凄い人にお会いしてきました ――ヒロシマに住んでいることの「役得」です――
――ヒロシマに住んでいることの「役得」です――
人間社会で面白いのは、何事も「絶対的」ではないことなのかもしれません。例えば、広島に住むという選択をしても、それが常に「絶対的」に正しいと思える訳ではなく、「田舎の勉強より京の昼寝」といった感慨を催す日もありますし、前にも報告したように友人たち、そして今日のように時空がつなぎ合わせてくれた凄い人にお会いできるのも、広島に住んでいるからこそだと確認できホットする日もあります。
その「凄い人」をTさんと呼びますが、私の小学校の同級生の10歳年上のお姉さんです。
真ん中がTさん
しかし、知力体力とも私が負けそうなくらい充実しています。それを裏付けるエピソードを話して頂きましたが、Tさんは戦後間もなく、千葉高女に進むのですが、そこで当時はまだ珍しかったテニスを始め、県大会で5回優勝し、国体にも5回出場、最後の年には三重県代表成川・島田組に負けて準優勝という「凄い」経歴の持ち主です。
これが凄いのではなく、Tさんがテニスをしてきたことを先ず紹介しないと話が通じませんので、「前振り」なのですが、最近、知り合ったのが近所のお宅に「お嫁に来た」女性Aさんなのだそうです。毎日テニスのラケットを抱えて家の前を通るので「あなたもテニスをなさるの」と声を掛けて、しばらくして「一度一緒にテニスをしましょうか」と話せるくらい仲良くなったのだそうです。
近くのテニスクラブに行くと、一時間5000円でコートが借りられることが分り、「時間がもったいないから休みなしで打ちましょう」という合理的精神で、50分みっちり楽しんだそうなのです。そして次の日、若いAさんから電話があり、「Tさん、腕と足が痛くありません?」とのこと。「私は何ともありませんよ」と答えたのに対してAさんは「私は腕と足が痛くて痛くて」だったのだそうです。
駅までお迎えに行ったのですが、ちょっと重そうな鞄をお持ちだったので、「持ちましょうか」と手を出したのですが、「大丈夫。自分で持てますから」と全く苦にならない様子でした。
本論に入るのに時間が掛っていますが、84歳で頭脳明晰、弁舌爽やか、人のお世話をするのが大好きで、口だけではなく有言実行を絵に描いたような人でした。今の政治状況を何とかするためには、彼女に国会で活躍して貰いたいと思ったくらいです。
中間を飛ばしても、一回に収まるかどうか分りませんが、文学を志すお兄さんに影響を受け佐多稲子さんの薫陶も受けたのですが、縁あって結婚、大阪に移ることになったのですが、そこで分譲をしていた千里ニュータウンに住むことになりました。
それからすぐ、それまで「グリーンベルト」という触れ込みで知らされていた場所にゴミ焼却場が建設されるという計画に変更されていて、もう工事が始まっていたことを知りました。そしてTさんはすぐ反対運動を始めます。1964年から1968年の間、つまり32歳から36歳までの間です。
今私たちが「市民運動」という言葉から連想する全てのことを実行し、政治家にも官僚にもマスコミにも働きかけ、万博のゴミを償却するための焼却場を、住んでいる人が近くにはいない万博開催地の隣に移させることに成功したのです。
行政が一度決定したことを変えさせるのは、今でも大変ですが、50年も前の日本でそんなに凄いことを市民の手で実現していたとは!!
それだけではありません。この闘争を担ったのは主婦たちだったのですが、法律や制度についてもしっかり勉強し、また行政や政治家マスコミ等との付き合いもしてきた人たちがそのまま「主婦」だけに戻ってしまうのはもったいないと考えて、この闘争に関わった人たちに呼び掛け、結局70名が参加する勉強会を組織したのです。会の名も、「踏まれても踏まれてもくじけない雑草」をイメージして「雑草グループ」と名付けたそうです。
毎月、第3金曜日の午後1時から4時まで集まり勉強をして、23年間活動を続け、今でも年二回集って近況報告をする会として存続しているそうです。その際に、現在の社会を見る価値観は変っていないことに勇気付けられていると、Tさんは言っていました。
最初に想定した通り、一回では終りませんでした。続きをお楽しみに。
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