エープリル・フールの今日くらい真実に触れよう ――ニューヨーク在住の中垣法師との対話です――
エープリル・フールの今日くらい真実に触れよう
――ニューヨーク在住の中垣法師との対話です――
今日、4月1日はエープリル・フールの日です。嘘を吐いても良い日、嘘を吐かれても怒らない日、ユ-モアを楽しむ日ですが、安倍政権の暴走、それに盲従する高級官僚、そして追従するマスコミのせいで、我が国は、365日、一日24時間、一週7日間、全て嘘で塗り固められてしまったかの感があります。
海外でも、トランプ大統領の登場で、「フェイク・ニュース」が大手を振って歩くようになった結果、せめて4月1日くらいは真実を報道しようと、意図的に嘘を控えるメディアも登場しているようです。
それに倣って、今日の広島でも、真実を語り真実を聴くことを重んじましょうという呼び掛けです。大変、勝手味噌なお知らせになりますが、一昨日お知らせしたように、今日、午後二時から国際会議場で、中垣顕實法師と私の対談の会が開かれます。
中垣法師は、2010年にお会いした当時、ニューヨーク本願寺の住職でしたが、その後はフリーランスの僧侶として、仏教という軸に沿っての、平和や国際理解、地域の一員としての地道な活動などを続けて来られた方です。例えば、1994年から毎年8月5日に、広島・長崎原爆法要「恒久平和の日の集い」をニューヨークで開催されていますし、2002年から10年間、9月11日にハドソン川で、9.11同時多発テロ犠牲者追悼灯ろう流しを続けて来られました。
ニューヨークは人種のるつぼとも言われたことがあるほど、多様な人々が住んでいる地域です。それでも少数派の苦労は並大抵ではありません。「仏教」という立場も明確にしながら、地域に溶け込み、その地域を象徴する存在でもある警察との連携を密にして来られた実績には敬服します。
そして今回、8年振りにお会いするに当って、中垣師の近著『卍とハーケンクロイツ』を読ませて頂きました。こんなに凄い仕事をされていたのだということが分り、新たな敬意を抱いています。
「ハーケンクロイツ」とはナチスのカギ十字です。ホロコーストを経験された方はもちろん、西欧社会でのハーケンクロイツの位置付けは究極の悪のシンボルです。カギ十字を小さなデザインであろうとどこかに使うことは許されませんし、ナチスとの関連を知らずに使ったとしても囂々たる非難を受けるような存在です。
私自身の経験を振り返ると、小学生の時、未だナチスについての知識は全くなかった時代に、地図の記号としての「卍」を習っていました。物心が付いてからナチスについての知識も増え、特にアメリカで生活するようになってからは、カギ十字に嫌悪感を持つ気持も良く分るようになりました。
しかし、寺院のシンボルである「卍」と究極の悪のシンボルであるカギ十字との関連については、その必要もなかったのだと思いますが、ほとんど考えたことはありませんでした。
『卍とハーケンクロイツ』は、その関連を明快に解き明かしてくれるだけでなく、東洋そして世界における幸せのシンボルとしての「卍」の存在の意味を、説得力を持って伝えてくれています。内容については、「おわりに」から、中垣師の言葉を引用しておきます。
本書の基本は日本や東洋で使われる卍とヒトラーが使ったハーケンクロイツとの相違点また類似点を明確にすることであった。そしてそれを認識することが、現在、西洋と東洋での卍に関する諸問題の解決の糸口になると考えたのだ。
邪な行為のシンボルになってしまったデザインが、それ以上の長い人類史の中で果してきた役割、そして今後も果しうる役割を冷静に見詰めることで、人類史をどう捉えるのか、その中での特定の時期、特定の人々の体験をどう位置付けるのかという、歴史の捉え方についての学術的かつ分り易い一書になっています。一読をお勧めしますし、その著者の中垣師の謦咳に接する良い機会でもありますので、多くの皆さんの御来場をお持ちしています
[2018/3/31イライザ]
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