2018年全国被爆二世団体連絡協議会総会
2018年全国被爆二世団体連絡協議会総会
―被爆二世集団訴訟への取り組み強化を決定―
今日は、「2018年全国被爆二世団体連絡協議会総会」について報告します。
隔年ごとに開催される「全国被爆二世団体連絡協議会」(以下「被爆二世協」という)の総会は、2月11日、12日の二日間、今年も広島市で開催されました。総会には、広島、長崎だけでなく山口県や大阪府などから70人の被爆二世が参加し、2019年まで2年間の活動方針を議論し、決定しました。私も、広島県原水禁を代表として参加しました。
まずこの総会で決定した、これから2年間の活動方針です。大きな柱は、3つです。
第1の柱は、昨年2月に広島、長崎でそれぞれの地裁に提訴した「被爆二世集団訴訟」への取り組みを強化することです。
第2の柱は、国連人権理事会を通じて「被爆二世の人権保障」を求める取り組みを進めることです。
第3の柱は、再びヒバクシャをつくらないために、核兵絶と世界の平和を求める活動を積極的に取り組みことです。
そしてこれらの活動を通じて、フクシマの被曝者と連帯し、住民や労働者の健康を守り、健康被害の補償を求める取り組みに参加することが決まりました。
総会の最重要課題は「被爆者二世集団訴訟」でしたが、この問題は先日のブログでも報告していますので、今日は、「国連人権理事会」を通じての「被爆二世の人権保障」の動きについて、報告してみたいと思います。ます。
日本政府による被爆二世対策がなかなか前進しない中で、被爆70年以降の活動の一つとして「被爆二世問題を国際社会(国連人権委員会)で人権侵害として訴え、日本政府に被爆二世の人権保障を求める取り組みを進める」ことになりました。
2015年に初めて、「被爆二世協」の代表をジュネーブの国連欧州本部へ訪問団を派遣し、その活動のスタートを切ったそうです。そして日本政府の人権状況の審査が行われる昨年(2017年)11月6日から17日の国連人権理事会に向けた活動として昨年3月の情報提供、10月には、各国の在日大使館訪問、そして10月16日から18日の3日間、ジュネーブ現地での各国政府代表部への働きかけや国連で活動しているNGOとの意見交換国連人権高等弁務官事務所の訪問など、精力的な活動を展開してきました。その努力が実り、コスタリカとメキシコが、日本政府の勧告の一つとして「被爆二世の問題」に言及し、11月16日に採択された日本審査の報告書には次のように盛り込まれました。
○被爆者援護法を被爆二世、とりわけ健康問題に対し、適用を拡大するように考慮すること(コスタリカ)
○福島原発事故被害者、ならびに被爆者の将来世代に、医療を保証すること(メキシコ)
この勧告について日本政府は、3月に開催される国連人権理事会までにこの勧告を受け入れるかどうか報告することになっています。被爆二世問題が、国際社会(国連の場)で取り上げられるようになったことは、大きな前進だす。しかし現在の日本政府の姿勢からは、大きな期待を寄せることはできないと思いますが、私たちも関心を持って見守っていく必要があります。
ところで、上記二つの国の名前を読まれて思い出されることはありません。私は、「核兵器禁止条約」交渉のことを思い起こしました。コスタリカは、言うまでもありませんが「核兵器禁止条約交渉会議」で議長を務めたホワイトさんの国です。メキシコも「核兵器禁止条約の交渉」を主導してきた国の一つです。それは「核兵器禁止条約」の前文に「現在および将来世代の健康に重大な影響を与え」という文言を盛り込むことの努力した国々でもあるということです。こうした国を広げることも課題です。
そして「核兵器禁止条約」は、「核兵器を禁止し核廃絶を実現」させるという役割だけでなく、核被害者や二世問題を解決する条約でもあることも強調しなければならないと改めて強く思っています。そして、「被爆二世問題」は、決して広島、長崎の原爆被爆による二世だけの問題ではなく、世界の核被害者の将来世代の問題として考えなければならないことを、この「被爆二世協」総会で学びました。
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コメント
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広島で行われる様々な勉強会や講演会 活動に参加したいのですが、日程の一覧はあるのでしょうか?
投稿: 和 | 2018年2月13日 (火) 21時30分
「和」さま
いつもコメントありがとうございます。
お訪ねの件ですが、今特に決まった日程はありません。
今後、できるだけ事前にこのブログでも紹介したいと思います。
ぜひ都合がつけば参加してください。
また裁判では、法廷が終了した後、報告会が必ず行われ、弁護士の皆さんからのその中身が教えていただけます。時間があれば、裁判傍聴もよい勉強の機会になると思います。
投稿: いのちとうとし | 2018年2月13日 (火) 22時09分