「尾木ママ」と対談しました (3) ――同時通訳としてもそれなりの仕事をしていました――
「尾木ママ」と対談しました (3)
――同時通訳としてもそれなりの仕事をしていました――
World Conference of Religionists for Peace 、略してWCRP との出会いが、1961年の京都だったいうところまで前回はたどり着いたのですが、その後、WCRPは世界的に翼を広げて、名称もWorld Conference of Religions for Peaceになりました。略称は同じです。
Religionist というと、宗教者というイメージ、つまり聖職者といったかなり限定された人々の集まりというニュアンスから離れられません。そうではなく、Religionを使って平和を希求する宗教の集まりという表現にすると、どんな宗教でも信仰を持つ人たちまでその範囲が広がりますので、活動の実態に近い名称なのです。
そして、1968年にアメリカに留学してから11年後、プリンストンで開かれたWCRPの世界大会で通訳をすることで、何年か振りにWCRPと再会するのですが、それが可能だったのは、1961年にインド人の通訳をしてからずっと、同時通訳・会議通訳としての仕事を続けていたからです。
1960年代には日本の経済が成長路線に乗り、世界とのつながりも緊密になりました。ビジネスの場で、あるいは政府と政府の間でのミーティングや国際会議も頻繁に開かれるようになり、同時通訳・会議通訳の需要も増えました。当時、プロの通訳を養成する場としては、国際基督教大学 (ICU) の同時通訳コースしかありませんでした。そこで斎藤美津子先生が教えていた学生たちが大活躍したのですが、それだけでは人数が足りず、原水禁世界大会で訓練された私たちにも声が掛りました。
それは、村松増美さんとともにサイマル・インターナショナルを創立した小松達也さんも原水禁運動での通訳をしていたからでもありました。と枠を広げると、その後日本テレビのキャスターを務め参議院議員としても活躍した國弘正雄さんも原水禁通訳チームの一員でした。サイマルについては、その設立に関わったもっと多くの皆さんがいますし、その活動の一部となったサイマル出版会も大切なのですが、これはまた別のシリーズとして記憶を残せたらと思っています。
村松さん小松さんとは会議の場でも御一緒しましたし、公私にわたってお世話になりました。そして、サイマルの競争相手として登場したISSやJCSとのお付き合いもでき、ISSでは同時通訳講座の講師としてお手伝いをしました。
そんな思い出の中で忘れられないエピソードがあります。当時、アメリカから農業関係の使節団が数多く来日していました。アメリカの農産物を売り込む場合もありましたし、日本に新たな農業のノウハウを広めて、その一環として動物用の飼料を売ることや種類を売ること等、多様な目的がありました。アメリカ本土に日本からの農場関係者を招いて農業関係の研修会を開催するなどということも行われていました。
そんな農業関係の会議で、國弘先生と斎藤先生と御一緒したことがありました。お二人の通訳振りは見事なものでしたが、そんな中、國弘先生が、かなり「瞬間湯沸かし器」であることにも触れることになりました。私もそう言われてきましたので、反省を込めてこの部分は書いているのですが、でも政治の世界に入ってから、「公憤」という形で、國弘先生の正義感と政治に対する真情に何度も触れることになりました。
こんな経緯があって、アメリカの大学院で勉強しつつ、その後大学で教えるようになってからも会議通訳として、様々な場面で日米間のみならず、世界的な交流のお手伝いをすることになりました。
プリンストンでの会議については次回に回します。
[2022/2/14 イライザ]
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