『広島のおばあちゃん』をタヒチに贈ります ――東芝国際交流財団から助成金を貰うことができました――
『広島のおばあちゃん』をタヒチに贈ります
――東芝国際交流財団から助成金を貰うことができました――
昨年7月に、タヒチを訪れました。フランスが南太平洋で核実験を始めてから50年経ち、実験で被害を受けた多くの人たちの存在さえ未だ十分に認められていない現実があり、またその結果として補償どころか十分な医療さえ受けられない窮状を前にしての50周年です。しかし、こんな状態を放置してはいけないと被害者の皆さんは立ち上がりました。
原水禁そしてヒロシマは長い間、このような核被害者の皆さんに寄り添い、出来るだけの支援をしてきましたが、昨年はその絆をさらに強めるという目的で訪問団が派遣されました。その報告は、7月19日から7月30日までの間に数回にわたってお届けしました。
その中でも言及しましたが、タヒチの人々を支援するための一つの可能性として、広島では容易に手に入る基礎的な情報をタヒチに届けて共有することが役立つのではないかと思いました。報告からその部分を抜粋します。
広島・長崎の原爆についての基礎的な事実をタヒチの人たちに伝えることで、運動も次の段階にステップアップできるのではないかということです。例えば鎌田七男先生の書かれた『広島のおばあちゃん』そしてその英訳『One Day in Hiroshima』のような、被爆の実相についての医学的な解説を中心にした分り易い入門書をフランス語にも訳し、それをさらにタヒチ語に訳すことも、被曝者・被爆者の連帯から新たなエネルギーを創り出す上での有効なプロジェクトになるのではないかと思います。
実はこのアイデアをその後、実行に移しています。それはまず、日本語版と英語版を元にフランス語への翻訳を行い、それを出版して貰う。そのフランス語版を買い取り、被害者の救済に力を入れているタヒチの反核市民団体「モルロアと私たち」に贈り、被害者や支援者に配布して貰って運動強化の一助にする、というものです。
具体化するためにはお金も必要です。どうすれば良いのかを考えているときに、公益財団法人東芝国際交流財団が助成金を出してくれる可能性のあることを知り、応募することにしました。それまでに相談に乗って貰っていたいくつかの団体があったのですが、私が顧問を務めるNPO法人「文化の多様性を支える技術ネットワーク」(理事長は山崎芳男早稲田大学名誉教授)も賛同してくることになり、同法人のプロジェクトとして採用してくれました。そして東芝国際交流財団への助成金申請も行ってくれました。
報告が遅くなってしまったのですが、東芝国際交流財団からは、今年3月に「助成金を供与する」という通知を頂きました。
知らせを受けて、現在はフランス語への翻訳作業が進行中です。それが完成すると、原著者の鎌田七男先生の主宰する「シフトプロジェクト」がフランス語版を出版してくれることになっています。2000部を購入した後、「モルロアと私たち」に送るのですが、全て上手く進行すると、今年中にはタヒチに『広島のおばあちゃん』のフランス語版を届けられそうです。
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