憂国の士 天木直人氏と新党憲法9条
天木直人氏と新党憲法9条
若かった頃の影響ではありますが、「憂国」ですぐ思い出すのは三島由紀夫の『憂国』です。また世間一般では「憂国」と国家主義・軍国主義を結び付けることが多いようですし、明治の志士のイメージも重なります。にもかかわらず、それに「士」を付けて「憂国の士」を考えると、真っ先に浮かぶのが天木直人氏です。
最初にお会いしたのは2000年、彼がデトロイトの総領事だった時でした。マツダが海外進出を積極的に行い、広島の部品メーカーへの発注が少なくなった時期だったのですが、ビッグ・スリーに広島の技術力を売り込みに行き、結果としてGMが広島にミッションを送り込んでくれることになりました。短期間に200億円以上の受注があったのですから大成功でした。その時に現地で応援してくれたのが天木氏でした。
その後、2001年に彼はレバノン大使になりました。9月11日の同時多発テロ以降、ブッシュ政権が「対テロ戦争」を掲げて強硬路線を取り、2003年にはイラクに大量破壊兵器が存在することを口実に
(戦争が終ってからの検証では、大量破壊兵器は見付かりませんでした)
イラクに侵攻し、小泉政権もこれに加担することになりました。
天木氏は、それまで培ってきた日本とアラブ世界との良好な関係を壊してはならないこと、戦争に加担することは日本の国益に反することを掲げて小泉政権にイラク戦争反対の意思表示をしました。それが元になって、彼は外務省を解雇されますが、この間の経緯を綴った 『さらば外務省! 私は小泉首相と売国官僚を許さない』(講談社、2003年)はベストセラーになりました。
その後、小泉政権の実態を世に知らしめ日本の政治を抜本的に変えるために、2005年には小泉内閣打倒を公約にして小泉総理の選挙区である神奈川11区から立候補しましたが、大差で敗れました。しかし、政治を変えたいという意思は変わらず、その後はインターネットを使っての政治活動を積極的に展開しています。
一番最近の動きは、昨年4月29日に、「新党憲法9条」を結成したことです。この日は安倍総理が米国議会で演説をした日ですが、その後8月29日に政治団体を結成、10月29日には公式のホームページを開始しています。
「新党憲法9条」の具体的目標は、次の衆議院選挙で比例の東京ブロックに4名の候補者を立て、その内から一人の当選を目指すというものです。公約は簡単で、次の二つです。
1.憲法9条を国是とし、憲法9条を世界に広めます。
2.新党憲法9条の国会議員は特権を求めません。政治家の特権を国民に返します。
安倍総理あるいはその黒幕が演出する「安倍シアター」がかくも大きな影響力を持ち、新たに選挙権を得た若者たちにも、解釈改憲が「当り前」「与件で変えられない」等の洗脳をマスコミの協力の下に行っている今、憲法9条の意味を掲げて、国会でまず一議席を獲得するためにインターネットを活用して供託金を募るという具体的な行動を起している人たちのいることがせめてもの救いです。
それを傍観して、「良い初夢を見た」で終らせてしまうのでは、いつまで経っても世の中は「真っ暗闇」のままになってしまいます。私たちも、天木さんや「新党憲法9条」に負けない、具体的かつ実現可能な行動を始めなくてはならないと思います。
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