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2017年1月11日 (水)

被爆二世の問題提起      被爆者の遺産をどう継承するのか


被爆二世の問題提起

被爆者の遺産をどう継承するのか

 

 

数学の授業や講演だと決められた時間内に収めることは無理なくできるのですが、核廃絶や平和というテーマになると、喋りたいことが多くあって大体、時間超過になってしまいます。それでも準備した内容の半分くらいしかカバーできないのが普通になっていました。しかし、それも一種の甘えですので、このところかなりの努力をして時間内に収まるように話の内容を組み立ててきました。

 

その結果、兵庫教育大学大学院の公開授業では、ピッタリ時間内に終えることができました。主催者は勿論、聞きに来て下さっている皆さんに迷惑を掛けないということが最大のメリットだと思いますが、それに加えてもう一つ「良かった」と思えたのは、質疑の時間が増えたことです。自分で喋るだけでなく、一つのテーマを共有した人たちの思いや疑問等をその場で聞けることが如何に大切なのかを改めて感じる一時にもなりました。

 

特に今回しっかり受け止めたいと思ったのはお二人の被爆二世の問題提起でした。私流に解釈すると、被爆者として自分の体験を世界各地で多くの人に話し、被爆体験を元にして得られた平和のメッセージを伝え、核兵器のない平和な世界を創造するために懸命な努力をされた母上や父上の遺産をどう継承して行ったら良いのかが中心テーマです。

 

この「遺産」には二つの意味があります。一つは、物理的な存在としての遺産、つまり「遺品」です。貴重な記録や録音テープ、手紙その他の資料等をどう整理しどう生かして行くのかが問われています。もう一つは、抽象的な意味での遺産です。核廃絶のために大きな貢献してきた被爆者の子どもとして、どのような形でこれから関わって行けば良いのか、という遺産の継承が問題になります。

 

どちらも重要な問題提起なのですが、すぐに答の出ない難しさがあります。「遺品」については別稿で考えたいと思いますが、少し一般化して考えると、被爆体験のない私たちが、被爆者の遺産をどう継承して行けば良いのかがテーマになります。念のため断っておきますが、「遺産」とは、亡くなった方が残してくれたものだけではなく、現在活躍されている方々がこれまでに生み育ててきた成果も意味します。

 

数学の問題を解こうとするときの常套手段の一つは、ある次元での問題が難しい時には、その問題を別次元での問題として解釈し直して考えることです。

 

「二世」についての問題提起を例えば「三世」ではどうなるのかを考えて見ることなのですが、それが答えになるかどうかは別としてすぐ頭に浮かぶ三人の「三世」がいます。トルーマン大統領の孫であるクリフトン・ダニエル氏、核分裂を発見したオットー・ハーン博士の孫、ディートリッヒ・ハーン氏、そして『ヒロシマ』の著者ジョン・ハーシー氏の孫のキャノン・ハーシー氏です。

 

前置きが長くなる癖はなかなか治りませんが、この三人とも核兵器の廃絶をメイン・テーマにして素晴らしい平和活動を続けています。具体的な内容はまたの機会に御紹介しますが、なぜ「孫」がこれほど大きな役割を果せるのでしょうか。

 

この点についても詳しく考える必要がありますが、結論だけ、今回簡単にまとめておくと、それはお祖父さんとの距離があるからなのではないでしょうか。「二世」には難しかったのかもしれない「客観化」が孫にはできたという可能性です。同時に、人類の大問題に関わった祖父の「遺産」を同じテーマで、しかし自分自身の独自なスタンスから関わることで遺産を継承していると見ることはできないでしょうか。

 

最後に一言お断りしておきたいのですが、「被爆二世」と一口に言っても多くの被爆二世がいます。何らかの意味で親と同じ道を歩んでいるケースも多くありますし、親の仕事には関心のない子どももいるかもしれません。すべての被爆二世の皆さんを一括りにしている積りはないのですが、兵庫教育大学での問題提起を真剣に考えている過程ですので、失礼な部分や修正すべき点等あれば御指摘、御教示頂ければ幸いです。

                

Photo_6

トルーマン大統領

 


000

オットー・ハーン博士


 

Photo_5

ジョン・ハーシー氏


[写真の大きさが統一されていないのは、ココログを使う上手の私の知識が不十分なせいで、他意はありません。]


  

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