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2016年12月 7日 (水)

易しい高齢者    甘く見られているのに怒らないのは「優しい」からなのでしょうか


易しい高齢者

甘く見られているのに怒らないのは「優しい」からなのでしょうか

 

このところの高齢者バッシングについて、皮肉を込めて「優しい高齢者」というタイトルを付けようと思っていたのですが、変換ミスで「易しい高齢者」になってしまいました。でも考えて見ると、為政者たちは高齢者を「組し易い」あるいは「騙され易い」と考えているからこそ、あからさまに、続けて高齢者の狙い撃ちをしているのではないでしょうか。そう考えると、コンピュータの賢さが浮び上ります。(とは言っても、ワードに学習能力はあっても、AIが組み込まれている訳ではないので、単純な変換ミスなのかもしれませんが。)

 

さて、国の財政全般を見渡したり、世代間のバランスを考えたりといったレベルではなく、とにかく、感情として高齢者が蔑ろにされているとしか思えないというところから始めたいと思います。皆さんはどう感じていらっしゃるでしょうか。

 

まず年金の引き下げがあります。1125日には、衆議院の厚生労働委員会で、自民・公明・維新の共謀で強行採決が行われ、そこで決まったことにされたのは、国民年金で年約4万円減、厚生年金で同じく年約14.2万円減になる「年金制度改革法案」です。仮に高齢世代には厳しい内容であっても、若い世代にとっては必要だというのであれば、両世代にしっかりと理解して貰った上で、いわば「国民的合意」の下に通すべき案件ではなかったのでしょうか。「強行採決」はその対極にある「問答無用」という意味ですから、「高齢者よ黙れ」を強く言いたかったのだとしか考えられません。

 

当然、十分な説明があったとは思えませんし、「強行採決」を報じた翌日の朝日新聞も、「引き下げ」とは報道してあるもの、具体的にいくらくらいの引き下げになるのかについては、簡単に「2000円ほど」と細かい字で書いてあるだけで、既定の事実としてしか扱っていない感じでした。これだともう「共犯」に近いと言っても良いのではないでしょうか。ネット上の情報では、民進党の玉木雄一郎議員のホームページに分り易い説明と図表がありました。そこから、引き下げ額の図表をお借りします。

            

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年金引き下げ法案強行採決の悪夢が覚めやらぬ29日には、厚生労働省が70歳以上の医療費の自己負担分の上限を引き上げる、つまり自己負担を増やすことを決めて、恐らくはその法案をこれまた強行採決して実施するであろう方針らしいということが報じられていました。どのくらいの増額になるのか、こちらは朝日新聞も分り易く数字を示してくれていました。

 

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それだけではありません。社会保険料や税負担も増え、1999年から2015年の間に年金の「手取り」が32万円も減っているという計算を、Diamond Onlineで深田晶恵さんが公表しています。詳しくは、深田さんの論文をお読み頂きたいのですが、その中から、グラフを1枚お借りします。

 

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 つまり年金で生活している高齢者は、まず年金が減り、税金や社会保険料の支払いは増え、加えて医療費負担も増えるという悲惨かつ過酷な状況に置かれているのです。結果として、若い時から国民年金保険料は払わずに高齢になってから生活保護に頼る方が得するといった可能性まで生じています。それは国全体としての社会保障の崩壊につながります。

 

こうして高齢者は、自立して生活する能力を奪われていると言っても良い状態に置かれています。その一部として運転免許を返納しろというマスコミ主導の大運動まであります。確かに高齢者の運動能力や認知能力は劣化していますが、そのかなりの部分は工場長さんの指摘にあるように「自動ブレーキ」導入で改善されます。自動車の運転ができなくなることも含めて、自立できないとなると誰かを頼らなくてはなりませんが、子どもたちの世代も余裕はありません。あったとしても「親との同居」はもはや常識ではありません。拒否反応の方が強い時代になっています。となると施設ですが、これも入居費が高過ぎたり、希望者が多くて入ることも難しくなっています。そして仮に入れたとしても、ニュース等の極端な例に過ぎないのかもしれませんが、虐待されたり殺されたりといった悲劇も覚悟しなくてはなりません。ホームレスとして生活するか、何とか住む場所が確保できたとしても生活保護に頼るという道しかないという結末になってしまうのでしょうか。

 

こんな酷い状況を変えるためには、高齢者が立ち上がり自分たちの利益を守らなくてはならないのですが、それに対しては既に強力な「反高齢者キャンぺーン」が始まっています。投票率の高い高齢者力で政治を動かす「シルバー民主主義」というラベルです。若者世代の利益は無視して高齢者の利益のみを追求するのが「シルバー民主主義」で、この力に対抗しなくてはならないという批判です。その前にしっかり「事実」を見ましょう。「シルバー民主主義」という高齢者の力で政治が動いてきたのなら、これまで確認してきた年金の引き下げ、年金の手取り減少、医療費の負担増等のことは起らなかったはずではありませんか。

 

まずは立ち上がり、声を大にしましょう。生活面で私たちが困窮するだけではなく、利害関係の反するグループ間の事実に基づいた合理的な話し合いが行われなければ、それこそ民主主義が崩壊してしまいます。それこそ正に、ここに掲げたような施策を展開している人たちのより大きな目論見なのではないでしょうか。

  

 

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