卒業式・入学式 ――子どもたち・学ぶ側の視線ではいけないのでしょうか?――
卒業式・入学式
――子どもたち・学ぶ側の視線ではいけないのでしょうか?――
3月4月は、卒業そして入学のシーズンです。卒業や入学を祝う行事があり、感動的な歌もいくつも作られています。『仰げば尊し』もその一つですが、何時までも歌い続けて欲しい歌の一つです。
今回、トピックとして取り上げたいのは「卒業式」と「入学式」という言葉です。実は、この卒業式と入学式について、長い間、気付かなかったことで、50代になってからハッと気づいたことがあるのです。その頃から、公立学校の卒業・入学式に招かれることが多くなり、何だか変だなと思いつつ、ずっと気になっていたことなのですが、恐らく皆さんの中でも気付かなれていない方の方が多いのかもしれません。まずは次の写真を御覧下さい。
手元に手頃な写真がなかったので、ネットからお借りしましたが、「卒業式」ではなく「卒業証書授与式」なのです。ほとんどの公立学校では、少なくとも広島市内の公立学校では、「証書授与」という麗々しい4文字を加えて式典が取り行われています。
「卒業証書授与式」の方が古くからある使い方のようなのですが、私が違和感を持ったのは、「卒業式」と「卒業証書授与式」の視線の違いです。「卒業式」は「入学式」と同じく、学校に入る、卒業するという子どもたち、学ぶ側の視線の言葉です。それに対して「卒業証書授与式」は、卒業証書を「授与」する学校側、上から目線の言葉です。
それだけではありません。『仰げば尊し』で歌われているような、学ぶことによって培われる師弟の愛や、同じ学び舎で学ぶ若者たちの友情、そして同じ時期に同じ環境で暮すことのできた子どもたちを取り巻く同時代意識など、学校教育の本質を「証書授与」という官僚的な一言でバッサリ切り捨ててしまう、という野蛮な結果までもたらすことになっています。
「入学式」のほうには「入学許可式」などという野暮な言い換えはありませんので、両方とも統一して「入学式」「卒業式」にできないものでしょうか。
これもネットからお借りしましたが、「卒業証書授与式」などという変てこな、かつ無理な言葉を使わなくてはならないのは、やはり文部科学省の差し金ではないか、と私も思ったのですが、そうではありませんでした。文部科学省に問い合わせた人がいるのです。その結果、文部科学省では「卒業式」を使っている上、学習指導要領にもそう書かれているとのことです。詳しくはこちらのブログを御覧下さい。
だったら、広島市内や県内でも、子どもや学ぶ側の視線に立って、来年からは「卒業式」にできないものでしょうか。
広島市内でも私立校では「卒業式」を使っているところもあるのは当然ですが、証拠写真も添付しておきます。
[2018/3/22イライザ]
[お願い]
文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
コメント
« 行動する宗教者・中垣法師 (その3) ――会場からの問題提起も本質を突いたものでした―― | トップページ | K.T ダイナー ――50年代、60年代のアメリカが味わえます―― »
「学問・資格」カテゴリの記事
- 姉妹公園協定のために投下責任を「棚上げ」? ――「棚上げ」して、誰が得をするのか?―― (2023.09.26)
- 大学のブラック・ビジネスはいつ終わるのか ――入学しない人から入学金を取るのは止めるべきでは―― (2023.03.28)
- 免許証の更新をしてきました(2022.10.21)
- 観光船事故は防げたのか ――政府は国民の生命を最大限尊重しなくてはならない―― (2022.04.30)
- 署名運動にも力があります ――変化は起こせます。希望も創れます。―― (2022.04.01)
「言葉」カテゴリの記事
- 投下責任の「棚上げ」と米政府、広島市・市長そして外務省 ――「本音が出ると大問題」を回避―― (2023.10.01)
- アメリカを見ずに広島は語れない ――「パール・ハーバー」⇒原爆という「岩盤的」信念を守りたい人々―― (2023.09.25)
- 加藤友三郎の高潔さ ――名誉・権力・金・地位等とは無関係―― (2023.07.08)
- 断酒の障害が分りました ――甘い言葉でした―― (2023.07.04)
「歴史」カテゴリの記事
- 投下責任の「棚上げ」と米政府、広島市・市長そして外務省 ――「本音が出ると大問題」を回避―― (2023.10.01)
- 姉妹公園協定のために投下責任を「棚上げ」? ――「棚上げ」して、誰が得をするのか?―― (2023.09.26)
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
「教育」カテゴリの記事
- 数学を学ぶとは・教えるとは ――「数学人の集い」の楽しみ方―― (2023.06.11)
- 学校でとんでもないことが起きているようです。 ――生徒や学生はどうすれば良いのでしょうか―― (2023.06.08)
- 大学のブラック・ビジネスはいつ終わるのか ――入学しない人から入学金を取るのは止めるべきでは―― (2023.03.28)
- 広島市長選挙 ――唯一の争点は『はだしのゲン』の復活です―― (2023.03.27)
「若者」カテゴリの記事
- 数学を学ぶとは・教えるとは ――「数学人の集い」の楽しみ方―― (2023.06.11)
- 学校でとんでもないことが起きているようです。 ――生徒や学生はどうすれば良いのでしょうか―― (2023.06.08)
- マスコミに関心を持って頂き感謝しています ――お陰様で、G7広島サミットの全体像が浮き彫りになってきました―― (2023.06.02)
- 今日発売の『日刊ゲンダイ』を御覧下さい ――私論・G7広島サミットの総括が掲載されています―― (2023.06.01)
- 日記を付けなくても良いと考えた理由 ――去年も同じ日に日記のことを書いています―― (2023.04.23)
コメント
« 行動する宗教者・中垣法師 (その3) ――会場からの問題提起も本質を突いたものでした―― | トップページ | K.T ダイナー ――50年代、60年代のアメリカが味わえます―― »
① 長い方がかっこいいから。
② 3月末日まで籍があるので、それまでは卒業していないから「授与式」
こんなんじゃないでしょうか
投稿: ⑦パパ | 2018年4月 7日 (土) 10時17分
「⑦パパ」様
コメント有り難う御座いました。
① それで、加計学園・岡山理科大学では、「入学宣誓式」にしたのですね!!
② こちらはかなり「官僚的」視点からの理由付けですが、それを卒業ではなく、入学に当てはめると、通常4月1日には入学していることになっていますので、「入学」式ではなく、「入学宣誓式」「入学許可式」とかにすべき、ということになりませんか??
色々、理屈を考えて見るのも一興ですね。
投稿: イライザ | 2018年4月 7日 (土) 10時44分