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2017年9月14日 (木)

何故「カルバン・クライン」なのですか? ――本拠はニューヨークです――


何故「カルバン・クライン」なのですか?

――本拠はニューヨークです――

                

Calvin_klein_ad_in_manhattan

             

ニューヨークで物議を醸したCalvin Kleinの広告

版権: <a href='https://jp.123rf.com/profile_zhukovsky'>zhukovsky / 123RF 写真素材</a>

 

外国の固有名詞の片仮名表記で一番長くモヤモヤが続いていたのは、「カルバン・クライン」です。元々は「Calvin Klein」なのですが、何故「カルバン」?

 

ウイキペディアでも「カルバン・クライン」ですし、ネットで検索してもほとんど全て「カルバン・クライン」で統一されています。

 

御丁寧にYahoo!知恵袋での質問には、次のような回答もありました。「カルバン・クライン」と「ミッシェル・クラン」とどちらも「Klein」なのに、なぜ表記が違うのか、に対する「ベストアンサー」は、「カルバン・クライン」は英語読み、「ミッシェル・クラン」はフランス語読みだからというものなのです。「カルバン」は英語読み?という疑問符が付きます。

 

疑問を解くために、「Calvin Klein」の日本語公式サイトで確かめてみました。それが一番手っ取り早いはずですので、見てみると  Calvin Klein Japan – Official Online Storeは次のような感じです。つまり、目次を除いて日本語表記はありません。

 

Calvin_klein_official_online_shop

 

このサイトでも、本拠はアメリカであることが分りますし、ウイキペディアでも「Calvin Klein」の本拠はアメリカで、Calvin Klein氏本人もアメリカ人であると書かれています。となると、読み方はアメリカ英語の発音に従うのが自然でしょう。

 

では、アメリカ英語で「Calvin」をどう読むのかですが、このファースト・ネームを持つもう一人の有名人がいます。アメリカの第30代大統領の「Calvin Coolidge」です。その読み方ですが、「カルヴィン」または「カルビン」が普通です。今まで、クーリッジ大統領関連の片仮名表記で、「カルバン」は見たことがありません。

 

もうこれで十分だと思いますが、「Calvin Klein」は「カルビン・クライン」が元の発音に近く、「カルバン・クライン」は、それよりかなり離れています。耳でも確かめて下さい。困ったときのYouTubeのお出ましです。



 

 

まだ、納得が行かない方のために、「多数決原理」を採用してみます。複数のスピーカーが、どう発音しているのかを録音しているサイトがあります。矢印を次々に押してみて下さい。御自分の発音を残すこともできます。

 

 

最後に発音とは関係がないのですが、ちょっと目を引く「トリヴィア」です。「Calvin Klein」社のホームページで「About Calvin Klein」の説明を読んで初めて知ったことなのですが、「Calvin Klein」のブランドは「PVH Corporation」が所有し、世界中に製品を販売しているそうです。自社ブランドの他にライセンスされたブランドとして多くの名前で製品を供給しているのですが、その一つに「Donald J. Trump Signature Collection」、つまり、「ドナルド・J・トランプ コレクション」があるのです。

 

「カルバン」と「カルビン」の違いが大きいと感じるのは私だけかもしれませんし、「コスコ」と「コストコ」のような経緯があるのかも知れません。何か御存じの方がいらっしゃれば御教示下さい。

 

さて三回にわたって、英語の固有名詞を片仮名でどう表記するのかについてお読み頂き有難う御座いました。このシリーズは、続けて行きたいと思います。

 

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コメント

企業名やブランドの場合、イメージ=印象ということも大きな要素です。例えばメルセデス・ベンツの場合、欧米では「メルセデス」、日本や韓国では「ベンツ」とだけ呼ぶことが一般的で、それはベンツという名前が如何にもドイツを連想させるため、かつての欧米では印象(ドイツ=ナチス)が悪く、日本や韓国では印象(ドイツ=技術や医療の最先端)が良い、という理由ということでした。(最近は日本でもなるべくメルセデスに統一しようとしています)

Calvin Kleinは確かにアメリカの企業であり、創業者のCalvin Kleinもアメリカ生まれのアメリカ人ですが、日本のファッション業界ではアメリカよりフランスの方がイメージが良い、という意図もあって、敢えてフランス読みにしているのかも知れません。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

デザインではフランスの方が格が上、という理由は十分にあり得ますね。あるいは、フランス語を齧ったことのあるワンマン社長の思い込みとか、発音の難しさ易しさに配慮したとか、可能性としてはあり得るのですが、確証がないものでしょうか。

こういう場合、当事者に聞くのが一番確かだろうと、直接、と言ってもアメリカ人に聞いても仕方ないと思い、日本サイドで聞いてみました。

日本でCalvin Kleinを製造・販売しているのはオンワード樫山ですが、ブランドを管理しているのはPVHジャパンなので、そちらのカルバン・クライン担当からの回答です。

回答は「本人の発音も、アメリカで使われている発音も、カルビンよりカルバンに近かったので、当初からカルバンという表記にしており、それ以上の意図はない」ということでした。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。またPVHジャパンに問い合わせて下さり、有難う御座います。

YouTubeにアップされている発音から、片仮名表記だとどちらに近いのかは明らかだと思いますが、発声の段階を客観的に測ることはできても、それが耳でどう聞こえるのかの客観的なデータを取るのはかなり難しそうですので、そう言われてしまうとそれでお終いですね。

でも、片仮名表記に関わらず、英語の発音を正確に再現する努力はし続けても良いのかもしれません。

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企業名やブランドの場合、イメージ=印象ということも大きな要素です。例えばメルセデス・ベンツの場合、欧米では「メルセデス」、日本や韓国では「ベンツ」とだけ呼ぶことが一般的で、それはベンツという名前が如何にもドイツを連想させるため、かつての欧米では印象(ドイツ=ナチス)が悪く、日本や韓国では印象(ドイツ=技術や医療の最先端)が良い、という理由ということでした。(最近は日本でもなるべくメルセデスに統一しようとしています)

Calvin Kleinは確かにアメリカの企業であり、創業者のCalvin Kleinもアメリカ生まれのアメリカ人ですが、日本のファッション業界ではアメリカよりフランスの方がイメージが良い、という意図もあって、敢えてフランス読みにしているのかも知れません。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。

デザインではフランスの方が格が上、という理由は十分にあり得ますね。あるいは、フランス語を齧ったことのあるワンマン社長の思い込みとか、発音の難しさ易しさに配慮したとか、可能性としてはあり得るのですが、確証がないものでしょうか。

こういう場合、当事者に聞くのが一番確かだろうと、直接、と言ってもアメリカ人に聞いても仕方ないと思い、日本サイドで聞いてみました。

日本でCalvin Kleinを製造・販売しているのはオンワード樫山ですが、ブランドを管理しているのはPVHジャパンなので、そちらのカルバン・クライン担当からの回答です。

回答は「本人の発音も、アメリカで使われている発音も、カルビンよりカルバンに近かったので、当初からカルバンという表記にしており、それ以上の意図はない」ということでした。

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。またPVHジャパンに問い合わせて下さり、有難う御座います。

YouTubeにアップされている発音から、片仮名表記だとどちらに近いのかは明らかだと思いますが、発声の段階を客観的に測ることはできても、それが耳でどう聞こえるのかの客観的なデータを取るのはかなり難しそうですので、そう言われてしまうとそれでお終いですね。

でも、片仮名表記に関わらず、英語の発音を正確に再現する努力はし続けても良いのかもしれません。

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