「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」
「フクシマを忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」
東日本大震災による東電福島原発事故から7年目となる3月11日、「福島を忘れない!さようなら原発ヒロシマ集会」が、午後1時30分から原爆ドーム横で開催されました。この集会は、事故が起きた翌年の2012年から毎年開会されています。今年の集会は、被爆者の坪井直さん、医師で広大名誉教授の鎌田七男さん、前広島市長の秋葉忠利さん、市民運動家の森滝春子さん、弁護士の山田延廣さん、有機農家の岡田和樹さんら6人の呼びかけに応えた市民や労働組合員など300人が参加しました。
福島原発訴訟を支援する大月純子さんの司会で始まった集会は、最初に全参加者が東日本大震災で犠牲となられた方々への黙とうを行い、続いて呼びかけ人を代表して森滝春子さんがあいさつ。森滝さんは、「犠牲者の死を決して忘れてはいけない。とりわけ福島原発事故では、自死をはじめ関連死が出ていることを。今、事故がなかったかのごとくふるまう動きが強まっています。そして日常生活の中でも忘れることが起こっています。多くの被曝者を生み出したこと。この現実を決して忘れず、核と人類は共存できないという声を大きくしましょう。」と呼びかけました。
続いてこの集会のため福島から駆けつけていただいた福島原発告訴団役員の人見やよいさんが福島からの報告。人見さんは、「あの日、あの福島原発の爆発の映像を見て、すべての国民が『原発はやめてくれ』と思ったし、『二度と原発を動かせない』と思ったはずです。しかし、今、福島では相手の安全キャンペーンが繰り広げられています。県内では、安全キャンペーンのチラシが大量に配布されています。そして事故前まで、被ばく限度量は1msvであったにもかかわらず、緊急だからと20msvに引き上げられたまま。これを見逃してはいけません。今いじめとよく似た現象が広がっています。20発ではいじめではないが、100発殴られて初めていじめと認めるような風潮になっています。そんな思いの中でいる私たちのことを、広島の人たちならきっとわかっていただけると思います。裁判への協力をお長居します。署名を通じて指示してください。こんな危険な核を扱く企業がこんないい加減なことをしてきたのですから。」と訴えました。
最後に「ヒロシマアピール」を全員で採択し、市民の皆さんに「フクシマを忘れるな!脱原発社会の実現を」と訴えるため、中国電力本社前まで参加者全員で、デモ行進を行いました。
今年は、この原爆ドーム前での集会に先立ち、「福島の実状をしっかりと聞きたい」ということで、午前10時より広島弁護士会館において第1部集会が開催されました。
山田延廣さんの主催者あいさつの後、最初の訴えは人見やよいさんからでした。福島第1原発から50km以上離れた郡山での体験をもとに現在の福島の実状を紹介しながら、ここでも「一番の問題は安全キャンペーンが繰り広げられ、どんどん被害の事実が切り捨てられよとしていること」が強調されました。
続いて、芸人・記者のおしどりマコ・ケンさんによるトークライブ。芸人・記者という肩書にちょっと?の人もおられるでしょう。お二人は、福島原発事故直後、東京を離れる芸人さんたちの姿を見に疑問を感じたところから、原発事故の深くかかわるようになったことを紹介しながら、東京電力の記者会見に関心を深め、ユーチューブで流されている記者会見の様子に我慢ならず、自らが東京電力の記者会見に参加するようになり、今も続き、メッセージを発信しているということが、記者としての正体のようです。もちろん、現地フクシマにも何度も足を運んで直接取材。次々と展開する話の中味に、ついメモも忘れて聞き入るばかり。こんな大切な話をここできちんと報告できず、申し訳ありません。一つだけ強く印象に残ったこと。農家の被曝問題です。私たちが「農家の人たちが被曝問題で困っている」と言われて思いつくことは、やはり「農作物の汚染」問題だと思います。ところが、おしどりマコ・ケンさんの話はちょっと違いました。「農作物の『放射性セシウム』による汚染を減らすためには、カリウムを大量にまくことで防ぐことができる。実際に農作物の放射線量は、減少している。しかし、農家の人たちが心配しているのは、土壌そのものの、『放射性セシウム』の濃度が下がったわけではないので、そこで農作業中に受ける被曝線量をどうするのかということです。しかし、その疑問への答えは、『家に帰ったらすぐに鼻を洗いなさい、うがいをしなさい。服をすぐに洗いなさい』なんですから」。同じような問題ですが、「帰還を急がせながら、除染するのは、住宅とその周辺だけ。畑や田んぼへの農作業に出かける途中の高濃度に汚染された道を通るときはどうするのですか?という疑問にも同じ答え。」
こんな話を聞いて皆さんどう思われますか。子ども隊の甲状腺異常の問題もそうですが、私たちが思っている以上に、私たちの知らない、現地では深刻な状況がたくさんあるということです。こうしたことを覆い隠しての「安全キャンペーン」そして「原発の再稼働」の強行。
原点である福島原発事故の実相を決して忘れてはならないことを改めて思い知らされた今年の3月11日でした。
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