歴史的南北首脳会談 ――緊張緩和からより平和な世界への転機に――
歴史的南北首脳会談
――緊張緩和からより平和な世界への転機に――
歴史的な首脳会談が開かれた4月27日、やはり、この日の意味について一言コメントしておきたいと思います。
南北軍事境界線上のパンムンジョムで開かれた韓国のムン・ジェイン大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の会談は大きな成果を挙げました。
それは、「朝鮮半島の完全な非核化」と、現在は「休戦」している朝鮮戦争(1950~53年)を年内には終戦宣言によって終らせることを目指すとの合意をしたからです。「南と北は、完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」と明記、さらに、1953年に締結された朝鮮戦争の「休戦協定」を、一時的な「休戦」に限らずに、戦争を最終的に終結し平和な関係が日常になる「平和協定」に転換するため、南北米の三者、あるいは南北米中の四者会談を勧めることにも言及されています。
さらなる詳細はマスコミが報道していますので、今回の会談についての私的な感想を二三述べておきたいと思います。
嘘を嘘とも認識できない安倍政権に反論するのも大人気ないのですが、「対話のための対話は意味がない」と国会でも答弁した安倍総理の言葉とは正反対の結果になりました。その安倍総理はまたもや前言を翻し、今回の板門店宣言を歓迎しています。
でも安倍総理がどう言おうとも、対話を続けることは大切なのです。対話のための対話でも、その他の形の対話でも、対話がなければ平和的な解決はあり得ません。ですから、今後、二か国から、3ヵ国、四カ国の間での「対話」や「会談」が開かれることになったのは大きな成果です。
でも、その「対話」や「会談」に日本が参加できるのかどうかが心配です。対話には反対、圧力を掛け続けろ、と言ってきた安倍政権に取っては計算済みの結果だと思いますが、私たち国民にしてみればとても残念なことだと思います。しかし、それで諦めてはいけません。
安倍政権にはできないと思いますが、新たな平和を目指す「対話」に日本が参加するためには、日本の平和政策をもう一度しっかりと世界に向って発信することから始めるのが順序です。例えば、朝鮮半島の非核化には大賛成、しかし、それだけでは十分ではなく、日本も含めて北東アジアの三国、つまり南北朝鮮と日本は核兵器を持たないという宣言に広げたいと、改めて日本の立場を確認すれば良いのです。
それが一つの出発点になって、以前にも言及した北東アジア非核地帯創設につながるためには、5月か6月に開かれる米朝会談が重要ですが、それについても、日本政府が積極的に関与できるようには見えません。「圧力を掛け続けろ」という立場は、「北風」に頼る考え方です。今「南風」が吹いてようやく南北会談が開かれたのですから、日本政府も「南風」の恩恵に預かり、かつ米朝の信頼関係構築に役立つよう、「対話」路線に乗り換えての提言を始めるべきでしょう。
南北の首脳は相当の勇気を奮って今回の首脳会談を実現させました。安倍政権には、到底それだけの勇気は期待できませんので、この際、解散総選挙という自民党・安倍シナリオに乗って、日本の政治を振り出しに戻してから、少し時間的には遅れても、平和な世界を目指す政治創りを私たち市民の立場から目指したらどうかと思うのですが――。
[2018/4/27イライザ]
[お願い]
文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
コメント
« 4・26 チェルノブイリ・デーの座り込み | トップページ | 第2回関係政党等意見交換会 ――特別なイベントを開く方向です―― »
「ニュース」カテゴリの記事
- (喝!!) マスコミは何をしているのだ!! ――女性が3自治体議会の過半数というニュースは一面記事だろう―― (2023.05.03)
- 社民党の大椿裕子副党首が繰り上げ当選 ――社民党の参議院議員は福島党首と二人になります―― (2023.03.31)
- 広島市長選挙 ――唯一の争点は『はだしのゲン』の復活です―― (2023.03.27)
- 「記憶が不確かだから記録を残す」の意味を葬り去った自民党政治 ――それでも過去の記録を忠実に残す努力をし続けよう―― (2023.03.11)
- 『はだしのゲン』の何が問題なのか ――本当は松江市の先例と同じ理由?―― (2023.02.22)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 今、広島で起きていること ――大阪講演報告4・外務省や日本政府抜きには語れない―― (2023.09.22)
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- 4年振りの敬老会に参加しました ――高齢化社会の現実についても考えさせられました―― (2023.09.18)
「平和」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 今、広島で起きていること ――大阪講演報告4・外務省や日本政府抜きには語れない―― (2023.09.22)
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- 「即時行動」への共感 ――大阪から新たな動きが生まれそうです―― (2023.09.16)
「日本政府」カテゴリの記事
- 原爆の責任議論を「棚上げ」したのは何故か ――一つは、外務省が広島の平和行政を仕切っているから―― (2023.09.24)
- 今、広島で起きていること (2) ――大阪講演報告5・「原爆の責任議論は棚上げ」した広島市―― (2023.09.23)
- 今、広島で起きていること ――大阪講演報告4・外務省や日本政府抜きには語れない―― (2023.09.22)
- 岸田外交の本質 ――核兵器禁止条約締約国会議にオブザーバ参加さえ拒否する理由は?―― (2023.09.20)
- 被災地に人を送り込むな ――5年前の教訓は生きているのでしょうか?―― (2023.07.18)
「選挙」カテゴリの記事
- (喝!!) マスコミは何をしているのだ!! ――女性が3自治体議会の過半数というニュースは一面記事だろう―― (2023.05.03)
- 明日が投票日です ――三地区で三人の候補を応援しています―― (2023.04.08)
- 議員からの発信手段を多様化できないか ――それなりのお金がないとできません―― (2023.04.06)
- 多様性を尊重するには ――一定の議員定数が必要―― (2023.04.05)
- 「議員定数を減らす」目的は何? ――社会の「空気」に騙されないために―― (2023.04.04)
コメント
この期に及んでも『ウミを出しきって...』。
もとよりうすっぺらな見識と認識の持ち主だもの、
これらはまったく驚くにあたらない。
「犯罪じゃないし」(朝日4/15橋本治)←と思っているうえに、
「行政の長の自覚がない」(朝日4/28読者)←資格ともにあろうはずもないのだし。
それよりも情けないのはメディアの多くがいまもって大甘なこと。
先週NHKBS 『大統領の陰謀』1976 再見。
おおそうだった All The President's Men が原題だった。
All The king's Men『オール・ザ・キングスメン』 1949(日本公開1976)もあった。
All The バカ殿's Men ばっかりの国、美しいはずだ。
朝鮮半島の非核化には、具体性が無いと言う人もいますが、このような目標を口にし文書にする事は大切だと思います。
また、非核化には在韓米軍が韓国内に配備しているであろう核兵器の撤去も含まれるでしょうから、米国が賛同しないといけませんね。
そして今回の会談で良かったと思う事は、今までのような交換条件をつけるような事でなく、両国の代表が平和への共通の目標と終戦です。特に終戦をしようとした事は、とても良い事だと思います。
拉致被害者の方達には残念ことになりましたが、朝鮮戦争の終戦が問題解決の早道かもしれませんね。
日本はアメリカにリードを持たれているよく吠える犬としか見られていないような気がします。
今回の共同宣言には
「朝鮮半島の非核化」とかかれているようですが、
それは
韓国内にある米軍基地に保有されている核もふくまれることになりますね。
そうなると、それは米軍の韓国からの撤退を意味することになるのではないでしょうか。
アメリカにとっては、軍事費の削減にもなることでしょうから、歓迎でしょうね。
でも、それによって日本は危険な状態に置かれると解釈するでしょうから、
日本国政府は韓国の非核化はすべきでないと反対するのではないでしょうかね。
「されど映画」様
長い間、時代を共にした政治家の中で、ニクソンが最悪だと思っていましたが、それを凌ぐ存在が日本に現れるとは思ってもいませんでした。
自分で言っていることの意味が全く理解できない人間 [註を付けると、勝手に脳内変換が行われていて、自分に取ってはそれなりの意味があるであろうことが怖いです。] が行政府の長として「君臨」している状況を何とかして変えたいですね。
「やんじ」様
コメント有り難う御座いました。
今回の共同宣言には歴史的意味があると思います。
トランプに取っては、紐も付けていないのにすり寄ってきて、口笛一つで何でもする犬、叩いたりしてもすり寄ることは止めない犬くらいの存在なのではないでしょうか。
「ヒカクカ」様
コメント有り難う御座いました。
日本政府は、私たちとは異次元の発想で朝鮮半島の非核化に反対するかもしれない、という予測は正鵠を射ているように思います。「朝鮮半島からは核がなくなった、でも日本は持っている」、と嘯くのでしょうか。安倍という個人による自衛隊の私物化と合わせて日本の核保有を考えると、末恐ろしいシナリオが現れてしまいます。
これで、
金正恩、文在寅、トランプの3氏がノーベル平和賞を受賞したら、
日本から、お笑い大賞、Rー1グランプリを授章しましょうね。
日本政府は拉致問題の解決=拉致被害者の救出と考えているようですが、時間を戻すことはできないわけで、日本より北朝鮮で多くの時間を過し生活を築いている拉致被害者に、日本か北朝鮮かという二者択一を迫ることも苛酷であり、その解決は日朝の国交正常化以外にはないだろうと思います。
そして核問題も北朝鮮としては米国との国交正常化さえあれば核を持つ理由もなくなるはずで、北朝鮮も、かつての日本やベトナムのように、反米国家から親米国家へ転換すれば、何もかも解決するというのはあまりに楽観的でしょうか。
「グランプリ」様
コメント有り難う御座いました。
先ずは米朝会談がどうなるかですが、期待したいですね。
「工場長」様
コメント有り難う御座いました。
国交の正常化が基本的だという御指摘、その通りだと思います。さらに、世界は非暴力的・平和的になってきていますので、その延長線上で物事は変って行って当然です。もちろん、その方向への努力は続けなくてはなりませんが。
« 4・26 チェルノブイリ・デーの座り込み | トップページ | 第2回関係政党等意見交換会 ――特別なイベントを開く方向です―― »
この期に及んでも『ウミを出しきって...』。
もとよりうすっぺらな見識と認識の持ち主だもの、
これらはまったく驚くにあたらない。
「犯罪じゃないし」(朝日4/15橋本治)←と思っているうえに、
「行政の長の自覚がない」(朝日4/28読者)←資格ともにあろうはずもないのだし。
それよりも情けないのはメディアの多くがいまもって大甘なこと。
先週NHKBS 『大統領の陰謀』1976 再見。
おおそうだった All The President's Men が原題だった。
All The king's Men『オール・ザ・キングスメン』 1949(日本公開1976)もあった。
All The バカ殿's Men ばっかりの国、美しいはずだ。
投稿: されど映画 | 2018年4月28日 (土) 15時38分
朝鮮半島の非核化には、具体性が無いと言う人もいますが、このような目標を口にし文書にする事は大切だと思います。
また、非核化には在韓米軍が韓国内に配備しているであろう核兵器の撤去も含まれるでしょうから、米国が賛同しないといけませんね。
そして今回の会談で良かったと思う事は、今までのような交換条件をつけるような事でなく、両国の代表が平和への共通の目標と終戦です。特に終戦をしようとした事は、とても良い事だと思います。
拉致被害者の方達には残念ことになりましたが、朝鮮戦争の終戦が問題解決の早道かもしれませんね。
日本はアメリカにリードを持たれているよく吠える犬としか見られていないような気がします。
投稿: やんじ | 2018年4月28日 (土) 15時43分
今回の共同宣言には
「朝鮮半島の非核化」とかかれているようですが、
それは
韓国内にある米軍基地に保有されている核もふくまれることになりますね。
そうなると、それは米軍の韓国からの撤退を意味することになるのではないでしょうか。
アメリカにとっては、軍事費の削減にもなることでしょうから、歓迎でしょうね。
でも、それによって日本は危険な状態に置かれると解釈するでしょうから、
日本国政府は韓国の非核化はすべきでないと反対するのではないでしょうかね。
投稿: ヒカクカ | 2018年4月28日 (土) 16時49分
「されど映画」様
長い間、時代を共にした政治家の中で、ニクソンが最悪だと思っていましたが、それを凌ぐ存在が日本に現れるとは思ってもいませんでした。
自分で言っていることの意味が全く理解できない人間 [註を付けると、勝手に脳内変換が行われていて、自分に取ってはそれなりの意味があるであろうことが怖いです。] が行政府の長として「君臨」している状況を何とかして変えたいですね。
投稿: イライザ | 2018年4月28日 (土) 22時34分
「やんじ」様
コメント有り難う御座いました。
今回の共同宣言には歴史的意味があると思います。
トランプに取っては、紐も付けていないのにすり寄ってきて、口笛一つで何でもする犬、叩いたりしてもすり寄ることは止めない犬くらいの存在なのではないでしょうか。
投稿: イライザ | 2018年4月28日 (土) 22時36分
「ヒカクカ」様
コメント有り難う御座いました。
日本政府は、私たちとは異次元の発想で朝鮮半島の非核化に反対するかもしれない、という予測は正鵠を射ているように思います。「朝鮮半島からは核がなくなった、でも日本は持っている」、と嘯くのでしょうか。安倍という個人による自衛隊の私物化と合わせて日本の核保有を考えると、末恐ろしいシナリオが現れてしまいます。
投稿: イライザ | 2018年4月28日 (土) 22時42分
これで、
金正恩、文在寅、トランプの3氏がノーベル平和賞を受賞したら、
日本から、お笑い大賞、Rー1グランプリを授章しましょうね。
投稿: グランプリ | 2018年4月29日 (日) 07時27分
日本政府は拉致問題の解決=拉致被害者の救出と考えているようですが、時間を戻すことはできないわけで、日本より北朝鮮で多くの時間を過し生活を築いている拉致被害者に、日本か北朝鮮かという二者択一を迫ることも苛酷であり、その解決は日朝の国交正常化以外にはないだろうと思います。
そして核問題も北朝鮮としては米国との国交正常化さえあれば核を持つ理由もなくなるはずで、北朝鮮も、かつての日本やベトナムのように、反米国家から親米国家へ転換すれば、何もかも解決するというのはあまりに楽観的でしょうか。
投稿: 工場長 | 2018年4月29日 (日) 08時50分
「グランプリ」様
コメント有り難う御座いました。
先ずは米朝会談がどうなるかですが、期待したいですね。
投稿: イライザ | 2018年5月 2日 (水) 11時46分
「工場長」様
コメント有り難う御座いました。
国交の正常化が基本的だという御指摘、その通りだと思います。さらに、世界は非暴力的・平和的になってきていますので、その延長線上で物事は変って行って当然です。もちろん、その方向への努力は続けなくてはなりませんが。
投稿: イライザ | 2018年5月 2日 (水) 11時49分