終戦記念日 ――全ての戦争を終らせる日――
終戦記念日
――全ての戦争を終らせる日――
「八月は6日9日15日」という川柳っぽい五・七・五の表現があります。それにお盆もあるのですから、人間の生死、そして戦争と平和に思いを馳せ、先人たちの経験を追体験しその意味を考える月だと言って良いでしょう。
そして、このブログは、6日と9日に焦点を合せて一年を通して色々考え行動する場ですので、今日は8月15日を取り上げてみましょう。先ず名称は「終戦記念日」です。「敗戦記念日」と言う人もいるようですが、戦争の始るのが「開戦」それと対になって終るのが「終戦」という表現です。
それに、「敗戦」という言葉の背景には戦争をした相手の存在がなくてはなりません。戦争という文脈を毎年持ち出して、「敵国」に「負けた」という点を強調するよりは、共に、戦争を止めてその後は平和な協力関係を作って来たという点を強調する方が未来志向だと思うのですが、如何でしょうか。それに、「敗戦」ですぐ頭に浮ぶのが野球の「敗戦投手」です。でもその場合、「次は勝って欲しい。勝利投手になって欲しい」という気持が強くあります。それと重なって、「戦争」という枠組みで「敵国」との関係を限定してしまうことにならないとも限りません。
「全ての戦争を終らせる」という考え方は、昨日今日始ったことではありません。1914年に始まった第一次世界大戦は、「War to end all wars」、つまり「全ての戦争を終らせる戦争」と呼ばれました。『透明人間』や『宇宙戦争』等で有名なH.G.ウェルズやアメリカのウッドロー・ウイルソン大統領がこの考え方を広めた結果、第一次世界大戦後の講和条約締結の際の基本的な土台となり、世界平和を推進する組織として、1920年に国際連盟ができることにもつながりました。
ウイルソン大統領
残念なことに、その後第二次世界大戦が起きましたので、第一次世界大戦を「全ての戦争を終らせる戦争」にはできませんでしたが、国際連盟の発展型として国際連合が生れ、ヨーロッパの緊張関係はEUという平和的な発展型に変質し、日本では終戦を機に平和憲法によって世界平和を推進する国家たらんとする決意が生れたのですから、長い目で見ると、時期はずれていますが、ウェルズやウイルソンの目指した方向に世界は動いてきたと言って良いのかもしれません。
戦後73年間、日本にとって「終戦記念日」は、「戦争を終らせた戦争」であり続けていますが、それを世界に広めて、日本という国の努力によって「全ての戦争を終わらせる」という目標が達成できるよう、私たちが新たな決意をする日でもあることを最後に指摘しておきたいと思います。
[2018/8/13 イライザ]
[お願い]
文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
コメント
« 自然木ベンチの鉋掛け ――元々の木の色に戻りました―― | トップページ | 手動式芝刈り機 ――昔懐かしい機械です―― »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 今、広島で起きていること ――大阪講演報告4・外務省や日本政府抜きには語れない―― (2023.09.22)
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- 4年振りの敬老会に参加しました ――高齢化社会の現実についても考えさせられました―― (2023.09.18)
「平和」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 今、広島で起きていること ――大阪講演報告4・外務省や日本政府抜きには語れない―― (2023.09.22)
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- 「即時行動」への共感 ――大阪から新たな動きが生まれそうです―― (2023.09.16)
「歴史」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 防衛省を防災省に ――自然災害を黙殺する政治をひっくり返そう―― (2023.07.17)
- 総理大臣としての加藤友三郎 ――戦争回避の「預言者」でもあった―― (2023.07.14)
- 加藤友三郎シンポジウム ――中国新聞が取り上げてれました―― (2023.07.13)
「日本政府」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 今、広島で起きていること ――大阪講演報告4・外務省や日本政府抜きには語れない―― (2023.09.22)
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- 被災地に人を送り込むな ――5年前の教訓は生きているのでしょうか?―― (2023.07.18)
「国連」カテゴリの記事
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- マスコミに関心を持って頂き感謝しています ――お陰様で、G7広島サミットの全体像が浮き彫りになってきました―― (2023.06.02)
- 広島で被爆者を裏切ってはいけない (8) ――「思う」だけでは何も動かない。だから総理に要請した。―― (2023.05.30)
- 広島で被爆者を裏切ってはいけない (7) ――一歩踏み出したG20サミット・バリ宣言―― (2023.05.29)
- なぜ岸田総理は、広島サミットでもう一歩前に踏み出さなくてはならないのか ――これまでの「積み重ね」を「無」にしてはならないから―― (2023.05.14)
コメント
ノー、ノー。理想としてはそうであろうけど、それでは、
未だきちっと総括も何もしていないこの国にあっては、
加害者の面が隠されてしまい、見えなくなってしまい、
免罪符とさえなってしまう。
それよりも、8/15というと皇居前で平伏する人々の
映像が→誰もが当日のものと思ってしまう→fakeだってば!
これが何より腹立たしい。
訂正訂正。「映像」ではなく「写真」でしたね。失礼しました。
「硬い心」様
コメント有り難う御座いました。
「日本という国の努力」の中には、これまで不十分な事しかしてこなかった面でも努力をするという意味を込めた積りなのですが---。
それと、嘘八百の「大本営発表」しか公にされなかった時代です。しかも、正式の「降伏」は、ミズーリ号上で調印の行われた9月2日ですから、8月15日の報道だけが例外ということはないでしょう。
終戦祈念日ですね。
「ふぃーゆパパ」様
コメント有り難う御座いました。
「祈念日」を「既念日」にするよう、頑張りたいですね。
« 自然木ベンチの鉋掛け ――元々の木の色に戻りました―― | トップページ | 手動式芝刈り機 ――昔懐かしい機械です―― »
ノー、ノー。理想としてはそうであろうけど、それでは、
未だきちっと総括も何もしていないこの国にあっては、
加害者の面が隠されてしまい、見えなくなってしまい、
免罪符とさえなってしまう。
それよりも、8/15というと皇居前で平伏する人々の
映像が→誰もが当日のものと思ってしまう→fakeだってば!
これが何より腹立たしい。
投稿: 硬い心 | 2018年8月15日 (水) 13時43分
訂正訂正。「映像」ではなく「写真」でしたね。失礼しました。
投稿: 硬い心 | 2018年8月15日 (水) 16時38分
「硬い心」様
コメント有り難う御座いました。
「日本という国の努力」の中には、これまで不十分な事しかしてこなかった面でも努力をするという意味を込めた積りなのですが---。
それと、嘘八百の「大本営発表」しか公にされなかった時代です。しかも、正式の「降伏」は、ミズーリ号上で調印の行われた9月2日ですから、8月15日の報道だけが例外ということはないでしょう。
投稿: イライザ | 2018年8月15日 (水) 20時33分
終戦祈念日ですね。
投稿: ふぃーゆパパ | 2018年8月15日 (水) 22時05分
「ふぃーゆパパ」様
コメント有り難う御座いました。
「祈念日」を「既念日」にするよう、頑張りたいですね。
投稿: イライザ | 2018年8月16日 (木) 16時46分