アメリカの核態勢見直し ――NPRを撤回させるためのアメリカの動き――
アメリカの核態勢見直し
――NPRを撤回させるためのアメリカの動き――
アメリカ政府の「核態勢見直し」 (略してNPR) が、核兵器使用への道を大きく開き、核戦争の可能性を増すこと、ひいては人類滅亡へ転がり落ちるかもしれないという危機感は、被爆者は勿論、世界中の平和団体が共有しています。一度は発表されてしまっていても、それを撤回させ核廃絶の方向に舵を切り直させるための努力が必要です。
アメリカでは、NPRならびにトランプ大統領の核兵器に対する姿勢が、核の先制使用に直接つながらないように、議会が宣戦布告の決議をしない限り大統領といえども核兵器は使えない、という趣旨の法案を、エド・マーキー上院議員とテッド・リュー下院議員が提出しています。
By U.S. Senate Photographic Studio-Rebecca Hammel
[Public domain or Public domain], via Wikimedia Commons
さらに、マーキー上院議員とアール・ブルーメナウアー下院議員が、SANE Act (Smarter Approach to
Nuclear Expenditure--核関連支出についてのより賢明なアプローチ法) を提案しています。「sane」は、正気のという意味もありますので、それを略称として使うことでこの法案の意味を伝えています。 内容としては、今後10年間で、核関連予算を1,000億ドル削り、同額を環境関連分野に使うというものです。
議会では少数派である民主党議員による提案ですから、過半数の賛成を得るのは難しいにしろ、NPRの内容があまりにも絶望的であるだけに、共和党の良識ある議員たちの中からはこれらの法案に賛成する人が現れてもおかしくはありません。そのために、自分たちの選挙区・州選出の議員たちに働き掛ける運動がアメリカでは起きています。
こうした法案を提出してアメリカ議会でリーダーシップを発揮しているマサチューセッツ州選出のマーキー上院議員は、核軍縮・核廃絶を目指す世界的組織である「PNND」(核軍縮・核不拡散議員連盟)の共同議長です。PNNDは、核兵器禁止条約の採択に当っても大きな役割を果しました。
国際組織ですから、日本支部もありますが、それは「核軍縮・核不拡散議員連盟(PNND)日本」です。その会長は河野太郎外務大臣なのですが、彼は、NPRが核抑止力を強化するものとして歓迎する見解を直ちに発表しました。「PNND日本」の立場とは相容れないどころか、その対極に位置する考え方です。そして、世界の核状況を悪化させました。終末時計は過去最悪の「二分前」まで進んでいますが、それをさらに悪化させている罪は計り知れません。
官邸ホームページから
爆心地が自らの選挙区の一部である岸田文雄代議士も外務大臣になると、被爆者や被爆地を裏切って、核兵器禁止条約に反対する等の言動を続けてきました。これも終末時計が「人類滅亡2分前」までになった原因の一つです。河野太郎代議士も外務大臣になると自分が会長を務め、核廃絶のための様々な活動をしてきた「PNND日本」を裏切っています。それほど外務省の力が強いのかも知れませんし、外務省は単にアメリカ追従をしているだけなのかもしれませかが、それも視野に入れて、安倍政権の核政策を変えさせるための努力を続けなくてはなりません。
ではどうすれば良いのか、次回は、思い付くままにいくつかのアイデアを皆さんと共に検討してみたいと思います。
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