広島の魅力 ――山根政則さんの評価です――
広島の魅力
――山根政則さんの評価です――
昨日の最後の言葉「戦争に『正義の戦争』というものは存在しない」は、山根政則さんが、御自分の被爆体験を話す際、最後に強調したものです。山根さんは小倉さんのお兄さんで、被爆したのは広島駅の北側にあった東練兵場でした。
成人してから35年を東京で送った後、現役生活40周年という節目の年に広島に御夫妻で転居されました。その後、趣味の路面電車についての豊富な知識を生かして、広島市の交通政策に貴重な助言をして下さいました。
下手に御紹介するよりは、山根さんの作られたホームページ「路面電車を考える館」を御覧頂きたいと考え、そのURLをここに貼り付けます。その最後に、山根さんの被爆体験が掲載されています。
今日は、その山根さんが広島の魅力を数値化して下さったことを御紹介します。多摩プラーザに住んでいた山根さん御夫妻が広島転居を決めたのには、東京と広島を数値化して比較した上で、より魅力的な広島に住むことを選んだというエピソードがあるのです。その詳細を、2003年のメルマガ「春風夏雨」から引用します。
私たちの仕事や日常生活をより効率的にしかも楽しく行う上で有効なデータと考え方を紹介したいと思います。私よりちょっと年配のYさん御夫妻が作られた「東京・広島 QL 主観的比較」です。「QL」は「クオリティー・オブ・ライフ」の略で、生活の質という意味です。
お二人は、横浜市のたまプラーザから9年前に、夫のMさんの現役40年活動を機に故郷である広島に転居されたのですが、その際、35年にもなる東京圏での生活と広島での生活を比較した上で、転居を決定したそうです。一流企業のエリート・ビジネスマンとしての合理的な判断の仕方ですが、大切な決定をする上で、私たちにも参考になりそうです。
具体的には、先ず自分たちの生活にとって大切な28の項目を選んで、その一つ一つが自分たちにとってどのくらい大切なのかを、1から10の間のウエイト、つまり点数で示しました。各項目については、東京のレベルを1として、それより改善が期待できる項目には1から2の間の小数で、東京より悪くなるものについては、0から1の間の小数で評価をしました。ウエイトと評価を掛けたものがその項目についての評価です。28項目全部の評価を足した結果が総合評価になります。
例えば、「住居の快適さ」はウエイトが10ですから、転居に当ってこれが重要な要素だったことが分ります。そして、東京と比べて、築後22年に対して新築かつ面積が増えるという理由で、広島に対する期待度は1.3です。評価は13ということになります。「大きな本屋があるか」はウエイト3で、東京と比べると不利な点になって、期待度は0.5です。他の項目は、「気候・風土」「人情、人間関係、親戚付き合い」「友人の喪得」「食料品物価」「食料品鮮度・うまさ」「一般生活費」「音楽界等のイベントの開催」「その料金」「切符の入手し易さ」等々、随分、細かくかつ御自分たちの生活の内容や質について、客観的に理解していらっしゃることが良く分ります。
さて、その結果ですが、9年前、東京で生活し続けるとすると合計点は144点、それが広島に転居すると166.6点になるという予測を立てた結果、広島への転居を決められたとのことでした。約15パーセント、生活の質が向上するという見通しで広島を評価して頂けたのです。念のために付け加えておくと、この中には引越しの労力や費用も、マイナスの点として考慮されています。
これだけでも、広島ファンにとっては嬉しい評価ですが、長い間東京で生活したフラストレーションがあったり、その反動としての故郷びいきが評価に反映されていないとも限りません。しかし、その心配は、広島生活一年後の「実測値」そして9年後の「実測値」で見事に払拭されています。その間、新しい項目が付け加えられ、全部で31項目、東京における生活の質は145点と評価されています。
一年後の実測値は、175.7です。9年後の広島は183.4点で、転居時に15パーセントは生活の質が向上するだろうと予測した値をはるかに超えた約25パーセントの向上率です。
こうした分析をサラリーマンの皆さんがしたわけではないと思いますが、「住みやすい街」番付で広島市が高い評価を得ているのもむべなるかなという気がします。広島に長い間住んで、ついつい広島の良さを当り前のこと、当然だと考えがちな私たちも、教えられることが多いような気がします。
[2022/3/30 イライザ]
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