簡単だということです。単なる宣言ですから、既存の施設を解体したり、核弾頭やミサイルを解体したりする必要はありません。単なる宣言であっても、ほんの少しだけお互いを信頼し始めることによって、NFU政策が現実に機能することを世界が理解すれば、より平和な世界へと転じるでしょう。

それは、核兵器保有国の指導者たちが、核兵器禁止条約と核兵器廃絶の残りのプロセスを、もっと自信をもって受け入れられることを意味します。言い換えればNFUは、核兵器禁止条約というより高い目標に辿り着くためのちょっと低い足掛かりなのです。それが私の提案です。非常に高い目標を達成するのは難しいかもしれませんが、初めの一歩を登り始められれば、次の目的地に少し到達しやすくなります。核兵器保有国の指導者がすぐに踏み出せる一歩は、NFUなのです。

**************************************

 続きます。

[2022/4/10 イライザ]

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2022年4月 9日 (土)

NoFirstUseインタビューの和訳です ――山田達也さんが訳してくれました――

NoFirstUseインタビューの和訳です

――山田達也さんが訳してくれました――

 

このブログの45日号で報告しましたが、NoFirsUse Globalが、「核兵器を使わせない」署名運動を紹介してくれ、さらに私のインタビューを掲載してくれました

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核兵器の先制使用を核保有国に宣言させるために活動している国際NGOですが、署名運動の中でも、核の先制不使用がカギになることを強調しています。

 ちょっと長くなりますが、その内容を友人の山田達也さんが日本語に訳してくれました。三回に分けて、掲載しますので、お読み頂ければ幸いです。

 

第一回

 「ノーファースト・ユース・グローバル」が、ウクライナ紛争で核兵器を使うな、と訴える秋葉前広島市長にインタビューしました。

秋葉忠利さんは1999年に広島市長に就任、平和市長会議の議長も務められました。2003年には、第7回核兵器不拡散条約(以下NPT)再検討会議の第2回準備委員会で演説し、平和市長会議が核兵器廃絶に向けた都市の国際運動の立上を目指す旨を発表なさっております。これを受けて2020ビジョンキャンペーン(2020年までに核兵器廃絶を目指す)が誕生。秋葉さんが市長に在任していた2011年までに、平和市長会議の加盟都市数は500未満から5000超に増え、同会議は10億人を優に超える人口を代表するようになりました。今回、秋葉忠利さんにインタビューしているのは、2015年まで2020ビジョンキャンペーンの国際ディレクターを務めたアーロン・トヴィッシュさんです。

インタビューを読むに当たって必要と思われる背景:

2020ビジョンキャンペーンは2006年に、国連総会(以下UNGA)が「多国間核軍縮交渉の前進に関する公開作業部会」を設立するよう、初めて提案した。2010年に国連総会はその提案を受け入れ、2015年には同作業部会が国連総会に、核兵器禁止条約(以下TPNW)に関する交渉会議を、国連の主導で開催するよう勧告した。その交渉の成果は2017年国連総会に提案され、国連総会は「核兵器禁止条約」を、署名のために開放することを承認、同条約は、2020年までに締約国50ヵ国による批准を受け、2021年に発効した。

*核兵器禁止条約は、第1条で、(a)核兵器その他の核爆発装置(以下「核兵器」という。)の開発、実験、生産、製造、取得、保有又は貯蔵、(b)核兵器又はその管理の直接的・間接的な移転、(c)核兵器又はその管理の直接的・間接的な受領、(d)核兵器の使用又は使用の威嚇、(e)この条約が禁止する活動に対する援助、奨励又は勧誘、(f)この条約が禁止する活動に対する援助の求め又は受入れ、(g)自国の領域又は管轄・管理下にある場所への核兵器の配備、設置又は展開の容認等を禁止することについて規定している。核兵器不拡散条約とは異なり、同条約では一部の国に核兵器国としての地位を認めておらず、条約の義務は全締約国に適用される。同条の規定にかかわらず、核兵器を保有する国が核兵器を可及的速やかに破棄することが義務付けられている。

秋葉忠利さんは現在、前広島市長として、原子爆弾の被害を受け、その後生き抜いてきた方々、被爆者の心そして祈願を再び取り上げています。アーロン・トヴィッシュさんは現在「ノーファースト・ユース・グローバル」運営委員会の委員です。

Interview インタビュー

AT: トヴィッシュさん

秋葉さんが、今回、change.orgで訴えることになった、動機って何だったのでしょう?

TA:  秋葉さん

ウクライナで武力紛争が始まって、プーチン大統領が核兵器を使うと少なくとも2度、脅しました。第1に、それは国際法違反です。違法であることを明らかにする、幾つかの事実も指摘しましょう。

1つ目は国際司法裁判所(以下ICJ)が1996年に出した勧告的意見です。勧告的意見ではあるものの、国際問題の合法性について考える上で大きな重みを持っています。その意見でICJは、核兵器の使用や使用するという脅迫は、一般的に国際法に違反すると述べています。一方でICJは例外を認めていて、国の存亡そのものが危険にさらされるような脅威に直面した場合においては、ICJは判断を下すことができない、と断っています。ロシアは今回、国の存亡そのものが危険にさらされる脅威には直面していません。結果として勧告的意見の例外規定は適用されません。

*勧告的意見:核兵器の威嚇又は使用は、武力紛争に適用される国際法の要件及び特に人道法の原則及び規則に一般的に違反することとなる。しかしながら、国際法の現状及び入手可能な事実関係に鑑み、裁判所は、国の生存そのものが問題となるような極限状況における核兵器の威嚇又は使用が合法か違法かを確定的に結論することはできない(賛成7-反対7、裁判長の決定票)」 としつつ、「厳格かつ効果的な国際管理の下におけるあらゆる側面での核軍縮を目指す交渉を誠実に行い、かつ妥結させる義務が存在する(全会一致)

2つ目は、核兵器禁止条約は勧告的意見における例外として存在している隙間を埋めているのです。核兵器禁止条約は、核兵器保有国と核兵器依存国がそれを批准していなくても、正真正銘の国際法で、核兵器に関連する各国の行動を規定する効力を持つ国際法です。その核兵器条約は核兵器を使うぞと脅すことを禁じています。

3つ目は、ロシアを含む核保有5ヵ国の首脳が、(今年)1月3日に共同声明を発表して、それぞれの国の保有する核兵器が相手国に対して、また他のどの国に対しても向けられていないことを明言しました。ところが、プーチンは今、それを使うかもしれないと言い、自らの言葉と矛盾した発言をしているのです。彼は共同声明を守って行動しなければなりません。勿論それに署名した他の核兵器保有国の首脳もそうすべきです。

プーチンの言葉に被爆者はショックを受け、筆舌に尽くしがたい恐怖を感じ、言い表せない気持ちに陥りました。(1945年)86日と89日を思い出したからです。プーチンの脅しがどんなことをもたらすのかを、被爆者は思い出したのです。そしてプーチンが核爆弾を使うのを止めさせるために何かしなければならないと感じたのです。私も全く同じように感じています。

1人の弱い個人として、私は change.org というインターネット署名を集めるメカニズムを使いました。このキャンペーンは、プーチン大統領に核爆弾を使用しないと宣言するよう、説得することが目的です。この陳情はまた、他の核兵器保有国に対し、核兵器を使用しないと公表することでプーチン大統領のイニシアチブに続くよう訴えています。そして、このキャンペーンは10万人近くの署名を集めていて、世界中の人々によって支持されています。

 次回に続きます。

[2022/4/9 イライザ]

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2022年4月 8日 (金)

ようやく春らしくなってきました ――ウォーキングのルートで見る花――

ようやく春らしくなってきました

――ウォーキングのルートで見る花――

 

このところ、Change.orgの署名運動をはじめとするいくつかの仕事に追われて、ブログの更新まで手が回らなくなってしまいました。今日は簡単に、毎朝のウォーキングの報告です。

 我が家の近くにもようやく春が巡ってきました。散歩道と言うと、かなりゆったり歩くイメージになってしまいますので、スピード感を出すために、「ウォーキング」と「ルート」という片仮名を援用します。そのルートで見かける花の写真です。

Photo_20220407173701  

Photo_20220407173702

Photo_20220407173801  

 48日の「花まつり」にあやかって、花の報告でした。

 [2022/4/8 イライザ]

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2022年4月 5日 (火)

NoFirstUse Globalのブログに掲載されました ――国際的連携が深まっています――

NoFirstUse Globalのブログに掲載されました

――国際的連携が深まっています――

 

本ブログの314日号でもお伝えしましたが、海外に拠点を持つ平和運動団体との連携も深まってきました。

これらの団体のホームページには活動報告や世界の最新ニュース、そして他の団体や個人の紹介等が掲載されていますが、もう一つ大切なのが、その団体の主張等をまとめた「社説」的なコラムのあることです。「ブログ」として、特別の扱いをしているところも多くあります。

 NoFirstUse Globalは、ブログで「in-depth(掘り下げた、特集、詳細ななどの意味) の分析や主張を行っています。そのブログに、私の長年の友人であり、かつては同僚だったAaron Tovish氏によるインタビュー記事が載りました。

220405-nofirstuse-global  

このブログ記事を通して、Change.orgの署名運動がさらに広がることを期待しています。

 [2022/4/5 イライザ]

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2022年4月 4日 (月)

マグサイサイ賞受賞者・財団関係者にも応援を頼みました ――私の参加しているメーリング・リストに一つずつ依頼しています――

マグサイサイ賞受賞者・財団関係者にも応援を頼みました

――私の参加しているメーリング・リストに一つずつ依頼しています――

 

Change.orgの署名活動「「核兵器を使わない」と、ただちに宣言して下さい!」をより多くの人に知って貰うため、私の参加しているメーリング・リストに、署名運動の趣旨とサイトを紹介しています。

今日は、ラモン・マグサイサイ賞の受賞者や財団その他の関係者に依頼のメールを送りました。

Ramon-magsaysay-award   

以下、依頼文です。

**********************************

 友人の皆様

 ウクライナでの戦争に憂慮している皆様と同じ気持ですので、核戦争を回避するための私の活動を共有したいと思います。

 URLを貼り付けましたので、趣旨を説明しているビデオを御覧下さい。

また、署名のサイトを貼り付けました。

これまで既に、プーチン大統領宛に、「この戦争で核兵器は使いません」と宣言してください、という趣旨の書簡を送りました。また岸田総理には、プーチン大統領が宣言をだすよう、さらに核保有国の首脳も同趣旨の宣言をするよう説得して欲しい旨の書簡を出しています。

賛同署名数が10万を超えた場合、第二弾としてこの二人に加えて、核保有国首脳全てに要請の書簡を送るつもりです。

 この署名運動の趣旨に賛同して頂けるのであれば、是非署名をお願いします。さらに、この運動を多くの人に拡散して下さい。その結果、より多くの皆さんの賛同が得られるよう御協力下さい。

2010年マグサイサイ賞受賞者・秋葉忠利

 [2022/4/4 イライザ]

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2022年4月 3日 (日)

憲法に戻ろう ――ゼレンスキー大統領が尊重したのに、日本の政治家が無視するとは?――

憲法に戻ろう

――ゼレンスキー大統領が尊重したのに、日本の政治家が無視するとは?――

 

いつも長くなってしまいますので、今日は手短に、日本国憲法について考えます。

Photo_20220402235901   

ウクライナへのロシアの侵攻、その結果、多くの市民が命を失い住む場所からも追い出されている非人間的な状況を何とかしたいと多くの人が考えていますが、私たちに取って、このような戦争と平和の問題を考える上で「原点」になるのが日本国憲法です。特に第9条ですが、その他にも大切な条文がたくさんあります。そして、そのことは、日本に関心のある他国にも伝わり、日本国憲法の平和主義を尊重することが国際関係の基本になっています。

 その好例が、323日に行われたゼレンスキー大統領の国会演説です。324日の本ブログでは、大統領演説を取り上げ、その冒頭で次のようなコメントを載せました。

「他国向けの演説と比べてトーンを落として、やや抽象的な印象でした。それは、日本国憲法第9条によって、日本という国が戦争に関わることができないという事実を尊重したからなのだろうというのが私の感想です。」

 全文も読んで頂きたいのですが、私の感想がその通りだったことが、31日に行われたウクライナのコルスンスキー駐日大使の記者会見で明らかになりました。ロシアのウクライナ軍事侵攻に対する日本の役割について述べる中で、「日本の文化的、法的、政治的環境を理解した上で言葉を選んで行われた」と説明し、特に「憲法9条にも配慮した」とも言っています。

 現在、戦争のさなかにあるウクライナが日本の平和憲法を尊重しているのに対して、安部元総理はじめ、一部の政治家や評論家やマスコミ等の主張はその正反対で、日本が核兵器の「共有」をすべきだという暴論まで飛び出しています。この点については、本ブログの31日号で取り上げています。署名運動を立ち上げる一つの理由でもありました。

憲法98条は、この憲法が法的に日本国の「最高法規」であることを規定していますし、99条では特に、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と、政治家たちには、憲法を遵守する義務があると釘を刺しています。

 参考のために、拙著『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論――』にもより詳しい解説を載せています。

 [2022/4/3 イライザ]

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2022年4月 2日 (土)

署名運動のもう一つの意味 ――被爆者の人生ストーリーを共有する――

署名運動のもう一つの意味

――被爆者の人生ストーリーを共有する――

 

ウクライナの紛争で核兵器を使ってはならない、という声が世界的に広まっています。そのための署名運動も世界的に展開されています。例えば、AVAAZという署名サイトで、核戦争防止国際医師の会 (IPPNW) はじめ、16のノーベル平和賞受賞者や団体が賛同している署名運動が展開され、既に100万以上の署名が寄せられています。その日本語のサイトはこちらです。(こちらを「IPPNW署名」と呼びましょう)

Avaaz  

趣旨の全文は、サイトでお読み下さい

 どのサイトでも一人でも多くの方が署名することで、核兵器を使わせないという意思表示になりますので、御協力をお願いします。

 もちろん、私がChange.orgで始めた「「核兵器を使わない」と、ただちに宣言して下さい!」署名 (長いので「被爆者署名」と略します) にも、より多くの皆さんに賛同して頂きたいと願っています。

 そのために、「IPPNW署名」と「被爆者署名」との違い、特になぜ私が「被爆者署名」を始めたのかを「解説」します。自分で書いた趣意書を自分で「解説」するのもおかしな話なのですが、224日と27日の、プーチン大統領による脅しに対して何かしなくてはという危機感が先行して書いたものですので、それを少しでも分り易く書き換えるのも私の責任です。戦争そのものについても言及したいのですが、スペースがありませんので、核兵器の使用に焦点を合わせます。

 

(A) 「IPPNW署名」の趣旨――科学的説得

① ウクライナ侵攻は大規模核戦争を引き起こす可能性がある。

② それは、人類の滅亡につながる可能性がある。

③ ロシアとNATOどちらも、核兵器を使わないことを求める。

④ 全世界が核兵器禁止条約を支持するよう求める。

この全てに私は大賛成ですし、皆さんも同じ考えのはずです。短い趣意書ですからこれ以上のことを盛り込むのは無理ですし、簡単明瞭に趣旨が伝わる「意見書」ですが、世界的に展開されてきた、核戦争によっていかに非人間的な結果が生じるのかという科学的知見に裏付けられた説得力を持っています。

それに対して私の「被爆者署名」の趣意書は、被爆体験と被爆者の辿ってきた人生を元にしての考察をしています。

 

(B) 「被爆者署名」の趣旨--被爆者の人生ストーリーを共有する

① 脅しが現実になると、攻撃された都市では被爆者が実際に体験した「生き地獄」が現実になる。

 

(B 1) 大規模核戦争になり、人類は滅亡する場合――この場合は、「IPPNW署名」と同趣旨のシナリオになる。

 

(B 2) 「限定」核戦争で止まり人類は滅亡しない場合――この可能性も検証しておく必要がある。

  ② 核兵器によってもたらされた結果は、ドローンとインターネットで瞬時に世界に共有され、高画質画面で数億、数十億の人たちの居間に届けられる。(B 1)の場合もこれに準じたことが起きる。

  ③ その結果、「こんなに悲惨で惨い兵器は即座に廃絶しなくてはならない」という世論が世界を覆い、核兵器は廃絶される。(B 1)の場合もこれに準じたことが起きる。

  ④ 同時に、そのような結果をもたらしたロシアとプーチン大統領は、(もし人類が滅亡しないとすれば) 永遠に「極悪人」として記憶される。(B 1)の場合もこれに準じたことが起きる。

  ⑤ このシナリオ通りに核兵器が廃絶されても、核兵器の使用が前提なので、数万、数十万あるいは億単位の犠牲が出ることになる。

  ⑥ そのような犠牲者を一人たりと雖も生んではならないというのが被爆者のメッセージ、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」である。

  ⑦ 犠牲なしで核兵器を廃絶させる道がある。その第一歩は、今回の紛争でロシアが核兵器を使わないと宣言し、他の核保有国も不使用宣言を行うことである。

  ⑧ 続いて、すべての核保有国が核の先制不使用を宣言し、それに続いて核兵器禁止条約批准の準備を始めることである。

  ⑨ 上記の④が、今回の核使用を止まらせる可能性がある。

 

 (B 3) 根源は、被爆の実相を知らないこと――より長期的に考える

  ⑩ 今回の核使用は回避できたと仮定する。その先を考える。

  ⑪ 人類滅亡は避けなくてはならないことは言うまでもない。しかし、人類全体の運命如何にかかわらず、被爆者の言葉「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」は、その前の段階、つまり核兵器によって作り出される「生き地獄」が瞬時であっても存在してはいけないという意味だ。つまり、(B) の①があってはならないということである。

  ⑫ にもかかわらず、核兵器を使うぞという脅しが元になっている「核抑止論」が生き続けているのは、核保有国のリーダーたちが、広島・長崎の被爆の実相を知らないからだ。

  ⑬ リーダーたちは、できるだけ早い時期に広島・長崎を訪問すべきだ。

  ⑭ プーチン大統領に「常識」が通用すると仮定して、核のボタンを押す前に広島・長崎を訪問できないのであれば、岸田総理がモスクワに飛んで、被爆地選出の総理大臣として、プーチン大統領に被爆の実相を伝えた上で、核使用をしないと宣言するよう説得すべきだ。

  ⑮ さらに、安保理事会で核保有国に対して同様の働き掛けをして、まずは核の先制不使用宣言を出すよう説得すべきだ。

 

荒っぽい筋書きなのですが、例えば、核のボタンを押す権限が大統領だけに与えられているという現在の政治的現実と核抑止論は表裏一体の関係にありますが、それがいかに危険なシステムなのかは、今回、疑いもなく明らかになりました。トランプ大統領が就任した時よりそれが如実に実感できることになったのは皮肉ですが、それも、元はといえば被爆の実相が世界的に共有されていないからだと考えられます。

日本政府、それを動かすことのできる私たちの責任は重大です。

[2022/4/2 イライザ]

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2022年4月 1日 (金)

署名運動にも力があります ――変化は起こせます。希望も創れます。――

署名運動にも力があります

――変化は起こせます。希望も創れます。――

 

昨日は、署名運動には力のあることをお伝えするために、二つの事実のうちの一つを御紹介しました。その二つとは、(I) 世界は変えられること。その証拠として1982年から2005年の間に大きな変化の起きたことを検証する。(II) 同時に、時代を超えた真実のあること。中でも希望が大切であることと、希望も創り出せるという真実。

 (I) については、(A) 1982年と2005年の間にアメリカでは、被爆者や被爆体験についての考え方に大きな変化があった。とまとめました。

 今回は (II) の希望がテーマです。2005年の8月に数学教育協議会の全国研究大会が広島で開かれました。その最終日10日には数学と平和について、当時の大妻大学教授野崎昭弘先生 (学生の時に函数論を教えて頂きました) と私が対談をしました。

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野崎先生の著書の一つ

 

最後に、「現在の世界情勢、社会情勢を見ると絶望的にならざるを得ないと感じている人が多いのではないか。そんな状況の中でどのように希望を見付ければ良いのか」という質問がありました。今の今、そう感じている方がいても不思議ではありません。

その時には十分には答えられなかったのですが、後日「ひろめーる」にまとめたものを引用します。タイトルは (B) 「希望の見つけ方」です。

 本論に入る前にという位の位置付けで、何故希望を見付ける必要があるのかを、一つの視点----私はこの視点がとても大切だと考えているのですが---からの確認をさせて貰いました。それは、希望があるかないかによって、核兵器廃絶のための私たちの行動を変えるべきではない、ということです。核不拡散条約再検討会議で良い結果が出たかどうかで私たちの行動を決めるべきではない、ということでもあり、その他、私たちを取り巻く様々な状況が、私たちにとって好ましいものかどうかで、核兵器廃絶運動をどの方向に持って行くのかを考えない方が良いだろうということでもあります。

 勿論、変化の方向が大切なのですが、往々にして、状況が悪いとがっかりして、力が出てこないのが、私たちが日常的に経験していることです。しかも、それを当たり前のこととして、受け止める傾向があるような気がしているのですが、それで良いのでしょうか、という問題提起でもあります。

 その理由は、前回触れたラッセルやアインシュタイン、その他多くの識者が指摘してきた事実、「人類が核兵器を廃絶するか、核兵器が人類を滅亡させるか、その選択は私たちに懸っている」です。状況が悪いときにこそ、核兵器を廃絶するための努力をなお一層強めなければ、私たちの目的は達成できないからです。希望が見えなければ、いや見えなくても、私たち自身で希望を見付けて努力を続ける必要があるのです。

 では、どのようにすれば希望は見付かるのでしょうか。ここからが本論だったのですが、10日には時間がなくなってしまいました。以下、10日に言いたかったことを簡単にまとめたいと思います。

 心理学でもまたベストセラーになっている人生の指南書の類でも、多くの人に希望を与える鍵になっているのは、また私自身、励まされて来たのは、恐らく究極的と言っても良いほどの絶望的な状況の中でそれでも人間性を失わずに生き続けた被爆者やナチスの収容所からの生還者の生き方であり、希望の発見の仕方です。中には、一見、私たちの日常的感覚からすると英雄的には見えないような事柄もあるのですが、それでも、人により場所や時により大きな勇気と希望の種になっている不思議さもあります。

 85日付の朝日新聞に載った安佐北区の小島繁美さんの投書はその一例です。小島さんに希望を与えたのは兄妹の会話です。

 「昭和20年の87日の昼下がり、広島市・宇品港の岸壁近くの砂地でいつ出るともあてのない島まわりの船を待っていた。---中略---

ふと気がつくと、近くの草むらで人声がした。きょうだいらしい二人。妹は13歳前後。兄は23歳年長か、着衣はボロボロでかなりの重症と見えた。妹は外傷が無いようで、自らの身体で日陰をつくって兄を気遣い、話しかけていた。

 『お兄ちゃん、帰ったら母さんに「おはぎ」を作ってもらおうね』。---中略---最高にぜいたくで幻の食べ物だった「おはぎ」という言葉に、現実に戻され、希望を与えられた。」

 この短い文章からは、小島さんが希望を見付ける心の動きと共に、兄妹の気持まで伝わってきます。お兄ちゃんはおはぎが好物だったのでしょう。それを良く知っている妹は、頼りにしているお兄ちゃんに、元気になって貰いたくて、そのお兄ちゃんと一緒に家に帰りたくて、おはぎの話をしたのではないでしょうか。船を待つわずかな間、おはぎのイメージが、小島さんだけではなくこの兄妹にも大きな希望を与えたであろうことは疑う余地もありません。家に無事辿り着いたことを小島さんと共に今でも祈っています。

 これは、ヴィクトール・フランクルが彼の著書『Man’s Search for Meaning(意味を求める人間)』の中で述べていることにもつながっています。余りにも過酷な運命に絶望する人が次々と死に行く収容所の中で、それでも生き残った人たちに共通していたのは、収容所から解放された未来の自分の姿を具体的なイメージとして描けたという点だったと彼は観察しています。未来を描ける力と言っても良いのかも知れません。その未来をおはぎに託すことの出来た少女の知恵は、現在の私たちにも伝わっているはずです。

 おはぎが余りにも即物的なら、朝顔の種を蒔くという手もあります。毎朝、朝顔が幾つ咲くのかを楽しみにするのも未来を描くことに繋がります。

 もう少し俗世間的な次元で考えると、愚痴を聞いて貰いたくなるようなときは誰にでもあるはずです。相手が誰でも良いことにはならないでしょうから、たまには愚痴を聞いてもらえるような家族関係を作っておくことが必要だということになるでしょう。となると、「世界平和は家庭の平和から」という、半分は自戒の意味で使われている言葉が別の意味を持ってくるように思います。

 最後に、こうした幾つかの可能性が示唆しているのは、フランクルの言葉を再度借りれば「人間が心から願い望む最高の目的は愛であるという真実」だということなのではないでしょうか。と、ここまで書き進めて改めて気付いたことなのですが、これまで意識して「愛」という視点から「原爆」あるいは「被爆者」を考えるということは余り行われてこなかったような気がします。被爆体験の非人間的極致を考えれば当然とも言えるのですが、被爆体験をより広く理解して貰うため、また核兵器廃絶へのエネルギーを集めるためにも、この視点も付け加えて被爆体験を見詰め直すことがあっても良いような気がしてきました。

 

署名運動に戻ると、署名すること自体が「希望」の表現になっていることもあるでしょうし、他の人たちの「希望」とつながることで社会を変えるための新たなエネルギーになるかもしれません。そして、この署名にどこかで何らかの形で触れる人が形作る鎖が、世界を動かすリーダーにつながるかも知れないのです。

 [2022/4/1 イライザ]

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