相撲協会の世界観 ――外国人差別は残っている?――
――外国人差別は残っている?――
昨年からワイドショーのネタとして頻繁に取り上げられているのが日本相撲協会ですが、あれだけ多くの女性ファンがいながら、未だに女性は土俵に上がらせない「伝統」は守っています。これを「差別」と捉える人も多くいますが、それで思い出すのが、小錦の現役時代に大問題になった「外国人差別」です。しかし、その時には、相撲協会の差別体質が批判されたと言うよりは、相撲協会を批判した小錦へのバッシングのように見えました。当時、この点について『アキバ・ウィークリー』で触れていますので、まずそれをお読み下さい。
KONISHIKIのホームページから
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
小錦差別事件について
――日本社会での人種差別に対する対応は十分だろうか――
[アキバ・ウィークリー第13号 (1992年
5月7日収録)]
皆さん、こんにちは。衆議院議員の秋葉忠利です。アキバ・ウィークリー第13号をお届けします。5月の第2週号です。
黒人ドライバーに対して集団暴行を加えた件で起訴されていた、ロスアンゼルス市警察の白人警察官4人が29日全員無罪になりましたが、この無罪判決に怒った黒人を中心とする市民が暴動を起こしたことは皆さんご存知の通りです。
あれほどはっきりしたビデオの映像があるにも拘わらず、何で無罪になってしまうのか疑問を感じた方も多いのではないかと思います。アメリカ社会に根強く残っている人種差別を追放するのが如何に難しいかを改めて目の前に突きつけてくれた事件であり評決でした。
さて、ひるがえって、私たち自身、日本社会における人種差別に対して十分な対応をしているかどうかを考えると、残念ながらまだまだだという気がします。
例えば、小錦発言が良い例です。先月20日付けの日本経済新聞、22日付けのニュヨーク・タイムズ紙に小錦の発言として、「横綱になれないのは人種差別のせい」という言葉が掲載されてから、ずっと小錦がこの発言をしたのかどうかが問題にされました。折角貴重な発言をしてくれた小錦が、あたかも悪者であるかのような扱いさえ受けたことも問題だと思いますが、しかしマスコミを含めて私たちが問題にすべきだったのは、小錦が横綱になれなかったのは、本当に人種差別のせいかどうか、もしそうなら、それをどう変えていくのかという点であって、だれがその問題提起をしたかではない筈です。
この点について「文芸春秋」4月号に掲載された、小島襄氏の「"外人横綱"は要らない」を読む限り、横綱審議委員会、少なくともその委員の一人が外国人差別をしていることは明白です。横綱審議委員会としては、この小島氏の考え方に対する公式見解を示していないのですから、これを黙認している、あるいは、これが審議委員会の見解だと取られても仕方がないと感じるのは私だけではないと思います。これを裏付けるデータがあることも皆さんご存知の通りです。
第一に、大関で二場所連続優勝またはそれに準ずる好成績という原則ですが、小錦より強さの点で劣る力士が過去横綱になっていることは皆さんご存知のとおりです。
第二に、小島氏自身認めているように、横綱昇進の審議で過去人格が問題にされたことは、殆どありません。外国人力士の場合にだけ「品格」が問題にされるのであれば、これは立派な差別です。
新弟子が少なくなった挙げ句の果てに、強くなれば横綱になれると外国人力士をリクルートし、その上、これほどあからさまに差別を行うことが許されるのでしょうか。横綱審議委員会ならびに相撲協会の品格ある対応を心から望みます。
これで、アキバ・ウィークリー第13号を終わります。次号は5月15日にお届けします。皆さんのご意見、反論をお聞かせ下さい。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
1992年から四半世紀以上経った今、外国人が横綱になることは当り前どころか、日本人が横綱になれるかの心配 (その理由は外国人差別と全く関係はありませんが) をしなくてはならないほどになりましたが、相撲協会の外国人差別はなくなったのでしょうか。
次回はこの点について考えて見たいと思います。
[お願い]
文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
« 懐かしいドーナツ盤 ――当分は捨てられません―― | トップページ | 相撲協会評議員会議長の思考 ――モンゴルは平和を大切にする国です―― »
「スポーツ」カテゴリの記事
- オリンピックの本を執筆します(2019.07.07)
- 習いごとは柔道 ――同じお題で書きましょう―― (2019.06.20)
- 暑い中のアルティメットの練習(2019.06.01)
- アメリカの高校のプール ――同じお題で書きましょう――(2018.07.21)
- アメフトだけがスポーツじゃない ――そして大学も原点に戻って欲しい――(2018.05.25)
「ニュース」カテゴリの記事
- 「記憶が不確かだから記録を残す」の意味を葬り去った自民党政治 ――それでも過去の記録を忠実に残す努力をし続けよう―― (2023.03.11)
- 『はだしのゲン』の何が問題なのか ――本当は松江市の先例と同じ理由?―― (2023.02.22)
- 『日刊ゲンダイ』をラジオで聞こう ――RCCラジオの土曜日「松ちゃん・大ちゃんのふくふくサタデー」です―― (2023.02.20)
- 日本が壊れて行く? (x) ――192ページの教科書に1200もの誤り、そして車中閉じ込め事故の新たな事実判明―― (2023.02.19)
- またまた人命軽視? ――3年以上も前に気球が日本の空を飛んでいました―― (2023.02.16)
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- White Christmas(2022.12.24)
- 面白いプロジェクトを始めていますので、ブログとツイッターはしばらく休んでいます。(2022.10.20)
- 「自然に」溜まってしまったコードやケーブル類の廃棄と整理(2022.10.07)
- 倉庫の整理を始めました(2022.10.04)
- 缶ワイン(2022.08.30)
「芸能・アイドル」カテゴリの記事
- 非暴力社会を目指す(2022.06.13)
- 「いじめ」をなくそう (3) ――テレビ番組の役割―― (2019.07.18)
- 「プレバト」に感謝 ――俳句で感動できるとは!――(2018.05.13)
- 百均のハンカチが世界的な活躍 ――久し振りにN響の定期演奏会で気付いたこと――(2018.04.16)
- 『天才を育てた女房』 ――「セックス、スクリーン、スポーツ」への警告には触れられていないかもしれませんが――(2018.02.23)
「マスコミ」カテゴリの記事
- 集団自決や集団切腹のリアルな記憶を大切に ――成田悠輔氏の持論への違和感―― (2023.02.23)
- 『日刊ゲンダイ』をラジオで聞こう ――RCCラジオの土曜日「松ちゃん・大ちゃんのふくふくサタデー」です―― (2023.02.20)
- 日本が壊れて行く? (4) ――ポイント凍結事故と車内の閉じ込め10時間―― (2023.02.02)
- 日本が壊れて行く? (1) ――「異次元」の違和感が広がっている―― (2023.01.27)
- この一年(2022年)を振り返る (3) ――思いも寄らぬことの連続でした―― (2022.12.30)
« 懐かしいドーナツ盤 ――当分は捨てられません―― | トップページ | 相撲協会評議員会議長の思考 ――モンゴルは平和を大切にする国です―― »
コメント