日本はずっと平和だった
日本はずっと平和だった
前回は、外国との戦争による日本人戦死者数を、1853年から1945年までの間と1945年から2016年までの間、という二つの区間を取り上げて比較してみました。この比較は、日本が平和になっているというもう一つの根拠です。では、多くの人の頭の中で「戦争の好きな国」というイメージのあるアメリカではどうなのでしょうか。特にベトナム戦争に反対する運動は、アメリカ兵の死者数が大きくなったためとも言われていますので、この点も確認しておく必要がありそうです。
南北戦争は外国との戦争ではありませんが、戦死者数が多いので、入れておきました。
l 南北戦争 63万人
l 第二次世界大戦 41万人
l 第一次世界大戦 12万人
l ベトナム戦争 6万人
l 朝鮮戦争 4万人
l 独立戦争 3万人
日本との比較ができるように、1853年から1945年までの92年間の戦没者数は大雑把に数えて、約120万人(以下)、1945年から今までに約13万です。桁が違っています。ベトナム戦争での死者は6万人ですが、これを第二次世界大戦と朝鮮戦争の延長線上で捉えると、恐らく「もうこれ以上は我慢できない」といった気持ちが生まれても当然だったのではないでしょうか。ましてや、モハメッド・アリ氏のように「ベトナムの人を殺す個人的理由はない」と考えた人もいたのですから、反対運動が起きたのも必然だったと考えられます。
日本もアメリカも、世界は平和になっているのと同じ流れで平和になっているのかもしれませんが、日本に特化して歴史を振り返ることからも大切な事実が浮かび上がってきます。
明治維新よりはるか前、戦国時代が終りを告げた関ケ原の合戦まで遡ってみましょう。1600年から、今年2016年までの416年間を振り返ってみましょう。その間に、日本が外国との戦争で戦死者を出したのも、1895年から1945年までの50年間だけなのです。徳川時代に鎖国をしていたのですから当然だという見方もありますが、「鎖国」を与えられた前提として考えるのではなく、一つの国策、外交政策として捉えると、このことで300年近く平和を維持できたことは高く評価しても良いのではないでしょうか。戦後の日本では、たったの70年で「平和」を捨て去ろうとする動きがこれほど顕著なのですから。
もちろん、薩英戦争等、外国との戦争で亡くなった人はいますが、概数としての310万は変わらないと考えて良いでしょう。もう少し直観的に把握するため、関ケ原以来の416年間に外国との戦争で日本人が亡くなった1895年から1945年を、年表として視覚的に捉えておきましょう。
つまり、基本的に日本は平和な国であり、戦争に明け暮れた50年間が異常だった、と解釈すべきなのではないでしょうか。
日本が軍事力を持ち、外国からの侵略を防いだから植民地にはならなかった、という主張もありますが、それもNHKの高等学校講座で分りやすく整理をしてくれています。次回には、それを要約してお伝えしたいと思いますが、不平等条約を改定して治外法権を取り戻したのは、軍事力ではないようです。日米地位協定等による沖縄をはじめとする基地その他における治外法権についても、「軍事」的な思考に依らず解決することは可能だという歴史的事例になっています。
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