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2016年11月13日 (日)

本音と建前   アメリカと日本そして世界はどうなる?


本音と建前

アメリカと日本そして世界はどうなる?

 

トランプ当選後のアメリカ、日本そして世界はどうなるのかが心配ですが、いくつかのシナリオを考える前にトランプ氏の言動について評価できる点を挙げておきたいと思います。それは、エスタブリッシュメント批判をする中で、政治や社会的な問題についてエスタブリッシュメント側なら絶対に取り上げないような根本的な問題について、玄人の立場ではなく政治や社会について深くは考えていない人々、でも何かがおかしいと思っている人々のレベルからの疑問を呈したことです。「世界の警察官」「核兵器」「移民」等、言っていることが変化し、その内容も人権や法律無視、下品でファシストっぽいものでしたが、それでも社会の根本に関わっていることから、多くの人たちの側からプラスかマイナスの激しい反応を引き出したのではないでしょうか。

 

クリントン氏も現代社会の根本テーマの一つ「女性」に焦点を合わせましたが、それに賛同する人たちが多かった半面、「女性大統領」以上に「大統領」になりたい自己中心的な権力欲を「建前」で覆い隠しているのではないかと考えた人たちには、トランプ氏以上の説得力がなかったのかもしれません。

 

結果として、クリントン氏は総得票数ではトランプ氏を破りましたが、選挙人獲得数ではトランプ氏の勝ちになりました。制度が悪い、直接選挙の結果で大統領が決まるようにすべきだ、という主張には大賛成です。今回間に合わなかったのは残念ですが、これも別の視点から考えて見たいと思います。「本音」と「建前」です。

 

クリントン氏が建前では勝ち、トランプ氏は本音レベルで勝った、と言ってしまって良いように思います。

 

この点を説明するために、最近のアメリカ社会の大きな変化に焦点を合わせましょう。数例を見て貰うだけで全体の傾向は分ります。最初は「原爆投下は正しかった」と考えている人の割合です。次のグラフを見て下さい。2009年には67パーセントだったのが、2016年には45パーセントに減っています。「オバマ効果」です。


1945200920152016

 

その他の例は、「工場長」さんが紹介してくれた、マイケル・ムーアのブログ「トランプ候補が勝利する5つの理由」でも取り上げています。

 

その一つは、「同性間の結婚」です。2015年の最高裁判所の判断で、同性同士の結婚を禁止することはできなくなりました。つまり完全に合法化されました。

             

Procon

               

ProCon.org, "State-by-State History of Banning and Legalizing Gay Marriage, 1994-2015," ProCon.org. Last modified February 16, 2016. http://gaymarriage.procon.org/view.resource.php?resourceID=004857

 

男女間の賃金格差についても、「同一であるべき」が80%、人工中絶を支持する人も過半数以上です。マリワナの合法化も、カリフォルニア州では大統領選挙と同時に行われた住民投票で「YES」が勝っています。しかし、マイケル・ムーアが多数派の意見として挙げている銃規制は、賛否が拮抗し最近は銃規制を「しなくても良い」が増えていますし、地球温暖化についての危機感もかなり減っています。

 

マイケル・ムーアの指摘通りの世論、いわゆる「リベラル」な価値が広範に共有されていることを示す世論、であれば、クリントン氏が総得票数でも、選挙人数でも圧倒的に勝って良かったはずなのですが、銃規制や環境の面に徐々に現れている社会全体の流れ、保守への回帰なのだと思いますが、が今回の大統領選挙そして上下両院の選挙に反映されたように思います。

 

それが端的に現れたのが、「ラスト・ベルト」、つまり工場や企業が閉鎖され工場や機械が錆びてしまった地域での選挙結果です。トランプ候補が注力した地域、州としてはミシガン、オハイオ、ペンシルバニア、ウィスコンシンです。

 

Photo

日経電子版から

 

ミシガンが好い例ですが、予備選挙ではバーニー・サンダース候補が勝った地域ですので、その票がクリントン候補に流れ、女性票も上積みされれば勝てた要素はあった地域です。しかし、その後の運動で作られたトランプ陣営との違いは、かつてのサンダーズ支持者が仮にクリントン候補に一票を入れたにしろ、朝早くから友人知人を叩き起こして選挙に行ってヒラリーに入れようと呼び掛けるほどの情熱にはならなかったことだと、マイケル・ムーアは分析しています。

 

本音で一票を入れたのか、建前で一票を入れたのかの差だと言えるのではないでしょうか。

 

ニューヨークで勝利宣言を行ったドナルド・トランプ次期大統領のお行儀の良さに多くの人が驚いているようですし、オバマ大統領との会談後、医療保険制度について選挙中の「約束」を変える発言をしていることにも困惑している人が多数です。今までは、言いたい放題、本音で喋っていたのが、いざ大統領に就任する段になって「建前」も尊重するようになった、と捉えても良いように思います。その「建前」の中には論理的な整合性も入ってきます。こうした「建前」という枠組みの中で、本音をどう修正して行くのか、どんなシナリオがあり得るのか、次に考えたいと思います。

 

 

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「トランプ候補が勝利する5つの理由」として紹介したマイケル・ムーアの「5 REASONS WHY TRUMP WILL WIN」を日本語訳したサイトがありましたので、お知らせしておきます。

「ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう」
http://www.huffingtonpost.jp/michael-moore/5-reasons-why-trump-will-win_b_11254142.html

また、以下に最新のインタビュー動画があります。
http://www.msnbc.com/all-in/watch/michael-moore-get-out-and-protest-807194691516

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。二つのサイトお教え下さり感謝しています。マイケル・ムーア氏は毎日デモにも参加しているようですね。私たちも見習えればと思います。

先週末あたりから、アメリカのいくつかのサイトで、1922年のニューヨークタイムズの記事が取り上げられています。

それは「ヒトラーは反ユダヤ主義を大衆の支持を得るために利用しているに過ぎない」と楽観的な論評であった、というものです。

当時とは状況も違いますし、人類はより平和的に進歩しているとも思いますが、楽観は許されないということですね。

http://boingboing.net/2016/11/11/hitlers-only-kidding-about.html

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。1922年のニューヨーク・タイムズ記事は、ヒトラーが反ユダヤ主義とは別の目的を達成するため、「大衆」を引き付けるための「餌」として反ユダヤ主義を用いている、つまりレトリックとしての過激な発言だという趣旨に取れましたが、「別の目的」が何なのか良く分りません。ニューヨーク・タイムズの事実認識が間違っていたということだと思います。

トランプ氏の過激な発言は恐らく本音かそれに近い、というのが多くの人たちの受け取り方だと思います。今はそれを少し曲げて、より多くの人の支持を取り付けようとしているようにも見えますので、ヒトラーの場合と事情は少し違うのかもしれません。

その理由の一つは、あれほど多くの人たちがトランプ反対デモをしているのですから、それを全く無視することは無理なのだと思います。また、トランプ氏の無知もありますし、エスタブリッシュメントも使うという姿勢なのだと思います。しかしながら、どこかで本性を現して無慈悲に非人道的、かつ人権無視の政策に走るのかもしれません。注意深く見守ることは最低限必要なのだと思います。

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「トランプ候補が勝利する5つの理由」として紹介したマイケル・ムーアの「5 REASONS WHY TRUMP WILL WIN」を日本語訳したサイトがありましたので、お知らせしておきます。

「ドナルド・トランプが大統領になる5つの理由を教えよう」
http://www.huffingtonpost.jp/michael-moore/5-reasons-why-trump-will-win_b_11254142.html

また、以下に最新のインタビュー動画があります。
http://www.msnbc.com/all-in/watch/michael-moore-get-out-and-protest-807194691516

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。二つのサイトお教え下さり感謝しています。マイケル・ムーア氏は毎日デモにも参加しているようですね。私たちも見習えればと思います。

先週末あたりから、アメリカのいくつかのサイトで、1922年のニューヨークタイムズの記事が取り上げられています。

それは「ヒトラーは反ユダヤ主義を大衆の支持を得るために利用しているに過ぎない」と楽観的な論評であった、というものです。

当時とは状況も違いますし、人類はより平和的に進歩しているとも思いますが、楽観は許されないということですね。

http://boingboing.net/2016/11/11/hitlers-only-kidding-about.html

「工場長」様

コメント有り難う御座いました。1922年のニューヨーク・タイムズ記事は、ヒトラーが反ユダヤ主義とは別の目的を達成するため、「大衆」を引き付けるための「餌」として反ユダヤ主義を用いている、つまりレトリックとしての過激な発言だという趣旨に取れましたが、「別の目的」が何なのか良く分りません。ニューヨーク・タイムズの事実認識が間違っていたということだと思います。

トランプ氏の過激な発言は恐らく本音かそれに近い、というのが多くの人たちの受け取り方だと思います。今はそれを少し曲げて、より多くの人の支持を取り付けようとしているようにも見えますので、ヒトラーの場合と事情は少し違うのかもしれません。

その理由の一つは、あれほど多くの人たちがトランプ反対デモをしているのですから、それを全く無視することは無理なのだと思います。また、トランプ氏の無知もありますし、エスタブリッシュメントも使うという姿勢なのだと思います。しかしながら、どこかで本性を現して無慈悲に非人道的、かつ人権無視の政策に走るのかもしれません。注意深く見守ることは最低限必要なのだと思います。

得票数にはあまり意味がないと思ってます。
選挙が、得票数でなく選挙人の獲得数で争うのですから、戦術が違うと思うからです。
共和党支持者以外に隠れトランプというのがあったり、共和党の実力者から嫌われても買ったのですから勝つだけの支持あったという事ですね。
反対にクリントンは、民主党が優位な州でもなかなか勝てず、また失った州もあるようです。民主党の支持者の中に反クリントンが多かったのではと思います。
また、トランプはアメリカ大統領なのですから、アメリカ国民のための政策をだしているだけたと思います。不法移民の排除や入れない、アメリカ国民でないイスラム教徒はテロリストの可能性があるから入れない。軍事協定は平等な立場で結ぶものだから、負んぶに抱っこはいけない。
不法移民ですが、日本では不法滞在者と言っていて、日本政府は不法滞在者の国外追放はやっているし、親が不法滞在者で子供には日本国籍があれば親の追放はやってます。
国境の壁も、今は金網なのを壁に変えるだけの事。
TTPは、金融経済の勝者のための貿易協定だと思いますから、一般的なアメリカ国民には利益はないのではないでしょうか。
アメリカのマスメディアがあまりにも親クリントで、トランプのヘイトが酷かったのでと思います。
軍事産業や大企業の紐付きでない大統領は、今まであったのでしょうか?
核のボタンは、軍事産業や大企業の利益のためな国政をする紐付きで大統領の方が怖いですね。
トランプの専用機は、20年落ちの中古だそうですね。
色々と問題があるトランプより、憲法を無視する安倍の方が怖いですね。

 トランプの今後の政策には選挙戦の発言からは変更されるものも多くあると考えられるが、これまで最も頻繁に言及され、今後の揺れ戻し変更もなく確定的な政策と考えられるのは、ロシアとの敵対解消だ。
 既にシリアでは、トランプ当選で米軍のシリア介入の恐れがなくなったので、ロシア軍も拙速な攻撃で市民の犠牲を増やすことを避けて、市民が市外に避難するのを待つことを公表した。
 トランプ大統領になれば米国からの武器支援も途絶えるのでアレッポのISヌスラも弱体化し、ロシア軍やシリア政府軍にやられ放題になり、その強さに惹かれて欧州やイスラム世界から集まった義勇兵もいなくなる。
 オバマもここにきて軍産に遠慮がなくなりアレッポのISヌスラへの軍事攻撃を解禁した。取り敢えずシリア国民はトランプに感謝するだろう。

「やんじ」様

コメント有難う御座いました。アメリカの大統領ですから、アメリカ中心に物事を考えるは当然ですね。アメリカの抱える問題を全て視野に入れて考えるべきだと思いますが、となると、今言っても仕方がないことではありますが、サンダース氏が民主党候補にならなかったのが残念です。この先を考えると、民主党全国委員会を改革することも大切だろうと思います。

移民についてですが、1996年、ビル・クリントン政権の時に既に合法的な移民でも犯罪歴があると国外追放するという法律を作っています。ヒラリー候補がそんな事実を持ち出せばトランプ票の一部は取り込めたと思いますが、民主党票の一部は逃げるということで、他の分野についても同じような状況が多くありました。それを上手く隠す選挙というのも難しかったのだろうと思います。

「FBH」様

コメント有り難う御座いました。ロシアとの対立解消、北朝鮮との対話もするという姿勢は、アメリカのエスタブリッシュメントが推進してきた政策を根本的に見直すということになりますが、それを建設的な内容にするためには日本政府にも貢献して貰いたいと願っています。

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