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2017年1月19日 (木)

トランプ新大統領への手紙 --北東アジア非核兵器地帯――


トランプ新大統領への手紙

--北東アジア非核兵器地帯――

 

大統領選挙でトランプ氏が勝った後、アメリカでは「ヘイト・スピーチ」や「ヘイト・クライム」が劇的に増えているようです。憂うべき状況ですが、それに反対する人たちの行動にも勇気付けられます。特に、18日に、ゴールデン・グローブ賞受賞演説の中での女優メリル・ストリープさんの批判は正鵠を射ています。「侮辱は侮辱を呼び、暴力は暴力を生む」という言葉はマルティン・ルーサー・キング牧師の演説を彷彿とさせてくれました。

トランプ氏の言葉や主張、そして公表された閣僚候補や政策に抗議する動きも大きくなっていますし、差別や攻撃の対象になっているイスラム教徒や少数派の人たちと連帯するために、胸に安全ピンを付ける「安全ピン運動」も広がっています。

さて、アメリカから遠い日本に住む私たちに何ができるのかを考えて見たのですが、トランプ氏発言の全てが一貫したものではなく相矛盾する事柄も多いことに注目しました。彼の発言のいくつかを組み合わせると、私たちが推進し実現したいと思って行動してきたことそのものになる場合もあるのです。その一つをトランプ氏への手紙としてまとめてみました。

              

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既に118日の毎日新聞東京版の夕刊ならびに、The Mainichが取り上げてくれていますが、日本語訳の全文をお読み頂くことにも意味がありますので、ここで御披露します。この手紙がトランプ氏の目に留まる可能性は少ないかも知れないのですが、世界を平和にするために、また暴力が社会の指導原理になることを防止するために、少しでも可能性のあることを最後まで諦めずに実行することも大切だと思います。

この手紙の中で提案している「北東アジア非核地帯」という考え方は、ピース・デポ、非核議員連盟、核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)核兵器のない世界を目指す議員連盟(民進党非核議連)、民主党、長崎市、世界宗教者平和会議等、多くのNGOや平和活動家の皆さんが提唱し広めてきたものです。トランプ氏の目に触れて、この構想の価値が伝わることを祈りつつ、以下紹介したいと思います。長くなりますので二度に分けたいと思います。

 

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拝啓 トランプ次期大統領殿

 

前広島市長として、昨年の米国大統領選挙において貴殿が歴史的な勝利を収められ、大統領に就任されたことに祝意を表します。核兵器についての貴殿の決定が世界中の人々に影響を与えること、特に広島市民と被爆者にとっては大きな関心事であることに鑑み、貴殿の決定が、賢明かつ平和的なものであることを私たちは期待しています。核の問題はデリケートかつ複雑な性格を持ちますので、この件についての世界のホットスポットの一つからの考え方を理解されることは、今後この地域に関する様々な決定を行う上で役に立つかもしれません。

 

北朝鮮との外交面での進展が見られないことにフラストレーションを感じている者として、選挙期間中に貴殿が、北朝鮮と話し合っても良いとの意向を示されたことに拍手を送ります。このことだけから既に貴殿は近年の米国大統領とは違ったユニークな範疇に属することになりました。このことに加えて、貴殿が示された、米国は最早「世界の警察官」としての役割は果さないという姿勢から論理的に導かれるのは、米国が世界における力は維持するものの、国際問題解決に当ってはまず外交的な手段を採用するということです。また私たちは、日本と韓国が自前の核兵器を持つことを貴殿が奨励しないと表明されたことに安堵しています。

 

こう考えてくると、次に頭に浮かぶのは、「貴殿が北朝鮮と話し合いを行う際にどんなことを言われるのか」という疑問です。もちろん、北朝鮮がもっと多くの核兵器を持つようにとは言われないでしょう。そうではなく、北朝鮮が所有する核兵器を廃棄するよう説得されることを期待しています。日本と韓国が核武装しないと保証するのは、北朝鮮がその提案を受け入れる上でのインセンティブになるはずです。しかし、それは現状をそのまま述べたに過ぎません。北朝鮮が核兵器を廃棄するためには、北朝鮮が新たに自分たちの「利益」になると考える、それ以上の何かが必要です。

 

その何かとして、北朝鮮に対して米国は核兵器を使わないという保証はどうでしょうか。このような保証を行ったとしても米国にとって失うものは何もないという点に注目して下さい。この点について説明すると、まず米国が日本や韓国についして核攻撃をすることはあり得ません。これは事実です。第二に米国が中国やロシアに対して核兵器を使用する可能性は少ないであろうことが挙げられます。そんなことをすれば、お互い同士多数の核兵器を使うことになり、それは人類の破滅につながるからです。このような状況下、この地域で唯一北朝鮮だけを例外視する、そして核攻撃の対象として残しておく意味はあるのでしょうか。それは、北朝鮮が米国に対して与える脅威を抑止するためでしょうか。もしそうだとして、どんな脅威が考えられるのでしょうか。北朝鮮が核兵器を放棄し、核兵器を米国本土にまで打ち込めるミサイルの開発を止めれば、米国に対する直接の脅威はなくなります。そして、米国が「世界の警察官」であることを止めれば、米国本土以外には、こうした「警察官」はいなくなります。脅威がないのですから、核兵器を使う必要もありません。

 

貴殿も良く御存知のように、難しい問題に対する長期的な解決策はしばしば、対称的な枠組の中で作られます。北朝鮮が誰からも核攻撃されないという安全な立場になったとすると、日本や韓国が同じような安全を享受することも重要です。この対称性を担保するために必要なのは、ロシアが日本と韓国に対して核兵器を用いないと約束することだけです。中国は既に核兵器の先制使用をしないと宣言しています。貴殿とプーチン大統領との会談での出発点として、ロシアがこの線に沿っての施策を採用するよう働きかけて下さい。貴殿の説得力に期待しています。

 

次回に続きます。

 

 

 

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