実のある原水禁日・英・米シンポジウムでした ――活動の方向性が見えてきました――
実のある原水禁日・英・米シンポジウムでした
――活動の方向性が見えてきました――
日本時間2月7日の夜10時から12時まで開かれた日・米・英国際シンポジウムの報告を続けます。ただし、当初予定していただけの時間が取れなくなってしまいました。実は、最近、4Kのモニターを一台追加して、デュアルディスプレーを使って仕事をしているのですが、Zoomで、私の目の前の画面を「共有」しようとすると真っ黒な画面が映るだけになってしまうので、その対策に時間を取られてしまったからです。
ということで、今回の報告は、私の提案していたことがどのように展開できるのかについて、大いなる激励を受けた点に絞ります。
一つには、司会の原水禁共同代表、藤本泰成さんはじめ、パネリストも含めた4人の皆さんが、核抑止論の虚妄性について強い意識を共有していたことです。核抑止論が詭弁に過ぎないことは平和活動家の間ではあまりにも当然過ぎて、反論することさえバカバカしいくらい価値のない存在なのですが、それが多くの政治家の間では神棚に上げて毎朝祈りを奉げるほどの位置付けになってしまう構造を叩き潰さなくてはならないのです。
NO NUKES TOKYO共同代表の中村涼香さんは、この乖離を自分たちで調べたデータも交えて次のように報告してくれました。
「国民世論の70%は核兵器禁止条約に参加するべきと回答し、85%が締約国会議へのオブザーバー参加を求めていますが、国会議員の核兵器禁止条約への賛同率は34%、オブザーバー参加の支持は50%に留まっています。ここに国民世論と政治の意見の乖離が生じているのです。」そして、国会議員たちへの働き掛けの努力を続ける中、さらに外務省のお役人たちとのやり取りの中、人道的な立場が蔑ろにされていることに違和感を持った経験も話してくれました。司会の藤本さんもこの点を強調していました。
この乖離は、同時に飛んでもない「神話」として多くの人たちが信じてしまっている状況を創り出しているようです。英国の誇る反核団体の議長だったデーブ・ウェッブさんは、英国の普通の市民は、英国が「核の先制不使用」国であると信じて疑わない、という事実を指摘してくれました。
アメリカの場合は、オバマ大統領が指摘したように「核兵器を使った唯一の国」という自覚がありますから、英国と同じ、誤った神話を信じている人は少ないと思われますが、ロシアやフランスの市民が自国の倫理的な姿勢についてどのような考えを持っているのか、新たな疑問が生じました。
アメリカのピース・アクションというグループの代表、ケビン・マーティンさんの発言で特に勇気付けられたのは、昨夏の世界大会の国際シンポジウムでの私の発言について、「2040ビジョン」や「核抑止論論破国際会議」を積極的に開くべきだという考え方を示してくれたことです。
また、バイデン大統領は最近の大統領になかでは、核兵器の問題について最も精通しているはずだということ、だから楽観的に考えると、近いうちに公表されることになっているNuclear Posture Review、つまり核体制の見直しの中で、核の先制不使用を掲げる可能性も否定できないとのことでした。しかしながら、国内問題で議会運営が上手くは進んでいないこと、国際問題でも中国との関係やイランとの合意の交渉、そしてウクライナ問題等があり、楽観は許されないとのことでした。
核の先制不使用と深く関わる、北東アジア非核地帯条約やヨーロッパ非核地帯条約、そして世界の都市が全て非核宣言都市になるという筋道を辿る努力も大切であることにもパネリストの皆さんに賛成して頂けました。
このシンポジウムの全体をYouTubeで見てくれたアメリカの友人からは熱いメールを貰いました。「このビデオを見ると、2040年までの核廃絶に向かっての動きが起こりつつあると、多くの人が感じる内容が説得力を持ってプレゼンされている。」
再度、URLを張り付けておきますので、御覧頂ければ幸いです。
https://www.youtube.com/watch?v=WE74h44NGs0
[2022/2/9 イライザ]
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