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2018年7月 9日 (月)

大雨災害からの教訓 (1)


大雨災害からの教訓 (1)

 

数十年に一度という大規模な大雨災害によって亡くなられた方々の数、被災された方々の数も増え続けていますし、被災地も時間と共に移り、全体としては予想をはるかに超える広い範囲に住んでいる方々に影響を与えています。心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、これ以上被害が増えないことを祈るばかりですが、台風8号も近付いていますので心配は続きます。

 

今回は、「タヒチへの贈り物」は先に延ばして、大雨災害について考えたいと思います。「広島ブログ」に参加されているブロガーの皆さんもそれぞれ、今回の大雨で色々とと経験されたことを書かれていますが、我が家の経験も報告させて頂いた上で、感想を一つ二つ付け加えられればと思ったからです。

 

自治体も国も災害対策に力を入れてきたことは否定しません。しかし、地震、火山、台風、大雨とこれほど大きな災害が定常的に起きている現状を考えると、国家的規模で「災害対策」の枠組みから考え直す必要があるのではないかと思います。その全てを論ずるだけの準備ははありませんが、何回かに分けて、気が付いた範囲での提言をさせて頂ければ幸いです。

 

 最初は「被災地に人を送り込むな」です。

 

我が家では、息子二人が東京で生活していますので、定期的に上京して子どもたちの世話をしたり一緒に行動したりしています。今回も家人が、そのために上京していたのですが、帰広の切符は6日金曜日の夜の便でした。その時点で空港から市内のリムジンバスは運転中止、JRの在来線もとまり、新幹線も動いていない状況でした。山陽道も通行禁止状態でした。

 

Photo_2

通行できなくなった志和トンネル、だから山陽道は通行不可だったのです。


Photo_3

山陽本線瀬野と八本松の間です。在来線も不通です。

 

仕方がありませんので、タクシーに頼るということで東広島市内のホテルに予約を取っていました。フライトがキャンセルされる可能性もあったのですが、とにかく飛びましたので、広島空港に着陸、長い時間待って、タクシーで、東広島まで辿り着きました。

 

家人の場合は、事前に空港到着後の情報が分っていましたので、それなりに準備をすることができたのですが、悲惨だったのは外国人観光客の皆さんでした。

 

タクシー乗り場も長い列ができ、空港内の事務所を開放するのでそこに留まって欲しいという対応もなされたようなのですが、ある外国人家族に取っては衝撃的なニュースだったようです。

 

その家族のお母さんと飛行機の中で隣り合わせになった家人が聞いた話では、空港でのレンタカー予約をしていて、到着後は広島まで車で行き一泊、次の日には宮島を見て、それから四国に研修のため滞在しているお子さんを訪ねる予定だったとのことでした。お母さんは両手に障害があり、恐らくお父さんが運転も、家族の世話もするという状況だったのでしょう。

 

到着した6日には、車で広島市内まで行くのは不可能、結局空港で一泊というようなことになり、次の7日にも事態は一向に変わらず、宮島にも行けずお子さんにも会えずに、もし飛行機が飛んでいれば東京に戻るというシナリオになってしまったようです。

 

家人も自分の足も確保しなくてはならず、最後までお世話できなかったようなのですが、わざわざ広島まで来なくても、この情報は東京で把握できたはずですので、東京で対応できていれば、二日間の時間のロスと、東京・広島間の航空運賃のロスは防げたのではないでしょうか。

 

さらに、外国人に限らず、広島に住んでいる人ならそれなりの知識はあったとしても、それ以外の人たちには、「白市まではリムジンバスが出ています」という情報からは、そこまで行けばあとは何とかなるだろう、というくらいの想像力しか働きません。そんな状態になることが分っていて、東京から広島まで善意のお客さんを送り込んで良いのでしょうか。

 

航空会社にすれば、切符は発行した、飛行機は飛べたのだから飛ばしした、後は乗客の責任ということになるのかもしれませんが、到着後には、空港の事務所の床に寝るという選択肢しかないところに、それも到着して初めてそれが分るという前提で乗客を運べば、それで済む話なのでしょうか。

 

福岡市の場合のように、仮に災害があったとしても空港と市内とが近い場合には、それほど大きな問題にはならないのかもしれません。そうだとする、わざわざ遠隔地に飛行場を移設した広島県や広島市が、このような場合の責任の一端を負うべきなのではないでしょうか。

 

そして、航空会社も、キャンセル不可・返金不可の切符であっても、災害時には到着地の状況をきちんと把握して、災害地には目的地に着けばそこで孤立無援になってしまう乗客を、送り込まないというくらいの責任を持つべきなのではないかと思います。そのために、私企業だけに負担を強いて乗客の安全と安心を確保するのではなく、国全体のシステムとして、このような場合の対応も含めた施策があれば、災害時の不安の種は、少なくとも一つは減ると思うのですが如何でしょうか。。

 

「タヒチへの贈り物」を挟んでこの件についての問題提起は続きます。

 

[2018/7/8 イライザ]

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コメント

旅客業務をしている会社に、どこまで責任を負わせるかという問題ですから、とても難しい問題ですね。
バスにしろ電車にしろタクシーにしろそして飛行機と、利用する前と利用後まで責任を負わせるのは不可能だと思います。
ただし、目的地の情報を発信する努力はすべきですね。
そのためには、これらの従事している人が正しい情報を得て判断できる力が必要ですね。
そして利用する人も、情報収集する努力も必要ですね。
私は日頃から、飛行機を利用する人には、リムジンバスは高速道路の状況で運行停止になる事があるので、朝にホテルのフロントで確認する事を勧めています。
また、国は外国人観光客の誘致を積極的に薦めているのですから、早急に国がやるべきですね。

「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。

もう少し正確に言うと、まずは、「災害で孤立している空港に何の対策もせずに飛行機で善意のお客さんを送り込むな」という原則を関係者一同で確認して、次の段階で、誰がどのような負担をしてこれを実現するのか、ということを相談するという順序になるのだろうと思います。

現状では、結局、責任を取らされているのは、行きどころのないお客さんですので、これは問題でしょう。

そして努力義務だけではないシステムづくりには、国や自治体等の関与は当然必要です。

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旅客業務をしている会社に、どこまで責任を負わせるかという問題ですから、とても難しい問題ですね。
バスにしろ電車にしろタクシーにしろそして飛行機と、利用する前と利用後まで責任を負わせるのは不可能だと思います。
ただし、目的地の情報を発信する努力はすべきですね。
そのためには、これらの従事している人が正しい情報を得て判断できる力が必要ですね。
そして利用する人も、情報収集する努力も必要ですね。
私は日頃から、飛行機を利用する人には、リムジンバスは高速道路の状況で運行停止になる事があるので、朝にホテルのフロントで確認する事を勧めています。
また、国は外国人観光客の誘致を積極的に薦めているのですから、早急に国がやるべきですね。

「やんじ」様

コメント有り難う御座いました。

もう少し正確に言うと、まずは、「災害で孤立している空港に何の対策もせずに飛行機で善意のお客さんを送り込むな」という原則を関係者一同で確認して、次の段階で、誰がどのような負担をしてこれを実現するのか、ということを相談するという順序になるのだろうと思います。

現状では、結局、責任を取らされているのは、行きどころのないお客さんですので、これは問題でしょう。

そして努力義務だけではないシステムづくりには、国や自治体等の関与は当然必要です。

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