日本は平和になっている
「タウンNEWS広島平和 大通り」の「算数のできない国」に触発されて年の瀬に、「soul
searching」をしています。直訳すると「魂を探す」あるいは「自分の魂を覗く」ですが、内省、省察、深い自己分析といった訳が付けられています。でも、ニュアンスはちょっと違います。「人間として生きる本質を問う」というようなニュアンスも付け加えたいと思います。
そんな気持になったのは、工場長さんの「日本に再び桜は咲くのでしょうか」と三浦サリーの『桜咲く』がグッと心に刺さったからだということ、そしてそれが『さくらの花よ 泣きなさい』を連想したからだったことは、前回お伝えした通りです。その結果、『さくらの花よ 泣きなさい』の作詞と作曲の名コンビ、荒木とよひさと三木たかしの友情に引きずられて、日本政治を憂うる気持を「泣きたいほど情けない」と表現してしまいした。
情緒に負けた形なのですが、そこから抜け出して新たなエネルギーを生み出すことも可能です。これも、頼りになる友人たちから教えられたことなのですが、「count
your blessings」です。意訳すると「あなたに与えられている幸せがどのくらいあるか、数えて御覧なさい」くらいになります。大切なのは「数える」ことです。ただ単に「思い浮かべる」のではなく、一つ、二つと数えることで流れができるからです。落ち込むようなことが続いた場合に、気持を切り替える上ではとても役に立つ考え方です。「与えられている幸せ」ですから既に与えられていることが前提です。それをちょっと延長して考え手見ると、歴史を良く見なさい、歴史の流れを見直しなさい、にもつながります。
早いもので、もう5か月近く前になってしまいましたが、「世界は平和になっている」そして「日本はずっと平和だった」さらに「NHK高校講座----不平等条約の改定」で、日本の場合は、関ヶ原の戦いのあった1600年以降を考えましたが、今回はそれより少し前から今までの歴史を振り返ってみましょう。
かつての日本は、多くの「国」から成り立っていました。例えば安芸の国とか甲斐の国です。時代を遡ると、名前は違いますが、封建領主が支配する「領土」に分かれていましたので、便宜上「国」と呼びましょう。それらの国々の間で戦争をすることは当り前でした。例えば、川中島の戦いに象徴される上杉と武田の間の抗争は皆さん御存じの通りです。
時代によって最強あるいは象徴的な権力者は変りました。平・源・北条・上杉・武田・織田・豊臣・徳川等ですが、彼らと同盟を結んだり対立していた国々との間の関係はと言うと、基本的には戦争を前提にした、支配と被支配の世界があり、その構成員としての国があるというものでした。ですから、国と国との関係は軍事同盟が望ましい形でした。軍事同盟を結べない国の間には戦争が起り、勝者が敗者を服従させることが当り前だったからです。
大雑把に、500年ほど前の日本では、このように国と国との戦争が日常茶飯事で、逆に、国と国とは基本的には戦争はしない時代が来ると考えた人は、仮にいたとしても、自分が天下を取る、つまり力での支配を前提としてその中で自分が勝つ、という種類の考え方をした人が多かったでしょうし、物事の決着が力ではなく法による時代が来ると予測した人は少数だったと考えて良いのではないでしょうか。
しかし、500年後の今、日本の中で、かつての「国」と同じような立場にある県や大きな都市が、何らかの理由で戦争をすることなど考えられない時代になっています。
それは、日本という地理的範囲の中で考えると、「500年前より日本は平和になった」とまとめられます。普通の歴史ではこのようなまとめ方はしません。小説やドラマが注目するのも、「戦争を前提とした時代」は与件として、その与件がどう変化したのかではなく、与件はそのままで、その時代に生きた権力者がどう行動したのか、権力がどう動いたのか、その時代の裏面にはどんな真実が隠されていたのか、といったレベルでの、時間枠を「局所化」したものが中心です。
しかし、私たちに「与えられている幸せ」の一つは、どんなに独裁的な知事が当選したとしても、○○県とその隣の××県が、知事の一存で戦争を始めることなどありえない時代に生きている、ということなのです。
このように歴史を大局的に見ることから得られるエネルギーが大きいことは理解して頂けると思いますが、私たちが何もしなくてもこの流れが続くほど現実は甘くありません。そこがエネルギーの使いどころなのですが、歴史を見直すことから得られる教訓も多様です。次回は、教訓の一つとしての日本の平和主義を考えたいと思います。
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