「島根原発再稼働及び上関原発建設を中止し、原子力発電からの撤退を求めます」
「島根原発再稼働及び上関原発建設を中止し、原子力発電からの撤退を求めます」-中国電力本社へ申し入れ-
昨日午前11時、「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」実行委員会は、集会参加者の総意に基づき、中国電力・清水希茂社長あてに「島根原発再稼働及び上関原発建設を中止し、原子力発電からの撤退を求めます」という要望書を提出しました。この日、中電本社を訪れたのは、弁護士の山田延廣呼びかけ人と事務局の計4人でした。
最初に、山田さんから以下の要望書を全文読み上げて、中国電力に手渡しました。
2018年3月12日
中国電力株式会社
取締役社長 清水 希茂 様
フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会実行委員会
広島市西区横川新町7-22 自治労会館1階
原水爆禁止広島県協議会(広島県原水禁)内
島根原発再稼働及び上関原発建設を中止し、原子力発電からの撤退を求めます
日頃から、電力の安定供給のため、ご尽力されていますことに敬意を表します。
さて、東京電力福島第一原発事故が発生してから7年が経過しますが、同原発では、依然として溶融核燃料の行方も把握できない状態が続いています。様々な汚染水対策も十分な効果をあげることができず、今なお漏れ続ける放射能も食い止めることができておらず、福島原発事故は、収束していないのが実態です。何とか現状を維持しているのは、およそ7,000人の過酷な被曝労働によるものです。被曝労働対策も喫緊の課題です。
また、生活を奪われ、故郷を追われてしまった被災者は福島県だけでも5万5千人を超える人々がいまだ苦しい避難生活を余儀なくさせられています。長期にわたる避難生活の中で、生活基盤は根こそぎ奪われ、多くの方が「ふるさと喪失感」や生き甲斐をなくし、苦悩の中で暮らし続けています。そして、子どもたちの間では、福島県を中心に、154人の子どもたちに甲状腺がんが確認され、疑いを含めると193人にものぼり、年々増加の傾向を示していることから、不安感が広がっています。
福島で起きている現実は、原発がいったん重大事故を起こせば、働く人や多くの住民の被曝が避けられず、どんなに深刻な事態を招くかを明らかにしています。そのことは、原発事故は一企業が責任を持って処理できるものでないことも示しています。
今貴社に求められていることは、この「フクシマ」の実態をふまえ原子力発電から撤退することです。それにもかかわらず、貴社は島根原発2号機の再稼働に向けて4,000億円を超える莫大な費用をつぎ込み、同原発の再稼働をしようとしています。このことは、原発をなくし安心して暮らせることを切望する住民の願いを踏みにじるものであり、断じて容認することはできません。
原子力規制委員会も認めているように「原発に絶対の安全」はありません。事故を防ぐためには、原子力発電所を稼働させないこと以外にはありません。すべての原発が停止した状態においても、電力供給は十分にまかなえています。また、上関原発計画は、長年にわたり地域に混乱をもたらしてきました。福島原発事故を見れば一目瞭然のように、豊かな瀬戸内の海を放射能で汚染させるような愚かな選択をすべきではありません。恵みの海を守り続けてきた山口の人々に、貴社がやるべきことは上関原発建設を中止し、一日も早く安心できる暮らしを保障することです。
福島原発事故から7年。私たちは3月11日、被爆地ヒロシマにおいて「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」を開催し、原発のない社会の実現をめざして取り組むことを改めて決意しました。それは「核と人類は共存できない」という放射能の恐ろしさを知るヒロシマの責務でもあります。
集会参加者の総意として、貴社に次のことを要求します。
1.島根原発2号機の再稼働を断念するとともに、3号機を運転しないこと。
2.上関原発の建設計画を白紙撤回すること。
以上
話し合いの冒頭山田さんは、前日の集会の模様に触れながら特に人見さんが強調された「子供たちの甲状腺がんの発生の実態」を紹介するとともに、「上関原発計画によって、地域が分断されている。早く計画を断念すべきだ」ということを強く述べました。さらに「原発を断念すると、経済的な影響が大きいと主張する声もあるが、将来再生可能エネルギーに転換したからと言って、経済に影響することはない」と原発政策からの転換を求めました。中電の回答は相変わらずの「①東京電力の事故を受けて、より一層の安全対策を実施してきた②資源がないわが国で電力安定供給、そして温暖化対策のために③国の方針であるベースロード電源としてバランスの取れた電源構成となるようにするためには、原発が必要」との従来の主張を繰り返すのみでした。
いろいろやり取りがありましたが、最後に二つのことを質し、約1時間の話し合いを終わりました。
質した一つは、「将来どうしたら原発に頼らない社会が実現できるのか、しようとしているのかを、ぜひ明らかにしてほしい」ということ、二つ目は「夏にもまとまるといわれる『エネルギー基本計画』の中で、もし『新・増設を認めない』となったら、上関原発計画は、断念するのか」ということです。
残念ながら、ここでも明確な答えは得られませんでした。都合のよい時には、政府の計画を引き合いに出し、自分たちの都合が悪くなると「住民の皆さんにこれまで説明してきたので」と住民のせいにする姿勢には、ただただあきれるばかりでした。
ところで、中国電力本社ビルの玄関ロビーには、「島根原子力発電所の安全対策」という大きなパネルが展示されています。そこには、現在まで進められている高潮対策などが図示されていますが、ちょっと気になったのは、次の部分です。
飛行機の絵とともに「意図的な航空機衝突への対応」という文字が見えることです。具体的な対策は示されていないようです。この掲示を見て「えー」と思うのは私だけでしょうか。「意図的な航空機衝突」に対して本当に対策が取れるというのでしょうか。すぐに思いだすのは、9・11テロでのニューヨーク貿易センタービルの崩壊の映像です。そして福島原発事故で炉心溶融とともに危惧されたのが、使用済み燃料プールの問題だったはずです。「意図的な航空機衝突」に中電はどんな対策を講じたというのでしょうか。
関心のある方は、ぜひ中国電力本社ビルを訪問してください。1階ですので、だれでも自由に入れます。
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コメント
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全ての原発は、新しい安全基準たかをクリアできたら安全だとして再稼働を目指してますが、一番気になっているのは、ほとんどが見た目の安全対策であり、どこの既存の原発の基礎部分の対策はどうなっているのかです。
建物の土台が本当に安全なのか。阪神淡路大震災以降の新しい建築の地震設計をクリアしているのか。
あまり話題にならないので、どうなんだろうかと思ってます。
投稿: やんじ | 2018年3月13日 (火) 12時34分
「やんじ」さんコメントありがとうございます。
その通りだと思います。私も、建物の土台の安全基準がどうなっているか理解していませんが、このことが話題になったことは全くないように思えます。
そしてブログでも触れていますが、使用済み核燃料プールの構造はどうなったのかなども、とても安全性が保障されたいるとは言えません。
福島を体験したのですから、一から見つめなおすことが改めて問われているように思います。
投稿: いのちとうとし | 2018年3月13日 (火) 14時39分
日本が原子力を始めた頃、新聞各社は「原子力発電所は火力発電所のように大規模な工場を必要とせず、大煙突も貯炭場も不要で、毎日石炭を運び込む必要もなく、たきがらを捨てる鉄道もトラックもいらず、ビルの地下が発電所となり電気料金は2千分の1になる」と報じています。それがどれほど馬鹿げたウソで、むしろ真反対のものであったかは誰もが知っている現実ですが、それでも日本国政府は原発を続けようとしています。
その理由は決してエネルギー問題でも、温暖化対策でもなく、石破茂氏が発言しているように「原発は核兵器とセットであり、原発により日本がいつでも核兵器を作ることができる状態が抑止力になる」と考えているからではないでしょうか。だからこそ仮に原発が安全でクリーンなものであったとしても許してはならないものだと思います。
日本国民は、未だに原子力緊急事態宣言が解除されていないという現実を再認識する必要があると思います。
投稿: 工場長 | 2018年3月13日 (火) 22時04分
工場長さん コメントありがとうございます。
原発と核兵器保有問題の指摘、そのとうりだと思います。
大量の保有されているプルトニウムの問題も同時に関変えなければならないと思います。日本は、どうにも抜け出すことのできない道をあゆうんだいるように思えてなりません。
そして、先送り先送りされている高レベル放射性廃棄物の処分問題もそうです。原発政策を推進している人たちは、本当に責任を持てるのでしょうか。
こうした問題に真剣に向き合うことが必要だと思います。私たちも。
投稿: いのちとうとし | 2018年3月13日 (火) 22時31分