自民党総裁任期延長 独裁政権への布石?
独裁政権への布石?
『あめりか物語』の続きは少しお待ち頂いて、自民党総裁の任期延長を決めたというニュースについて考えて見たいと思います。
これまでの「連続2期6年」を止めて、「連続3期9年」にするか「無期限」にするかのどちらかになるようです。
日本の法律では、憲法も含めて、総理大臣の任期に制限を付けていません。アメリカの大統領の場合は、2期8年が上限です。それも、フランクリン・ルーズベルト大統領が4選されたことが大きな原因です。彼は1945年、任期の途中で亡くなったのですが、その後1951年の憲法改正により大統領の任期は2期8年までと決められました。1940年そして1944年の選挙でルーズベルトは、世界的に戦争が続いていたことを理由に立候補していますが、長期政権による弊害そのものはその頃でも国民的に理解されていたようです。
イギリスでは同様の制限はないということですし、それと同じ議院内閣制をとっている我が国もイギリスと同じように、「無期限」で総理大臣を続けられるようにしたいというのが安倍総理の願望のようです。衆参両院ともほぼ2/3の多数を恃む与党と改憲派の勢力が力ずくで憲法改正、立憲主義と民主主義の放棄、そして軍国主義と、かつて苦い経験をした「周回遅れ」の世界観実現のためのようにも見えるのですが、杞憂でしょうか。
制度上、衆参両院の2/3があれば、法律は作り放題、憲法改正の発議もできますし、その結果、独裁政治が出現してもおかしくはありません。そうさせないために、国民投票があり、また選挙によって衆議院・参議院の構成を変えるというのが、現在の日本システムです。
これまでの自民党は、それに加えて、総裁の任期を連続2期6年に制限することで、政党としての規制を掛けていました。政党としての良識があったと言っても良いと思います。大変残念なことなのですが、今この良識を捨てようとしている自民党にストップを掛けられるのは、全国の自民党員の皆さんです。解釈改憲に続いての制度的な劣化をこれ以上進めないよう、頑張って貰いたいと切に願っています。
同時に、主権者である私たち市民が、これまでに果してきた役割についても反省しています。提案すれば直ぐ実現する訳ではありませんが、より良い政治を創るためにもっと積極的かつ具体的な未来像を描いてその実現のための世論を作る努力が足りなかったのではないか、という反省です。
例えば、総理大臣の任期ですが、これはやはり憲法で決めておくべき事柄だと思います。しかし「憲法改正」と言うと、「じゃあ9条も一緒に改正しよう」という声の出てくることを恐れたこともあったのでしょうか、このような提案に結び付かなかったように思えます。
私の勉強が足りなくて、このような提案がこれまでなされていたことを把握していないだけなら良いのですが、そうでない場合、改めて、憲法を生かすために何ができるのかを具体的に考え、それを未来の政治創りの一環としてより多くの人に共有してもらう努力をすべきなのではないでしょうか。憲法を破壊しようとしている人たちに対抗するために、「現状維持」と言うだけではなく、憲法の精神を生かすためにもっとダイナミックな展望を示したらどうかという提案です。
総理大臣の任期に上限を付けるということとともに考えたいのは、総理大臣就任時に国民に対しての「宣誓」を行うことを義務付ける必要性です。両方とも、アメリカの制度を取り入れるだけではないか、という批判が出てくるかもしれません。でもアメリカの制度が、独裁政治を排除する上でまた立憲政治を常に意識しなくてはならないリマインダーとして、大きな役割を果していることが分れば、批判ではなく、賛同そして支持に考え方が変わるのではないかと期待しています。
詳細は次回に。
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コメント
「やんじ」様
コメント有難う御座いました。おっしゃる通り、自民党総裁の任期と、総理大臣の任期には法的関係はありません。でも、自民党総裁に任期があることで、総理大臣を無制限には続けられないという、実質的な歯止めの一部ではありました。
原発も選挙制度もその他の大きな問題についても、国民が騙されるときには必ずマスコミが関与しています。それをどう変えるのかの一つのヒントが新潟県知事選挙でした。
安倍政権の目指す「ナショナリズム」も実は、世界の底流を見ると変りつつあります。かつての日本も、同じように表面だけしか見えずに、社会そして世界の基盤が変わりつつある事には気付かずに、「周回遅れ」の政治観、世界観を採用して破滅しました。
おっしゃるように、その轍を踏まないためにも、私たち市民が地道に発信してゆく必要があるのだと思います。
自民党の総裁の任期延長と総理大臣の任期には法的な関係は無いですよね。
昔に、総裁と総理が別の人物のときもありましたし。
でも、今のような小選挙区制と政党助成金になり、総裁が独裁者になりやすくなったと思います。選挙での公認とお金をいってに握っているのですから、総裁に反発したら選挙に出れないようになってますね。逆らって出馬すれば除名と脅しますし。
小選挙区制で二大政党になって政治が良くなるとか、政党助成金で政治とお金が綺麗になるとか、参議院と衆議院がねじれていれば政治が前に進まないとか、まるで原子力発電の必要性を訴える大嘘と同じことですね。
今、世界はナショナリズムが強くなっていますね。
そうなれば、世界戦争が近づいているように思います。
そして、自民党の総裁の任期延長は、ナショナリズムの強化のためではないのかとも思います。自民党の憲法変更もそのためでしょうね。
私も、憲法改正は反対ではないです。必要なものもあると思います。
ただし他国に対して宣戦布告してはいけないというのは変えてはいけませんが。
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自民党の総裁の任期延長と総理大臣の任期には法的な関係は無いですよね。
昔に、総裁と総理が別の人物のときもありましたし。
でも、今のような小選挙区制と政党助成金になり、総裁が独裁者になりやすくなったと思います。選挙での公認とお金をいってに握っているのですから、総裁に反発したら選挙に出れないようになってますね。逆らって出馬すれば除名と脅しますし。
小選挙区制で二大政党になって政治が良くなるとか、政党助成金で政治とお金が綺麗になるとか、参議院と衆議院がねじれていれば政治が前に進まないとか、まるで原子力発電の必要性を訴える大嘘と同じことですね。
今、世界はナショナリズムが強くなっていますね。
そうなれば、世界戦争が近づいているように思います。
そして、自民党の総裁の任期延長は、ナショナリズムの強化のためではないのかとも思います。自民党の憲法変更もそのためでしょうね。
私も、憲法改正は反対ではないです。必要なものもあると思います。
ただし他国に対して宣戦布告してはいけないというのは変えてはいけませんが。
投稿: やんじ | 2016年10月23日 (日) 17時55分
「やんじ」様
コメント有難う御座いました。おっしゃる通り、自民党総裁の任期と、総理大臣の任期には法的関係はありません。でも、自民党総裁に任期があることで、総理大臣を無制限には続けられないという、実質的な歯止めの一部ではありました。
原発も選挙制度もその他の大きな問題についても、国民が騙されるときには必ずマスコミが関与しています。それをどう変えるのかの一つのヒントが新潟県知事選挙でした。
安倍政権の目指す「ナショナリズム」も実は、世界の底流を見ると変りつつあります。かつての日本も、同じように表面だけしか見えずに、社会そして世界の基盤が変わりつつある事には気付かずに、「周回遅れ」の政治観、世界観を採用して破滅しました。
おっしゃるように、その轍を踏まないためにも、私たち市民が地道に発信してゆく必要があるのだと思います。
投稿: イライザ | 2016年10月23日 (日) 18時17分