扇ひろ子さんのコンサート・二葉あき子さんの歌碑
このブログにも何回か登場して頂いた、広島音楽芸能文化懇話会を主宰する上村和博さんから連絡がありました。扇ひろ子さんが広島に来られているとのこと。すぐ駆け付けたいところでしたが、次の日には安芸高田市のイベントで歌われると聞き、久し振りにステージを見せて頂けたらという思いに駆られて、安芸高田市まで行ってきました。イベントは合併15周年記念・安芸高田市社会福祉大会の記念公演会でした。
公演会の目玉は綾小路きみまろさんだったようですが、私はその前のミニ・コンサートがお目当てでした。最初に安芸高田市出身の真木洋介さんが登場しました。真木さんは、美空ひばりさんの反戦歌『一本の鉛筆』を歌い続けてきた事でも有名ですが、菅原洋一さんの弟子として、あらゆるジャンルの歌が歌える歌手としても人気があります。故郷である安芸高田市で特に熱が入ったのは、今年4月に開港した愛郷小学校の校歌でした。可愛(えの)小学校と郷野(ごうの)小学校が合併して新しい小学校になったのですが、校章も新しくなりました。そして新しい校歌は真木洋介さんの作詞・作曲でした。これは褒めているのですが、校歌らしくない、ちょっとシャンソンぽい、洒落た歌でした。
この日は真木さんの持ち歌ではなく、会場に多かった高齢者にもお馴染みの歌ということで、岡晴夫さんの『憧れのハワイ航路』と伊藤久男さんの『イヨマンテの夜』を聞かせてくれました。どちらも声量がカギなのですが、会場の全員、大拍手で熱演に応えていました。
扇さんは、1967年の大ヒット『新宿ブルース』で、私たちの世代なら誰でも知っている歌手ですが、「ヒロシマ」との縁も大切です。生後6か月ほどのとき段原で被爆した被爆者ですし、1964年、19歳のときに平和記念式典で大竹出身の石本美由起さんが作詞、遠藤実さんが作曲した『原爆の子の像』を歌っています。この日は、その次の年にヒットした『哀愁海峡』、『華の女道』、そしてもちろん『新宿ブルース』を披露してくれました。最後に、一番最近のリリース『おんな流れ花』でした。フランク・シナトラの『My Way』の演歌バージョンとも言われているようですし、しかも女性版ということですので、そのうち爆発的な人気が出てくるのではないでしょうか。
扇さんも真木さんも、広島市、広島市民のために手弁当で貢献して下さっています。最近では2015年の「被爆70年 24時間チャリティーコンサート」でも、プロの音楽家として出演して下さり、このコンサートを盛り上げ成功へと導いて下さいました。広島の姉妹都市であるホノルルとの交流では真木洋介さんが頑張って、姉妹都市50周年の記念式典で会場を盛り上げて下さいました。広島市制120周年記念の際には、扇さんが『原爆の子の像』を心を込めて歌って下さいました。
安芸高田市のコンサートの後、真木さんと扇さんと一緒に写真を撮って貰いました。男性陣もまだまだ元気ですが、扇さんが数年前にガンの手術をなさっているとはとても信じられないくらいです。
その後、広島市内の二葉の里で、二葉あき子さんの歌碑にお参りしました。戦前から人気歌手として活躍していた二葉さんは、原爆のとき広島市にいたのですが、乗っていた列車が中山トンネルに入っていたため、直爆は免れたという経験の持ち主です。戦後ヒットした歌の中には、『夜のプラットフォーム』や『水色のワルツ』があります。なかでも『夜のプラットフォーム』は戦前に作られた反戦歌なのですが、軍部から禁止されたことでも知られています。
二葉あき子歌碑建立委員会の皆さんとともに、扇さんの平和に寄せる思いや二葉あき子さんとの交流等についてお話を伺うことが出来ました。歌を通して平和を考え、人生を辿る素晴らしい一日になりました。
[2019/7/7 イライザ]
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