カープ優勝パレードと自衛隊パレード
カープ優勝パレードと自衛隊パレード
雲一つない青空のもと、カープの優勝パレードが行われました。優勝パレードのテレビの放送が始まると、我が家でも、何となくそわそわした気分になり、「やっぱり現地で見ようや」と急きょ支度をして、午前10時5分妻と二人で平和大通りを目指しました。NHK広島放送局の向かい側に着くと、すでに多くの人が集まり、今や遅しとパレードの到着を待っていました。空を飛び交うヘリコプターに向けて小旗を振る人たち。10時30分沿道のスピーカーから「カープ優勝パレードがスタートしました」の声が聞こえました。隣でパレードを待つ人と会話が弾む。「今朝三次を7時過ぎに出て、家族とともに来ました。」そんな会話を楽しみながら待つこと15分余り。先頭のテレビ中継車の姿が見えてきました。周りの声も大きくなります。
いよいよ選手の登場。カープのマスコット「スラィリー」が乗ったオープンカーを先頭に次々と目の前を通り過ぎていきました。4台目のオープンカーは、黒田投手と新井選手の二人。ひときわ大きな声が上がりました。一生懸命にスマホのシャッタを押し、写っていたのが次の一枚。
次々と続く、選手の姿。周りからは、お気に入りの選手の名前を呼ぶ声が、次々と上りました。目の前を通り過ぎた時間は、先頭から最後まで、5分余りでしたが、周りの人とともに、改めて「カープの優勝」を実感するとともに、平和を感ずる楽しい時間でした。
そんな中、パレードといえば、思い出すことがあります。1964年から被爆地広島では、自衛隊の市中パレードが実施されていました。1965年には、今回「カープ優勝パレード」が行われた平和大通りで実施する計画が持ち上がったようですが、原水禁など平和団体の抗議によって、さすがに「平和大通り」での実施は変更されたそうです。しかし「自衛隊パレード」そのものは継続されました。ようやく1972年になって「自衛隊パレード反対」の声が上がり始めました。そして、翌1973年には、「被爆地広島を軍靴で汚すな」の声が更に大きくなり、「自衛隊パレード」の中止を求めて様々な抗議行動が取り組まれました。パレード当日の10月28日には、抗議する市民1万2千人が、県庁前に集まり、激しい抗議行動を展開しました。「優勝パレード」とは違い「自衛隊パレード中止」を求める怒号の中を、戦車はスピードを上げて通り過ぎました。こうした抗議行動が実り、翌年、被爆地広島での「自衛隊パレード」は、中止に追い込まれ、その後の実施はできなくなりました。41年前(1975年)に実施された「カープ初優勝パレード」の数年前まで、被爆地広島で「自衛隊パレード」が実施されていたのです。この「自衛隊パレード阻止の行動」は、広島の平和運動にとっては、忘れることのできない出来事です。ちょうど同じ年1973年7月には、今に続く「核実験抗議の座りこみ」が開始されています。私にとって、平和運動の出発点となった出来事です。
今回の「優勝パレード」では多くの子どもたちの姿を見ることができました。こうした光景は、これからも何度でもあって欲しいと願わずにいられませんが、再び「自衛隊パレード」が行われるような時代を決して迎えることがないように、今できることに全力で取り組んでいきたいと改めて感じました。
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広島にとって重要な意味のあるパレード二つの関連と歴史について教えて頂き有難う御座います。
どちらも市民が関わり、市民の思いが実現しているのが広島の凄いところなのではないでしょうか。
カープおめでとう、カープ有難う、そして広島市民万歳。
投稿: イライザ | 2016年11月 6日 (日) 11時30分
イライザさんコメントありがとうございます。
パレード歓迎の市民の中に一緒にいられたことは、本当に幸せな時間でした。
こんな素敵な時間を作ってくれたカープに、そして大きな盛り上げを作ったカープフアンに私も感謝です。
投稿: いのちとうとし | 2016年11月 6日 (日) 13時43分