In Good Faith (誠実に) RMI提訴の却下と白紙領収書
In
Good Faith (誠実に)
RMI提訴の却下と「白紙領収書」
マーシャル諸島共和国(RMI)の国際司法裁判所(ICJ)への提訴が却下されたことは一昨日報告しましたが、提訴の基礎にある考え方こそ、未来の政治や世界をデザインする上で大切だと思いますので、今回はそこに焦点を合わせたいと思います。
キーワードは「in good faith (誠実に)」です。RMIの提訴は、核保有9カ国が核不拡散条約(NPT)の第6条に違反していることを問題にしています。その第6条は、核軍備競争の早期の停止と核軍縮について、すべての国が「誠意を持って」交渉することを義務付けています。
核保有9カ国中、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国の5カ国については、NPT締約国でありながら、この遵守義務を一貫して放棄し無視してきたことが「違反」の内容です。新たな核保有4か国(イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮)は、NPT締約国ではありませんが、慣習国際法のもとではこれらの核軍縮条項に拘束される立場にあります。
その根拠としては、1996年、ICJが全員一致で、「効果的な国際管理の下、あらゆる局面において核軍縮に向けた交渉を誠実に遂行し、完結させる義務が存在する」との結論に達したことが挙げられています。そして全核保有国は、それ以来一貫してこの結論も無視してきたのです。
ICJの勧告的意見の中、そしてNPTの第6条に「in good faith」という言葉が使われていることを知った時、正直、感動しました。そして核廃絶は可能であることを再確認できました。それは、この表現が、法律の世界と道徳の世界を結び付けているからですし、特に条約の場合は、「約束だから本当は嫌だけれど守る」という立場が仮にあったにせよ、それを乗り越えて「誠実に」履行する「意志」を述べていると考えたからです。
しかしながら、核保有9カ国は、「誠実」どころか「嫌々ながらの交渉」にも応じて来なかったのですから、「誠実」に国際法を遵守してきたRMIやその他の国が怒るのは当然です。
ときを同じくして、「気まぐれ辛口」さんも取り上げている、稲田防衛大臣や菅官房長官、高市総務大臣の「白紙領収書」問題が浮上しました。事実は認めたものの、三人とも「法律的には問題がない」という開き直りをしています。こんな言い訳が世間では通用しないことは百も承知のはずの、大臣ともあろう人の発言です。情けなさには呆れてものが言えません。
政治家や、その中でも国の大臣ともなれば、最低限ぎりぎりの線で法律を守れば良いだけではなく、法律の精神を「誠実に」実行する立場なのではないでしょうか。しかも「白紙の領収書」を使うことが慣習化している理由として、政治資金パーティーの受付時の混乱を防ぐためだというのですから開いた口が塞がりません。
でもこれは、大臣たちの背後にいる官僚たちが知恵を付けたのかもしれないとも思いました。それは、1996年に核兵器の使用や脅威についての勧告的意見を採決したときのICJ判事の中にも、同じような理屈を使っている人がいたからです。
それは、日本政府が送り込んだ小田判事です。彼は、このような一般的性質の法律問題にICJが回答を与えることは「司法的判断適合性と訴訟経済の観点からICJの司法機関としての機能を阻害する」ということを根拠に、核兵器が国際法違反であることは認めなかったからです。つまり、政治資金パーティーが混雑するから白紙領収書はOK、そして国際司法裁判所が混雑するから、核兵器の違法性判断はすべきではない、という全く同じ根拠なのです。
こんな暴論を放置しておく訳には行きませんが、そのためには、小さな国であるマーシャル諸島共和国が核保有9カ国を提訴したのと同じように、私たち一人一人が、たとえ小さい声でも声を上げ、法的手段も含めて政治的な行動を積み重ねて行くことが出発点になるのではないでしょうか。結果が仮に8対8になっても、一人の意見が変われば正義が貫かれるのですから。
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コメント
「やんじ」様
コメント有り難う御座いました。核兵器が国際法違反であること、廃止されること以外には使い道がないこと等、ふつうに物事を考える人たちには当り前のことですし、領収書の意味もそれをどう扱うべきなのかも、改めて確認するまでもないくらいの常識です。
こうした普通の考え方を「誠意をもって」代弁するのが政治家であり、ICJのあるべき姿なのではないかと言いたかったのですが、より具体的に議論を進めて下さり、有難う御座います。
少し前に、核兵器は化学兵器でないとになったと思います。
でも、残留放射能が低線でも健康被害にあうのなら、放射能物質による化学兵器になるのではと思います。
低線量被曝は、健康被害にならないとするのは、核兵器が化学兵器にならないようにしているのではと感じています。
世界中の心ある科学者が、低線量被曝でも人体に影響をおよぼすという意見が多くなれば、核兵器は化学兵器となって、生物化学兵器の使用を禁止している条約に加盟している国は、核兵器を排除しなければいけなくなるのではと思ってます。
この領収書問題は、手書き以外に重要な問題がありますが、そこは誰も言わないですね。
白紙の領収書に自分で記入できるのなら、1万円しか出していないのに、5万円と記入すれば、4万円を流用できますね。政治資金を私用で使うことができる方法になります。
政治資金規正法に書かれていないから問題ないとするのはおかしな考え方で、水増し領収を禁止しているのですから、公正な考え方は、書かれていなくても直筆は認めないのは常識だから書かれていないだけですね。
それと、お店などには白紙の領収書の発行を禁止している税務署には、それなりの根拠があるのでしょうから、例え政治資金規正法に書かれていなくても、領収書の使い方を他の法律で禁止してる事柄があれば、適用されるのではと素人ながらに思います。
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少し前に、核兵器は化学兵器でないとになったと思います。
でも、残留放射能が低線でも健康被害にあうのなら、放射能物質による化学兵器になるのではと思います。
低線量被曝は、健康被害にならないとするのは、核兵器が化学兵器にならないようにしているのではと感じています。
世界中の心ある科学者が、低線量被曝でも人体に影響をおよぼすという意見が多くなれば、核兵器は化学兵器となって、生物化学兵器の使用を禁止している条約に加盟している国は、核兵器を排除しなければいけなくなるのではと思ってます。
この領収書問題は、手書き以外に重要な問題がありますが、そこは誰も言わないですね。
白紙の領収書に自分で記入できるのなら、1万円しか出していないのに、5万円と記入すれば、4万円を流用できますね。政治資金を私用で使うことができる方法になります。
政治資金規正法に書かれていないから問題ないとするのはおかしな考え方で、水増し領収を禁止しているのですから、公正な考え方は、書かれていなくても直筆は認めないのは常識だから書かれていないだけですね。
それと、お店などには白紙の領収書の発行を禁止している税務署には、それなりの根拠があるのでしょうから、例え政治資金規正法に書かれていなくても、領収書の使い方を他の法律で禁止してる事柄があれば、適用されるのではと素人ながらに思います。
投稿: やんじ | 2016年10月 9日 (日) 12時20分
「やんじ」様
コメント有り難う御座いました。核兵器が国際法違反であること、廃止されること以外には使い道がないこと等、ふつうに物事を考える人たちには当り前のことですし、領収書の意味もそれをどう扱うべきなのかも、改めて確認するまでもないくらいの常識です。
こうした普通の考え方を「誠意をもって」代弁するのが政治家であり、ICJのあるべき姿なのではないかと言いたかったのですが、より具体的に議論を進めて下さり、有難う御座います。
投稿: イライザ | 2016年10月 9日 (日) 20時02分