法政大学山口ゼミ(3) ――指導教官・山口二郎教授のコメント――
法政大学山口ゼミ(3)
――指導教官・山口二郎教授のコメント――
法政大学山口ゼミの広島合宿について報告してきましたが、やはり最後を飾るのは、指導教官・山口二郎教授の言葉です。
私も「理念」を重んじて現実を変えるという立場で頑張ってきた。しかし、最近、特に昨日は核実験があったばかりですが、現実主義からのアプローチが脚光を浴びている。とは言え、冷戦時代には大国の指導者たちはそれなりの枠組みの中での「合理的」判断をしてきたと言えるのではないか。
しかし、北朝鮮の言動、さらには非国家主体が核兵器を持つ可能性なども視野に入れなくてはならない時代になっている。それを受けて、力によるコントロール、威嚇等が必要だと論じる人たちも増えている。こういう東アジアの現実に対して、あなたはどう感じているのか。
山口教授と二人で
それに対しての私のコメントです。
核兵器を使わせない、戦争を始めさせない、ということを最優先課題にすると、話し合いしか選択肢はないのですが、実はもっと前からその努力をして来なくてはならなかったのです。そうしなかった付けが今の状況なのですが、例えば、一つの可能性として、トランプ大統領が金委員長と会って話し合いをするのが一番効果的なのではないかと今でも信じています。その具体的な話し合いの内容として、トランプ大統領の就任直前に「北東アジア非核地帯条約」を推進すべきだという手紙を送りました。
その内容は、二回にわたってこのブログにアップしましたのでそちらをお読み下さい。アメリカの有力紙も手紙の一部を取り上げてくれました。それからかなり時間が経っていますが、このアプローチは、トランプ大統領、あるいは安倍総理がその気になれば今でも実現可能です。勿論そのためには、世界の世論を味方に付けなくてなりません。話し合いの目的は当然、核兵器を使わない・使わせない、そして戦争はしないことですし、そのための話し合いであることを前面に掲げればそれは可能です。さらに、核の独占体制を強化することではなく核廃絶が視野に入ってないと説得力は大幅に減じます。話し合いでの問題解決を提唱し実行すること、初めてトランプ大統領も安倍首相も歴史に名を残すことができるのではないでしょうか。
最後に山口教授の素晴らしいまとめがありました。
まず、「核兵器は使えない」という現実を日本が伝えることを出発点にすべきだ。日本がそう言うことにこそ一番説得力がある。北朝鮮問題の解決には、軍事的オプションはあり得ない。それはハッキリしている。このところ、「軍事的オプション」という言葉を使う人も出てきたが、それはあくまでも強がりと見るべきだ。
「使えない」ことを確認した上で、使えないのなら核兵器の保有には意味がなくなるのだから、なくして行きましょうという流れにならざるを得ない。北を核保有国として認めたら、という意見も出てきているが、そうなると、韓国も核武装したいと言うだろうし、となると日本も、という結果になる。しかし、「東アジアの非核化」という旗を、日本は降ろしてはいけない。
独裁者に言葉で立ち向かったって無力だと現実主義者たちは言うけれど、力で向っても無力だ。制裁を強化するという手段では今まで全く効果は挙がっていない。それなら、交渉によってまず緊張のレベルを下げるという方向が賢明な選択肢だ。
「田舎の学問より京の昼寝」と言われますが、山口教授そしてゼミ生の皆さんから大きな刺激を頂きました。最後に山口教授はカープの大ファンです。合宿の後、マツダ・スタジゥムで対阪神線の応援をして帰京されました。カープの勝利にまで貢献して下さり、再度、お礼を申し上げます。
[お願い]
文章の下にある《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。
« 法政大学山口ゼミ合宿(2) ――広島の魅力も味わって帰ってくれたことと思います―― | トップページ | フォトジャーナリスト・豊崎博光さん ――凄い人シリーズの続きです―― »
「ニュース」カテゴリの記事
- 「記憶が不確かだから記録を残す」の意味を葬り去った自民党政治 ――それでも過去の記録を忠実に残す努力をし続けよう―― (2023.03.11)
- 『はだしのゲン』の何が問題なのか ――本当は松江市の先例と同じ理由?―― (2023.02.22)
- 『日刊ゲンダイ』をラジオで聞こう ――RCCラジオの土曜日「松ちゃん・大ちゃんのふくふくサタデー」です―― (2023.02.20)
- 日本が壊れて行く? (x) ――192ページの教科書に1200もの誤り、そして車中閉じ込め事故の新たな事実判明―― (2023.02.19)
- またまた人命軽視? ――3年以上も前に気球が日本の空を飛んでいました―― (2023.02.16)
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 新しい顔のビデオです ――ぜひ拡散して下さい―― (2023.03.26)
- 陸軍大将 山下奉文の遺書 ――現在の政治批判としても通用します―― (2023.03.25)
- なぜ「都市」なのか ――必要条件と十分条件、両方あります―― (2023.03.24)
- 「原爆にさわる」 ――映像ジャーナリスト熊谷博子さんの言葉―― (2023.03.23)
- 英文毎日 (The Mainichi) への投稿がアップされます ――「核の先制不使用」実現のため、海外に拡散して下さい―― (2023.03.22)
「平和」カテゴリの記事
- 新しい顔のビデオです ――ぜひ拡散して下さい―― (2023.03.26)
- 陸軍大将 山下奉文の遺書 ――現在の政治批判としても通用します―― (2023.03.25)
- なぜ「都市」なのか ――必要条件と十分条件、両方あります―― (2023.03.24)
- 「原爆にさわる」 ――映像ジャーナリスト熊谷博子さんの言葉―― (2023.03.23)
- 英文毎日 (The Mainichi) への投稿がアップされます ――「核の先制不使用」実現のため、海外に拡散して下さい―― (2023.03.22)
「歴史」カテゴリの記事
- 陸軍大将 山下奉文の遺書 ――現在の政治批判としても通用します―― (2023.03.25)
- なぜ「都市」なのか ――必要条件と十分条件、両方あります―― (2023.03.24)
- 歴史は生きている ――杉並区のイベントで人生を振り返ることになりました―― (2023.03.21)
- 杉並区の岸本聡子区長にお会いしてきました ――69年前も今も杉並から新たな動きが始まっています―― (2023.03.20)
- 「記憶が不確かだから記録を残す」の意味を葬り去った自民党政治 ――それでも過去の記録を忠実に残す努力をし続けよう―― (2023.03.11)
「教育」カテゴリの記事
- 陸軍大将 山下奉文の遺書 ――現在の政治批判としても通用します―― (2023.03.25)
- 成田発言のおぞましさ検証 ――立ち止まって考え始めたら、怒りで震えが止まらなくなりました―― (2023.02.24)
- 集団自決や集団切腹のリアルな記憶を大切に ――成田悠輔氏の持論への違和感―― (2023.02.23)
- 『はだしのゲン』の何が問題なのか ――本当は松江市の先例と同じ理由?―― (2023.02.22)
- フルブライト・プログラムへの寄付(2022.10.15)
「若者」カテゴリの記事
- 杉並区の岸本聡子区長にお会いしてきました ――69年前も今も杉並から新たな動きが始まっています―― (2023.03.20)
- アハマディア・ムスリム平和賞を頂きました ――共同通信の植田支局長の記事をお読み下さい―― (2023.03.05)
- 成田発言のおぞましさ検証 ――立ち止まって考え始めたら、怒りで震えが止まらなくなりました―― (2023.02.24)
- 集団自決や集団切腹のリアルな記憶を大切に ――成田悠輔氏の持論への違和感―― (2023.02.23)
- 『はだしのゲン』の何が問題なのか ――本当は松江市の先例と同じ理由?―― (2023.02.22)
« 法政大学山口ゼミ合宿(2) ――広島の魅力も味わって帰ってくれたことと思います―― | トップページ | フォトジャーナリスト・豊崎博光さん ――凄い人シリーズの続きです―― »
コメント