在外被爆者の人数は?
今年の原水禁世界大会でも、韓国在住の被爆者・郭貴勲さんの元気な姿を見ることができました。私も、広島ではゆっくりと話すことができませんでしたが、長崎では、夕食を共にし旧交を温めました。
ところで、郭さんのように国外に在住する被爆者は、何人おられるか知っていますか。私も実は、きちんとした人数を知らないのです。
厚生労働省は、毎年3月31日現在の被爆者数を都道府県別(ただし、広島市と長崎市は県とは別に計上)に発表しています。その発表には、被爆者の平均年齢も記載されています。この数字が7月に入って発表されますので、ちょうどこのころマスコミのニュースでこれらを私たちは知ることになります。今年の発表では、被爆者数は、174,080人で、平均年齢は、80.86歳となっており、前年より被爆者数では、9,439人減少し、平均年齢は、0.73歳高なっています。
厚生省が発表した資料を基に、広島県、広島市が毎年7月に発行する「原爆被爆者対策事業概要」(以下「概要」という)とういう冊子の1ページを使って、都道府県別だけでなく、被爆者手帳の区分ごと、年齢別など詳しく記載されています。
ところが、不思議なことに厚生労働省のホームページを見ても、先に述べた広島県・市の「概要」の資料を見ても、どこにも在外の被爆者の数字を見つけることができません。今年発行の広島市の「概要」では、「被爆者数等各種統計」(「概要」のP.58)の脚注の(3)として、こんなことが書かれています。「平成14年度(2002年度)の全国被爆者数は、平成15年(2003年)3月31日時点で国外に転出した在外被爆者は含まれていない。」と。何を意味しているのは、理解できません。さらに2003年度以降は、どうなっているのかはこの脚注から読み取ることは、困難です。
結局のところ、厚生労働省が発表する被爆者数の中には、在外被爆者の数は、含まれていないと想像するしかありません。
2002年12月、国が郭貴勲裁判で大阪高裁判決を受け入れ上告を断念して以来、少しずつ被爆者援護法の適用範囲が拡大され、今年からは「医療費の支給」も開始されているにも関わらず、どうして在外被爆者の数が、きちんと具体的に公表されないのか大きな疑問です。
今年発表された被爆者数174,080人の中に在外被爆者の数は、入っているのかいないのか、はっきりさせてほしいものです。そして次年度には、誰にもわかるような形で、国別の在外被爆者数が、きちんと発表されるように私たちの取り組みも強めなければならないと思います。
「被爆者はどこにいても被爆者」のはずです。
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