キエフではなくキーウに ――ローマ字ではKiev ではなくKyivです――
キエフではなくキーウに
――ローマ字ではKiev ではなくKyivです――
毎日新聞のオンライン版3月19日号によると、自民党内でウクライナの首都の日本語名称を「キエフ」ではなく「キーウ」に変えるべきだとの声が強まっているそうです。
3月3日に、河野太郎・党広報本部長がツイッターで、「ウクライナに侵略している国の言葉を使うのをやめてウクライナ語でキイフ(キーウと同義)と呼ぼう」と投稿したのが始まりだとのことです。
Wikiwand によると、ウクライナで採用している公式ローマ字つづりは、「Kyiv」だそうで、外交文書などではこのつづりが使われているのだそうです。
Wikiwandでは、実際にウクライナで「Kyiv」がどう発音されているのかも知ることができます。私の耳には「キーユ」に近い音に聞こえました。「Ukraine」の方も聞いてみましたが、「ユクレニナ」の方が近い感じでした。
かなり長い間、ローマ字つづりは「Kiev」が使われていたようなのですが、それは元々ロシア語からのローマ字化だったということで、2014年のロシア-ウクライナ戦争後は西欧では使われなくなったとのことです。
大辞林第三版では「Kiev」が使われています。
固有名詞の発音は、原則その固有名詞の持ち主の意思に従うべきだと思います。人の名前なら、本人がどう発音しているのかに従うべきでしょうし、国や地名は、その国でどう発音されているのかが尊重されるべきでしょう。
そう言った途端に頭に浮かぶのが、日本と中国の関係です。「習近平」は日本ではふつう「しゅう・きんぺい」です。でも元々の発音は、「シー・チンピン」の方がはるかに近いのです。そして、国際的な場で、「しゅう・きんぺい」と言っても誰のことなのか全く伝わりません。
逆に、日本の固有名詞を中国で読むときには、日本での発音は無視されて、漢字の中国読みになります。例えば、「広島」は「グアン・ダァォ」です。その広島の姉妹都市の重慶ですが、日本では「じゅうけい」、中国では「チョンチン」です。漢字は「重庆」です。
それで解決するのかと思いきや問題はもっと複雑で、在日中国人の周来友(しゅう・らいゆう)さんは、2021年6月30日の電子版Newsweekで、中国人名を日本人の耳で聞いての発音に近いカタカナで表記された場合、そのカタカナを見ただけでは在日の中国人の多くには誰なのかが分らないということを指摘しています。詳しくは、Newsweekの記事をお読み下さい。
ここまでくるとお手上げなので、日中の発音とその表記についての複雑な関係はどなたかに整理して頂くとして、原則として本人・本国の発音を使うという点を生かす方針は、誰にでも分り本人にも納得のできるものだと思います。それを尊重することに問題はないはずですね。
[2022/3/25 イライザ]
[お願い]
文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
« ゼレンスキー大統領の国会演説 ――被爆の実相を知らしめることが重要―― | トップページ | 岸田総理の平和公園訪問 ――アメリカのエマニュエル大使とともに―― »
「ニュース」カテゴリの記事
- (喝!!) マスコミは何をしているのだ!! ――女性が3自治体議会の過半数というニュースは一面記事だろう―― (2023.05.03)
- 社民党の大椿裕子副党首が繰り上げ当選 ――社民党の参議院議員は福島党首と二人になります―― (2023.03.31)
- 広島市長選挙 ――唯一の争点は『はだしのゲン』の復活です―― (2023.03.27)
- 「記憶が不確かだから記録を残す」の意味を葬り去った自民党政治 ――それでも過去の記録を忠実に残す努力をし続けよう―― (2023.03.11)
- 『はだしのゲン』の何が問題なのか ――本当は松江市の先例と同じ理由?―― (2023.02.22)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 今、広島で起きていること ――大阪講演報告4・外務省や日本政府抜きには語れない―― (2023.09.22)
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- 4年振りの敬老会に参加しました ――高齢化社会の現実についても考えさせられました―― (2023.09.18)
「言葉」カテゴリの記事
- 加藤友三郎の高潔さ ――名誉・権力・金・地位等とは無関係―― (2023.07.08)
- 断酒の障害が分りました ――甘い言葉でした―― (2023.07.04)
- メモワール作成のためのインタビューでした ――30年も前を思い出して懐かしく楽しい一時になりました―― (2023.07.02)
- 採決は本当にあったのか ――6月8日の参院法務委員会採決に30年前の「採決」が重なりました―― (2023.07.01)
- WordのDictation機能を使っての、即時書き起こしです ――手直しをするのに1ページ15分掛りました―― (2023.06.17)
「平和」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 今、広島で起きていること ――大阪講演報告4・外務省や日本政府抜きには語れない―― (2023.09.22)
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- 「即時行動」への共感 ――大阪から新たな動きが生まれそうです―― (2023.09.16)
「ウクライナ」カテゴリの記事
- 大阪での講演会報告です ――前向きな質問と発言ばかりでした―― (2023.09.13)
- 防衛省を防災省に ――自然災害を黙殺する政治をひっくり返そう―― (2023.07.17)
- 広島で被爆者を裏切ってはいけない (9) ――「ヒロシマ」の意味を広げるため、ロンドンでスピーチ―― (2023.05.31)
- 広島で被爆者を裏切ってはいけない (4) ――「ヒロシマ・アクション・プラン」には被爆者が登場しない―― (2023.05.26)
- 広島で被爆者を裏切ってはいけない (3) ――「被爆地広島出身の総理大臣」とは?―― (2023.05.25)
「ロシア」カテゴリの記事
- 「即時行動」への共感 ――大阪から新たな動きが生まれそうです―― (2023.09.16)
- 大阪での講演会報告です ――前向きな質問と発言ばかりでした―― (2023.09.13)
- 総理大臣としての加藤友三郎 ――戦争回避の「預言者」でもあった―― (2023.07.14)
- 軍縮とは単なる数合わせではない ――友三郎の眼は要塞化や、中国ソ連にも向けられていた―― (2023.07.10)
- 総理就任以前に二度もわが国を救った友三郎 ――命日は8月24日です―― (2023.07.09)
« ゼレンスキー大統領の国会演説 ――被爆の実相を知らしめることが重要―― | トップページ | 岸田総理の平和公園訪問 ――アメリカのエマニュエル大使とともに―― »
コメント