核兵器廃絶訴訟の予備的争点について、国際司法裁判所が判断を示します 日本時間、10月5日午後5時です
核兵器廃絶訴訟の予備的争点について、国際司法裁判所が判断を示します
日本時間、10月5日午後5時です
二年前になりますが、2014年4月24日、マーシャル諸島共和国が、核保有9か国を国際司法裁判所(ICJ)に提訴しました。核不拡散条約第六条の誠実な交渉義務違反という理由です。この点については、8月8日に簡単に触れていますが、再度詳しく説明します。まずは「管轄権」そして「この件についてのadmissibility」が問題になります。「admissibility」の適切な訳語を教えて頂けると有難いのですが、当面、訴訟要件を満たすのか、という解釈をしておきます。
今回ICJは、上記の二側面についての判断を下すのですが、ここで取り上げられるのは、インド、パキスタンそしてイギリスに対しての提訴だけです。それは、これらの3か国は、ICJの規則中の36条の2項、つまり、他の国が、当該国をICJに提訴した場合、訴訟に応じる義務を持つという宣言をしているからです。つまりその国に対してのICJの強制的管轄権を認めているのです。その他の6か国、アメリカ、ロシア、フランス、中国、イスラエル、そして北朝鮮は、強制的管轄権を認める手続きをしていませんので、マーシャルル諸島共和国の提訴には応じない、という選択が可能になりました。
ICJ 3月のヒアリング
強制的管轄権を認めない方が、その国に取って無条件で有利になるようにも見えますが、実は強制的管轄権を認めると、他国をICJに訴えた場合、その国が強制的管轄権を認めた国であれば、「強制的」に提訴に応じなくてはならないという決りがあるのです。マーシャル諸島共和国は、それを認めていますので、インド、パキスタン、イギリスはこの提訴が逃れられなくなったのです。また、基本的には全ての国がICJの管轄権下に入ることが、国際法に力を与えるという結果をもたらすことも理解して頂けると思います。
今回のICJの判断は、3月に行われたヒアリングに続くものですが、ICJは法的な立場からの判断をする場です。マーシャル諸島共和国の当事者性の基礎的事実として、アメリカの核実験による被害が大きかったことが述べられています。それに関連して、その当事者のアメリカが関与していない裁判に、イギリスが「被告」として引っ張り出される法的な意味は存在しない、といったような議論、その他、多様な議論が展開されています。
それについては、二つのサイトで知ることができますので、紹介しておきます。一つは国連のサイトです。
10月5日の午後5時からは、これらのサイトで、ICJの判断を同時中継で見ることができます。歴史的な出来事になるかも知れないICJの判断に注目して下さい。
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