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2017年4月 7日 (金)

かき船問題を考える―その2 水の都ひろしま推進協議会での承認には瑕疵がある

かき船問題を考える―その2

 

水の都ひろしま推進協議会での承認には瑕疵がある

 

今日は、4月4日の「なぜ延長された『かき船かなわ』の占用使用?」で触れました「水の都ひろしま推進協議会」で、何がどう審議されたかを考察してみたいと思います。

 

Photo_6                かき船が撤去された元安川・平和大橋下流 

 

「かき船かわな」の占用使用には、あらかじめその場所を「都市・地域再生等利用区域」に指定しておく必要があります。その前段の手続きとして3月9日に開催されたのが「第37回水の都ひろしま推進協議会」です。この協議会は、有識者3名、市民団体等3名、経済・観光等3名、行政4名(国2名、県1名、市1名)の13名で構成されています。ここでちょっと注意していただきたいのは、行政側から4名参加していることです。当日の会議の経過は、水の都ひろしま推進協議会のホームページに掲載されている「議事録」から知ることができます。

 

当日の審議事項は、「河川敷地占用許可準則に基づく都市・地域再生等利用区域の指定などの継続及び都市・地域再生など占用方針の一部変更について」となっており、会議では、事務局(広島市)から「これまでの経過」などとともに「事業者の取り組みについて」など5項目が、提案・報告されています。

 

ここで第一の疑問がわいてきます。「事業者の取り組みについて」は報告されていますが、前回「かき船かなわ」の問題が協議された第29回の協議会以降に起こった「日本イコモスの懸念表明、広島弁護士会会長談話、大手町2丁目町内会の反対決議、パークハウス紙屋町管理組合の申し入れ、日本被団協・広島県の両被団協からの申し入れ、かき船問題を考える会の再三にわたる抗議と申し入れ」などの反対の声(いずれも広島市の説明を受けて以降出されている)は、全く報告されていません。パークハウス紙屋町マンションへの住民説明は、やっと昨年12月に実施されるという状況です。

 

Photo_7             手前の黒いボックスがガスボンベ庫 左奥の緑の屋根がマンションの玄関

 

もちろん工事中に何度もトラブルが発生したことも、6万筆を超える「反対署名」が広島市に届けられたことも、裁判で係争中のこともです。なぜ広島市は、こうした重要な経過を説明しなかったのでしょうか。これで、きちんと審議を尽くしたとはいえないはずです。まさに「継続ありき」の結論を導き出すための協議会であったとしか考えられません。「協議会の承認に瑕疵がある」と言われるのは当然のことです。市民団体等から選ばれた委員の一人は、後に問われて「裁判で係争中であることなど全く知らなかった」といっておられるのです。

 

 

第二の問題は、地域住民の声が、無視されていることです。議事録によれば、委員からの「周辺住民のトラブルはなかったのか」の質問に対し、事務局(広島市観光ビズネス課)はこう答えています。「一部住民から苦情があった。中味は搬入業者が不法駐車しているとかゴミの処理がきちんと行われていないといったことである。」としさらに「市の環境局にも確認したが、そのようなゴミに関する苦情はなく、事業者もきちんと処理している」と。二つの疑念が浮かんできます。その一つは、マンション管理組合からの苦情でも「一部住民」として切り捨てようとする広島市の姿勢です。さらにこの答弁では、「ゴミ」問題については触れられていますが、「不法駐車」問題については、全く触れていません。それはそのはずです。パークハウス紙屋町管理組合への文書回答では、「不法駐車は警察に言ってくれ」という無責任な回答を出しているのですから。不法駐車問題は、今も続いています。下の写真が昨日写した現実の状況です。

 

Photo_8                 路肩に違法駐車をし、車道を横断する納入業者

 

第三は、事業者の取り組みとして報告された「原爆瓦を店内に展示することは、かき船設置作業中に出てこなかったため実施できませんでした」ということです。このことは、なぜか議事録には記載されていません。事業者も「よく言ったものだ」と思いますが、広島市も、こんなことを臆面もなく協議会で報告したものだと思います。原爆瓦は「出てこなかった」のではなく、「見つけ出せるような作業をしなかった」というべきです。作業当時、当初私たちに、広島市が説明したような「手作業」によるのではなく、ショベルカーによって川底をさらうという作業を行ったのですから、原爆瓦を見つけることなどできるはずがありません。そのことは、当日現場に駆け付けた広島市の担当者、太田川河川事務所の担当者も私たちともに確認したことです。その一人は、委員としてこの協議会にも参加しています。

 第四は、生け垣を壊して通行した納入業者の行為です。下の写真で何か所か見ることのできる竹垣は、それを防ぐために広島市の予算を使って設置されたものです。広島市は、「通行人も通るから必ずしも納入業者だけではない」といいます。もちろんそのことをすべて否定するつもりはありません。しかしはっきりしていることは、この場所に「かき船」が設置される以前にはなかったということです。

 

Photo_9                 こうした竹垣が、他にも数か所設置された

こうした問題点が、正しく報告されないままの「水の都ひろしま推進協議会」の結論に「瑕疵がある」と考えるは当然のことです。

ところでこのブログに掲載する写真を撮るため元安川河岸を歩いている時、偶然にも太田川河川事務所の占用調整課長と出会いました。先日、抗議と公開質問状を出すため太田川河川事務所で話し合った最後に、「ぜひ一緒に現地を見に行きましょう」と要望したのが、4月1日の人事異動で着任されたばかりの占用調整課長でした。今回の現地訪問が、問題解決に向けて良い方向に進む契機となることを願わずにはおれません。同行しての現地訪問とはなりませんでしたが、間をおかずに現地を訪れた行動には、一定の評価をしたいと思います。

次回は、世界遺産原爆ドームの景観問題を考えてみたいと思います。

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