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2016年12月18日 (日)

DVD『風よ吹け!未来はここに!!』上映会・講演会報告


DVD『風よ吹け!未来はここに!!』上映会・講演会報告

 

1217()午後1時から4時まで広島県情報プラザで開かれた、DVD『風よ吹け!未来はここに!!』の上映会と講演会の報告です。できるだけ多くの方に参加して頂きたいという思いから昨日、「お知らせ」をアップしたのですが、150人入れる会場は一杯で、主催者の皆さんが急遽、追加の椅子を並べなくてはならないほどでした。

                

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 3時間という長丁場でしたが、会場は熱気に溢れて、あっと言う間に終りの時間を迎えていました。一時間ずつの3部構成でしたが、最初は、今年完成したDVDの上映です。人工呼吸器とともに生きている6人の子ども・若者の日常生活の紹介、そして彼ら/彼女らの家族や保育園・学校の先生や同級生等、彼ら/彼女らとともに生き活動している方々の姿が「感動的」に「楽しく」描かれていることに感動しました。

 

出演者は6人ですが、会場でいただいたパンフレットを元に出演順に紹介したいと思います。

 

l 中島環君(4)――中枢性低換気症候群により、生後1か月から人工呼吸器を使用し3歳から広島市の吉島保育園に通っている。

l 巽康祐君(11)――ダンディウォーカー症候群により1歳から人工呼吸器を使用、現在は箕面市立豊川北小学校に通っている。

l 諾浦綾乃さん(11)――出産時の低酸素脳症により、出生直後から人工呼吸器を使用、滋賀県内の支援学校に通う小学生。スクーリングの回数を増やし自分の世界を拡大中。(なお、「諾浦」は「なぎうら」と読みます。)

l 平本歩さん(30)――ミトコンドリア筋症により生後6か月から人工呼吸器を使用。現在一人暮らしをしながら、ピアカウンセラーになるべく勉強中。バクバクの会・編集長。

l 岸本彩さん(28)――福山型筋ジストロフィーにより15歳から人工呼吸器を使用。現在、一人暮しを満喫しながら医療的ケア連絡協議会・代表。

l 折田涼さん(27)――脊髄性筋萎縮症I型により生後6か月から人工呼吸器を使用。現在一人暮しをしながら、医療的ケアの普及活動に取り組んでいる。NPO法人ポムハウス・代表理事。

 

60分のDVDの内容を文字でお伝えするのは無理ですので、YouTubeのダイジェスト版をまず御覧下さい。

 

第二部は二つの講演でした。最初は「地域で生きる教育とくらしをめざす会」代表の高松豊さんでした。1975年生まれの高松さんは先天性緑内障で生まれつき全盲。中学2年まで支援学級に通うが、中3で普通学校に通学。中四国地方初の点字受験で広島県立可部高校に合格。卒業後は支援学校の専門部であんま・マッサージ師の技術を習得し国家資格を取得。現在は病院に勤務しています。今年4月に結婚。

 

ユーモアあふれる前向きの講演で、機会があれば是非一度高松さんの話を聞いてみることをお勧めします。特に印象的だった言葉を三つ、そしてエピソードを一つ挙げておきたいのですが、一つは「障害は個性」だということ。ほかの個性について考えても同じ結論になるのですが、個性は制約であるのと同時に大きな機会でもあることを認識して、それをどう生かすのかが大切だという考え方です。

 

二つ目は「自立」の意味。すべてのことを自分でする、あるいはできるようになることを普通は自立と考え、高松さんもそう考えていたそうなのですが、ある時その考え方を変えた経緯をエピソードとともに話してくれました。結論だけ書くと、誰でも完全には自立できない。どこかで誰かに頼らなくてはならないことがある。そんなときに、躊躇せず自由に友だちなり周りの人に「これを頼む」と言える人間関係を作っておくことが、本当の意味での「自立」なのではないか。

 

三つめは、「ともに学ぶ」ことの大切さです。多様性を「知る」だけではなく、ともに生活し学ぶことでその意味を「体得」できる、そしてそれが誰にとっても生きる上で大きなエネルギーになるのですが、特に子どもにとって、「学ぶ」ことと「生きる」こととの重複が大きいことから、「学ぶ」を強調することが大切だという点を改めて学びました。

 

最後に、結婚して奥さんからの指摘で分かったこと。結婚前は、視覚障害のあるお母さんとの二人暮しだったので不便は感じなかったことなのだそうですが、家の中の電球があちこち切れたままになっていたこと。

 

講演の二つ目は、「たま君ファミリーのお話」でした。DVDの最初に出てくる中島環君のお父さん、お母さんそしてお兄さんの4人家族の生活について、心配だったこと、困難なことや苦労したことなどを中心に、訪問看護師の富永説子さんと一緒に語ってくれました。

 

生後すぐに、大腸が機能していない病気のあることが分り大腸摘出の大手術をしなくてはならないと医師から聞かされて失神してしまったこと。その後、今度は中枢性低換気症候群のために気管の切開手術の必要のあることも分り、その手術をすると声を失う可能性の高いことも知らされ、絶望的な思いをしたことも話してくれました。

 

保育園に通っているお兄ちゃんやその友だちと公園で楽しそうに遊んでいる環君を見て、御両親は環君も保育園に通わせたいと決意、人工呼吸器を携えての入園は例がないため、様々な困難さがあり、保育園の皆さんの努力とも相俟って、通園できるようになったこと、そして今では社会性も身に付き、一度は諦めていた声も出せるだけではなく、活発にお喋りできるようになったことなど、御両親の言葉も声音も抑制の利いていたこととも合わせて、感動的なお話でした。拙い筆では伝わらないと思いますので、中島夫妻のお話も、聞く機会があれば、是非一度お聞きになることをお勧めします。

 

3部は会場から6人の方の発言がありました。とてもユニークかつ勉強にりましたが、スペースの関係で割愛します。

 

学ぶことの大切さを再確認した会でしたが、まず「知ること」から始めるという姿勢が必要です。それを可能にしてくれた皆さん、今回の上映会・講演会のような「知らせる」努力を続けてこられた皆さんに、深く感謝しています。

  

 

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コメント

障害を個性と見れば、
個性は悲観的に見れば短所となり、
楽観的見れば長所となるということでしょうね。
楽観的に見ていきたいですね。

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