災害対策予算の大幅増額を! ――豪雨災害からの教訓 (6)――
災害対策予算の大幅増額を!
――豪雨災害からの教訓 (6)――
自衛隊を災害救助隊に改組して、その主たる任務を災害救助に充てるという考え方のかなり大きな理由はお金です。自衛隊の全予算は約5兆円という大雑把なイメージを頭に置いて、これからの問題提起をお読み頂けると幸いです。その予算全てを災害対策に回せとまでは言いませんが、仮に自衛隊が災害救助隊になり、現予算の半分を災害対策に回せるようになったとすると、現在よりは大幅に状況は改善されます。
その5兆円がどんなことに使われているのか、最近の「買い物」リストをチェックしただけでも、無駄遣いが如何に多いのかは御理解頂けると思います。
戦闘機としては使えない性能であることが分っているF35戦闘機は、1機あたり約130億円。それを42機の購入予定、合計5460億円。オスプレイ17機セットを1機あたり約220億円、総額3600億円で購入、以前に購入した24機と合わせると、9020億円。さらに、イージス護衛艦の弾道ミサイル対応艦を8隻態勢とする改修と建造に約1000億円、そして、ミサイルの迎撃そのものに対する疑問が多くある中でのイージスアショア2基で合計約1600億円。これだけ合わせただけで、1兆7080億円です。
1機220億円、事故多発のオスプレイ
兆を超える軍事予算に対して災害対策費は、雀の涙ほどの額しかありません。一例として、今回大規模な被害のあった倉敷市真備町を見てみましょう。真備町の被害は、高梁川に合流する小田川が決壊したことが原因ですが、その危険性は早くから理解され、対策も立てられていました。
簡単に図示すると、[1968年堰建設計画→2002年中止→2010年付け替え工事決定→今秋着工予定]ということなのですが、堤防の決壊を避けるために、堰を作ることが計画され、その後、小田川と高梁川との合流の仕方を変える計画が2010年に立てられたものの、結局、それから8年も経ってようやく工事に着工という手順になったのです。その原因はお金です。
国が、災害対策を優先する予算配分をしていれば、計画立案後すぐにも工事は始まっていたのです。それも、事業費は280億円です。オスプレイ1機とほぼ同じではありませんか。使い物にならず事故ばかり起しているオスプレイではなく、小田川の改修工事に予算を回せば、今回の被害は防げたのです。しかも真備町だけではなく、全国各地でこのような危険地域のあることは良く知られています。オスプレイで言えば約40機分、全国40ほどの地域の河川改修や災害対策ができたはずなのです。
それだけではありません。1999年6月29日の広島地域の豪雨災害後、土砂災害防止法という法律が作られました。その結果、土砂災害による被害が減少するはずだったのですが、今回の豪雨災害が示したように、必ずしもそうとは言えない結果になっています。その理由の一つは勿論、お金ですし、多くの人にハザードマップの重要性が伝わらなかったことも大きいと思います。
長くなりましたので、これについては次回説明したいと思います。
[2018/7/14 イライザ]
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コメント
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コメント
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週刊金曜日7/13号(最新号)→【特集】米国の「おしつけ改憲」
”「思いやり予算」もおかしいけれど、改憲も”
で、リラン・バクレー Leland Buckley という米TEXAS州出身で
神奈川県在住の映画監督が語っています。
〈...どうしても9条を改憲したいのなら、解釈の余地が
入らないように「一切軍隊や兵器は持ちません」と
憲法で明言したらいい。防衛が心配なら、「思いやり予算」の
全額を投じ、自衛隊から武器をなくして、海外に災害があったら
真っ先に駆け付ける救援組織に変えたらどうでしょう。
そんなありがたい国を、どこが攻撃しますか。〉
こういう方がBS-TBS日曜夜10時「外国人記者は見た」に出演できて、
番組も地上波となれば、少しは空気が...。甘いか。
にしても、田中康夫さんの”自衛隊サンダーバード構想”、
なぜに広まらぬ😞
一部ですが、安倍首相の太っ腹ぶり
・ミャンマーへの債務のうち新たに2000億円を免除する
・中東・北アフリカ地域に対し新たに総額2160億円規模の支援
・シリアの女性支援に3000億円の政府開発援助
・ASEANに5年間で2兆円規模の政府開発援助
・モザンビークに700億円の政府開発援助
・インドへ円借款2000億円
・バングラデシュに6000億円支援
・パプアニューギニアに今後3年間で200億円
・インドに5年で3兆5000億円の官民投融資
「通りすがり」様
コメント有り難う御座いました。
こういうのを、本当の意味で「桁違い」と言うのですね。
「されど映画」様
コメント有り難う御座いました。
Buckley監督の言っていることは、誰にでも分りますし、説得力もあるので、皆で広げましょう。
「納税者」様
コメント有り難う御座いました。
簡潔で説得力のあるリストを有難う御座います。海外援助は大切ですが、毎年、災害で亡くなる日本国民がこれだけ多いという事実に真剣に向き合わない「日本」政府を変えましょう。
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安倍晋三、アメリカには2000億円、加計学園には100億円、豪雨被災地には20億円
投稿: 通りすがり | 2018年7月15日 (日) 13時53分
週刊金曜日7/13号(最新号)→【特集】米国の「おしつけ改憲」
”「思いやり予算」もおかしいけれど、改憲も”
で、リラン・バクレー Leland Buckley という米TEXAS州出身で
神奈川県在住の映画監督が語っています。
〈...どうしても9条を改憲したいのなら、解釈の余地が
入らないように「一切軍隊や兵器は持ちません」と
憲法で明言したらいい。防衛が心配なら、「思いやり予算」の
全額を投じ、自衛隊から武器をなくして、海外に災害があったら
真っ先に駆け付ける救援組織に変えたらどうでしょう。
そんなありがたい国を、どこが攻撃しますか。〉
こういう方がBS-TBS日曜夜10時「外国人記者は見た」に出演できて、
番組も地上波となれば、少しは空気が...。甘いか。
にしても、田中康夫さんの”自衛隊サンダーバード構想”、
なぜに広まらぬ😞
投稿: されど映画 | 2018年7月15日 (日) 16時07分
一部ですが、安倍首相の太っ腹ぶり
・ミャンマーへの債務のうち新たに2000億円を免除する
・中東・北アフリカ地域に対し新たに総額2160億円規模の支援
・シリアの女性支援に3000億円の政府開発援助
・ASEANに5年間で2兆円規模の政府開発援助
・モザンビークに700億円の政府開発援助
・インドへ円借款2000億円
・バングラデシュに6000億円支援
・パプアニューギニアに今後3年間で200億円
・インドに5年で3兆5000億円の官民投融資
投稿: 納税者 | 2018年7月15日 (日) 16時56分
「通りすがり」様
コメント有り難う御座いました。
こういうのを、本当の意味で「桁違い」と言うのですね。
投稿: イライザ | 2018年7月15日 (日) 23時37分
「されど映画」様
コメント有り難う御座いました。
Buckley監督の言っていることは、誰にでも分りますし、説得力もあるので、皆で広げましょう。
投稿: イライザ | 2018年7月15日 (日) 23時39分
「納税者」様
コメント有り難う御座いました。
簡潔で説得力のあるリストを有難う御座います。海外援助は大切ですが、毎年、災害で亡くなる日本国民がこれだけ多いという事実に真剣に向き合わない「日本」政府を変えましょう。
投稿: イライザ | 2018年7月15日 (日) 23時42分