「いじめ」は世界的問題です ――マスコミがどう取り上げるのかも大切では――
『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』(法政大学出版局刊)の紹介はこれからも続きますが、今回は、別の問題を考えてみたいと思います。「いじめ」です。それも少し違った視点から取り上げたいと思います。
イギリスの人気テレビ番組「Britain’s Got Talent (私訳: イギリスの隠れた才能発掘!)」を御存知ない方も多いかもしれませんが、あのSusan Boyle(スーザン・ボイル)さんを発掘した番組だと言えば、分って頂けるのではないでしょうか。2007年に始まり、イギリスとアメリカでは大人気を誇り、世界中の多くの国々でこのアイデアを元にした番組が作られています。アメリカのテレビ番組のパクリでは人後に落ちない日本で、この番組の日本版が作られていないのが不思議なくらいなのですが、その点についてはまた別の機会に取り上げられたらと思います。
御覧になったことのない方は、YouTubeで、「Britain’s Got Talent」の短縮形である「BGT」を検索すればいくつものエントリーがすぐ見付かりますので、一度試してみて下さい。
どのような才能でも良いのですが、この番組で3分間、その才能を披露して審査員が「合格」と決めると、次のレベルでの出演が決り、年間の最優秀者はメジャーでのデビューと王室の出席者の前で公演することが出来ます。
素晴らしいタレントの持ち主が次から次へと現れ、見事なパフォーマンスを見せてくれるのは圧巻ですが、最近のBGTで気が付いたことが一つあります。それは、出演者の人生で大きな障害に遭遇した人を応援する姿勢がこの番組の柱の一つになっていることです。ガンその他の病気に罹ったり、家族が病気と闘っていたり、身体的な障害のある出演者がその障害とどう向き合っているのかといったエピソードが、この番組を感動的なものにしている一つの要素なのです。
もちろん、視聴率を上げるためだけに、このような感動的なストーリーを「使う」ことには問題があると思いますし、「涙もろい」視聴者の心理に付け込もうとする商業的な意図には十分な注意が必要です。にもかかわらず、とても多くの人が視聴する番組の中で、大きなハンディがあるにもかかわらず勇気をもって生きている人たちの姿を取り上げることには意味があるように思います。
こんな気持になったのは、BGTの中で、「いじめ」にあった子どもたちのケースが、かなり多く取り上げられていることに気付いてからです。例えば、ここに紹介するデュオのBars とMelodyです。この内の「Bars」を芸名にしているのはレオンドル君ですが、彼はいじめに遭っていたときの経験を元にして、Hopefulという曲のラップの歌詞を作り、メロディーを歌う、メロディーとともに、2014年BGTに出演しました。
その舞台で、審査委員長から、「金色のボタン」と呼ばれる特別の評価を受けて、準決勝に進みました。決勝では3位でしたが、それでも、メジャーのデビューができ、レコードもリリースしましたし、アメリカ、イギリス、ヨーロッパ、オーストラリアでも人気のあるデュオになりました。日本での公演も実現しています。
他のケースについては省略しますが、本題に戻ると、BGTでは、「いじめ」られた経験のある人たちに、時には「これ意図的なのか」と思ってしまうほど多く出演させているような気がします。
「いじめ」をテレビ番組の中で取り上げる上で、BGTのやり方は、「いじめ」に負けないで頑張れというメッセージをハッキリと出し続けています。それがいかに大切なことなのかを、日本のテレビ番組との比較で強調したかったのですが、「本論」は次回に。
[2019/7/13 イライザ]
[お願い]
文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
コメント
« 『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』 (3) ――何故「数学書」として読みたいと思ったのか―― | トップページ | 「いじめ」は世界的問題です (2) ――データで国際比較をしよう―― »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- #モンブランインク ――#奥が昔のデザイン #手前が新しいもの―― (2024.07.12)
- #眼鏡を新調しました ――#フチなしをやめて #ボストン型にしました―― (2024.07.11)
- #ダメなものはダメ ――#社会には #最低限の常識 #というものがあります―― (2024.06.12)
- #青梗菜 の #収穫 と #料理 ――#農薬を使っていませんので #虫食いです―― (2024.06.11)
- #抜き取った雑草の量はどう量るか? ――#10リットルバケツ、そして米袋です。―― (2024.06.10)
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- #大本営発表 が #狼少年 に ――#建物の中に避難・地下に避難 と #絶叫―― (2024.05.31)
- #労働組合の果す役割 ――#期待と #問題提起―― (2024.05.26)
- #偉い人は #従者 が #長靴を脱がせる? ――#実用性 のあることに #気付きました―― (2024.02.19)
- #トイレのない #マンション は #日本文化 を #汚すのでは? ――映画 #PerfectDays の #問題提起―― (2024.02.15)
- #頼りになる #官房長官 #候補 ――#JAL の #CA さんたち、そして # NHK の #山内泉 アナウンサー―― (2024.01.08)
「音楽」カテゴリの記事
- #慰霊の夕べコンサート #成功裡に終了 ――#80周年の趣向は? #皆さんからも御意見を!―― (2024.08.12)
- #慰霊の夕べコンサート #当日プログラム ――#8月9日18時から #廿日市市の #さくらぴあ小ホールで―― (2024.08.07)
- #慰霊の夕べコンサート ――#8月9日18時から #廿日市市のさくらぴあ小ホールで―― (2024.07.30)
- #コロンブス問題 (その5) ――#板坂元氏の #無知論―― (2024.06.20)
- #ブルー・トゥース #スピーカーです ―― #どちらも #魅力的で #迷います ―― (2024.05.02)
「若者」カテゴリの記事
- #慰霊の夕べコンサート #成功裡に終了 ――#80周年の趣向は? #皆さんからも御意見を!―― (2024.08.12)
- #徳目 を教えるのに、なぜ #明治時代 の #遺物 だけに限定するのか ――#平安時代 も #日本の歴史 の一部―― (2024.01.14)
- #お年玉 には #安野光雅 ――#表紙 だけでも読んで欲しい―― (2023.12.30)
- 数学を学ぶとは・教えるとは ――「数学人の集い」の楽しみ方―― (2023.06.11)
- 学校でとんでもないことが起きているようです。 ――生徒や学生はどうすれば良いのでしょうか―― (2023.06.08)
「マスコミ」カテゴリの記事
- #詭弁論理学 の #出番です ――#小児型強弁―― (2024.07.14)
- #大本営発表 が #狼少年 に ――#建物の中に避難・地下に避難 と #絶叫―― (2024.05.31)
- #TimWalberg #下院議員の #広島・長崎発言 ―― #事実誤認 を #指摘する のは #私たちの責任―― (2024.04.06)
- #何をしたのか を #特定して下さい ―― #正確さを犠牲にする のは #権力への擦り寄り?―― (2024.03.30)
- #加藤友三郎 #英文冊子 #完成記者会見 を #中国新聞が記事に してくれました ――友三郎を理解する人の輪が広まります―― (2024.02.29)
コメント
« 『数学書として憲法を読む――前広島市長の憲法・天皇論』 (3) ――何故「数学書」として読みたいと思ったのか―― | トップページ | 「いじめ」は世界的問題です (2) ――データで国際比較をしよう―― »
おぼえがあります。この子たちのこのシーンは
観たことが有ります。ちょっと違和感を感じた
のは先生が指摘された部分だったんだと今気
が付きました。
投稿:
⑦パパ |
2019年7月13日 (土) 09時24分
「⑦パパ」様
コメント有り難う御座いました。
理由はどうであれ、人気番組が「いじめは駄目」というメッセージや、いじめの被害者に寄り添う姿勢を強力に発信し続けることは大切だと思います。
投稿:
イライザ |
2019年7月13日 (土) 13時04分