核兵器廃絶なくして被爆者の救済なし――許せない日本政府の姿勢――
核兵器廃絶なくして被爆者の救済なし――許せない日本政府の姿勢――
昨日の朝、「国連総会第1委員会で『核兵器禁止条約など核兵器の法的禁止措置について交渉する国連会議をニューヨークで来年開くとした決議』を123カ国の賛成を得て採択した。」というニュースが流れてきました。「核兵器を法的に禁止する枠組み」へのスタートとして、歓迎した人も多いと思いますが、同時に報道された、「この決議に日本政府が反対した」という内容に、「怒り」を感ずるよりも「やっぱり」という思いや失望感を感じた人も多かったのではと思います。私もその一人です。
昨日のブログで触れていただきましたが、原水禁学校の第1回の講義のテーマは、「原水禁運動の歴史に学ぶ」でしたが、私がこの講座で最初に取り上げたのが、1955年8月8日に採択された「第1回原水爆禁止世界大会宣言」です。「原水爆禁止を要望する最初の世界大会が、1955年8月6日―世界最初の原爆投下の日―から3日間、この原爆の地「ヒロシマ」にひらかれ、ヨーロッパ、アメリカ、アジア諸国の代表をふくむ日本各地からの5千人をこえる代表たちが集まりました。」で始まるこの「宣言」の真ん中あたりにこういう言葉がありますので引用します。
「原水爆被害者の不幸な実相は、広く世界に知られなければなりません。その救済は世界的な救済運動を通じて急がなければなりません。それがほんとうの原水爆禁止運動の基礎であります。原水爆が禁止されてこそ、真に被害者を救うことができます。」
この「宣言」に「被害者の救済が原水禁運動の基礎」であり「核兵器禁止が真の被害者の救済」を盛り込むために起草委員であった森瀧市郎先生などの大きな努力があったといわれています。「被害者の救済」と「核兵器廃絶」は、原水禁運動の両輪です。私もそれが、原水禁運動の基本だと思っています。
私は、今回の日本政府の対応を見るにつけ、改めてこのことを考えます。もし日本政府が、「唯一の戦争被爆国」というのであれば、常にこの原点に立ち帰って、世界の「核兵器廃絶を願う人々」とともに歩むべきだと。「原水爆が禁止されてこそ、真に被害者を救うことができます」というこの宣言の重みを、もっと考えるべきです。
外務省のホームページを見ると毎年のように「国連総会において日本政府の主導で『核兵器廃絶決議』を提案し、採択された」と掲載されています。果たして今年も日本政府は、臆面もなく同様の提案をするのでしょうか。
原水禁学校第1回講座では、この他にも「なぜ『国家補償』を求め続けるのか」などについて話をしました。その中でも重要だと思っている「『核と人類は共存できない』の深い意味」というテーマについては、また機会を作って報告したいと思います。
今日は、昨朝、「国連での『核兵器禁止条約』に関わる決議の採択」のニュースが入りましたので、原水禁運動の原点について、触れることにしました。
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