被爆72周年原水爆禁止世界大会 国際会議・広島大会始まる
被爆72周年原水爆禁止世界大会 国際会議・広島大会始まる
被爆72周年原水爆禁止世界大会 国際会議・広島大会会場
8月4日の夕方から、被爆72周年原水爆禁止世界大会 国際会議・広島大会が始まりました。最初に川野浩一大会実行委員長から、格調の高いそして元気の出る挨拶がありました。
6歳の時に宇品で被爆した白石多美子さんは、被爆前の宇品での生活から始まって、母とともに祖母を探した重い数日と、その後の闘病生活、被爆者として受けた差別、そして今も残る心の傷について、淡々としかしながら原爆・核兵器が人間としての尊厳そのものを破壊してきたことを話して下さいました。
最後に、人間だけではなく、生きとし生けるものすべての生命の尊さを強調しつつ、感謝したい相手として白石さんは、「母」、自分の心の丈を打ち明けることのできた雄の鶏・コータ、そして結婚前には被爆者であることを伝えられなかった自分を包容してくれた御「主人」を挙げられました。
核兵器禁止条約が現実になった今、一人でも多くの被爆者とともに、核廃絶の日を迎えられるよう、会場の2800人が決意を新たにした瞬間でした。
広島県から選ばれた3人の第20代高校生平和大使、久永風音(かざね)さん、船井木奈美(こなみ)さん、小林美晴さんも、若い世代の代表として被爆者の思いをしっかり世界に伝えて行く覚悟を語ってくれました。福島からの報告は福島県平和フォーラム代表の角田政志さん。福島に来ることで「フクシマの現実」を理解し、それを元に未来のための行動を始めようと力強いアピールがありました。「核と人類は共存できない」ことの意味を会場全員が共有できた報告です。
大会の事務局長である藤本泰成さんの基調提案で今回の大会の骨格が示されました。世界の多数を占める国々や市民の力によって、国連で核兵器禁止条約が採択された半面、核保有国や核依存国の頑なさは度を増し、また国内の政治も言葉を失うほど劣化し腐敗している現状に対する特効薬は、やはり憲法であり、被爆者・被曝者の人権が侵害されている状況を変えるためにも、私たち市民の力と憲法の力を最大限に生かして行こうという、希望にあふれるメッセージでした。
昨年に続いて残念だったのは、広島市長も県知事も顔を見せなかったことです。
核兵器禁止条約が締結された今年の原水禁世界大会では、劣悪な政治を変えるためにも原点に戻って、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という被爆者の言葉を反芻し、その具現化である憲法を為政者に遵守させる行動を通して、核なき平和な世界実現のための世論がさらに大きくなるよう、大会全参加者とともに頑張りたいと思います。
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