核兵器禁止条約交渉開始 ――参加しない日本政府は国際社会で被爆者を「抹殺」しているのです――
――参加しない日本政府は国際社会で被爆者を「抹殺」しているのです――
現地時間3月27日に、国連で核兵器禁止条約締結のための交渉が始まりました。日本は、高見沢軍縮大使が「この交渉には参加しない」という演説をしただけで、今後の交渉には参加しないことを表明しました。
核兵器禁止条約交渉一日目
昨年10月に交渉開始の決定をした国連の第一委員会でも日本は反対をしましたが、その時以来主張は一貫しています。今回の言葉は、「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」そして「現状では交渉会議に建設的かつ誠実に参加することは困難だ」。
こうした言葉が如何に空虚で出鱈目か、さらには知性も良識もかなぐり捨てアメリカの意向を忖度し、日本も核兵器を持ちたいという妄想に操られている結果だということは何度も指摘していますが、このブログの昨年10月30日の「核兵器禁止条約締結への大きな一歩!」、11月2日の「外務省の詭弁に市民はどう対抗できるのか」、そして同3日の「「亀裂を深めている」だけでなく「作り出している」日本政府・外務省」を再度お読み頂ければ幸いです。
こうした日本政府の「情けなさ」、「傍若無人」振り、「破廉恥」さ、等々、どう私たちの気持を表現すれば胸が晴れるのか思いあぐねている方には、ジョージ・オーウエルの『1984年』をお勧めしましたが、今回は「我慢するのももう限界だ」という皆さんとともに行動しようという決意表明ができればと思います。
私が「限界」を感じている理由をもう一つ挙げておきましょう。「国家」とは国際社会で、その国に属する人間の生命・財産や意向を代表し代弁する義務を負っていると考えられます。集団自衛権を認め自衛隊の海外派兵も容認しろと政府が言った時には、海外に住む日本人の生命を保護するためだという理由を上げたのですから、この点は政府も認めなくてならないはずです。
さて、核兵器廃絶の議論を国際的に行う際、当然被爆者の体験やそれに基づいた被爆者の意向を国際社会に伝え、その意向が実現されるため他の国家に働きかける役割は、どこかの国家が行わなくてはなりません。それはどこの国なのでしょうか。
国際社会では日本政府が「唯一の被爆国」だと言い続けているのですから、当然、日本でなくてはなりません。その日本政府は、核兵器を禁止しようとする国々が苦労の末に、「交渉開始」まで漕ぎ着けた核兵器禁止条約締結のための会議に参加しないと、「堂々と」述べています。
これは被爆者に対する「裏切り」だと表現されていますが、それだけではありません。日本という国家が被爆者の存在を重んじ彼ら彼女らの意思を国際社会で「自国民」の言葉として代弁することを拒否しているという事実は、世界中の200近い国家の中で、被爆者の生命や体験、そして哲学を、国連を含めた国際社会で代表する国、代弁する国が一国もないということに他なりません。
単純化すれば、被爆者の存在を無視している日本という国家は、事実上被爆者がいないも同然の扱いをしているのですから、それは、国際社会という枠組の中で被爆者を抹殺したことになります。そんな国家に対して手を束ねていても良いのでしょうか。
日本が始めた戦争という枠組みの中でアメリカの投下した原爆によって殺され、あるいは負傷し地獄の苦しみを受けてきた被爆者たちが、核兵器の廃絶が現実的な課題として国際社会で取り上げられている今、今度は自国という国家によって「存在しない」も同然という、過酷な運命を背負わされていることに、今こそ私たちは真っ正面から向き合うべきなのではないでしょうか。
どはどうすれば良いのかですが、次回は私たちも覚悟を新たにして、安倍総理大臣、岸田外務大臣、国会議員、広島県知事、広島市長等に働き掛けるときが来たことを確認したいと思います。
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